カテゴリ: HJ文庫

今日のラノベ!



あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き!2


あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!

ムリ!ムリ!大好き!2

著者:
内堀優一

イラスト:
希望つばめ

レーベル:
HJ文庫


【あらすじ】


ずっとずっと好きだった幼馴染の少女・小春がひた隠しにしていた『告白を受け入れられない理由』を知った上でなお、彼女との恋を貫き通すと心に決めた悟郎。すべてを捨て去るほどの覚悟を見せる悟郎に焦った小春は、せめてこの秘密を共有できる仲間を作ってはどうかと提案!そこで白羽の矢が当たったのは、二人にとって大切な幼馴染である明菜で―『悟郎はあたしとこれからどうしたい?』「ずっと一緒にいたい」一途な二人の“どうしようもない青春ラブコメ”は、止まらない!






感想:★★★★★





一緒に居ることを決意してから、
一緒に居ることを諦めるまでの物語。






もう……なんだろうね……。
どうにか一緒に居ることができるような方法を考えようと、小春と悟郎が冒頭で決めた時からなんとなく結末は読めていたんですよ。

悟郎の精神状態は「小春が見える」という現象を抜きにしてもまともじゃないというのは、バイトに明け暮れ高校を中退しようとしていた事からも明らかで。
何よりも周囲が悟郎を受け止めきれないことは、一番交流のあった比嘉と千夏の1巻での欠席から明らかで。
そうですね……、予想外と言えば予想外だったのは真冬生徒会長が悟郎に協力を申し出なかったことでしょうか。
考えてみれば現実に向き合わせるために小春に関しての真相を気づかせたんですから、今更現実的でない選択肢を認めるわけがないんですが、悟郎を気遣うのなら悟郎の意思を尊重してくれると思い込んでいたんですよね。


1巻では全く予想していなかった結末に驚かされ、心を掴まれましたが。
今巻では想像通りの結末に、心を掴まれました。



だって、もう、なんだ。
そうなるじゃん!?


多分悟郎も小春も、心のどこかで無理だということは分かっているんですよ。
でも、それでも抗った。
好きな人と一緒に居たい、っていう当たり前の幸せを願った。
分かりきった結末から目を逸らしてでも、好きな人と居るために考えて、考えて、考えた。
とりあえず仲間を増やそうと、2人の大切な友人に信じてもらえた。
でも、それ以外の全ての人に理解してもらえなかった。

ただそれだけの話。
だから胸を強く打つ物語。






本当に、今、すごく困ってます。
想像していた球種を想定の3倍くらいのスピードで投げられたキャッチャーくらい困ってます。



次の球をどう構えたらいいか分からない……!
というか逃げたい!でも逃げられない!!
え、変化球とか来たら受け止めきれないよ……?
でも構えてるところから少しズレたら直撃して死ぬよ……?
だったらいっそ暴投してもらって……いやいやもったいない!


何が来てもいいように覚悟しておきますが、、
第三球目にどんなボールが投げ込まれても、
慟哭する自信があります。





以下読書メモでもう少し具体的な話をば。




読書メモ




全体:2巻は小春と悟郎の状況をそれぞれがどう受け止めるかの物語
⇒今作で繰り返し使われる「どうしたらよいか分からない」というニュアンスの言葉。
まさにこれが2巻の核心でしょう。
悟郎とどう接したら、どうやって相談したらいいのか、そもそも誰に相談できるのか。

分からない分からない分からない!!!

だからみんな孤立していく。
あるいは烏合の衆と化し、名も無き一人として異物を排除し秩序を保とうとする。
理解できないものは遠ざけて、攻撃して、自分の正しさを証明する。
あぁ、本当にこの本は人間のことをよく見て書かれた本ですよ……。



35p:時系列
⇒夏休みの最中とか前とか、序盤で結構行ったり来たりしたんですよ。
1巻という前科があるから物凄く警戒して読んでいたのに、何もありませんでした。
何も……無かったですよ…………ね?



108p:生徒会長、195p:明菜
⇒起こっている状況がどういったものか分かっている人は少なからずいるんですよ。
俯瞰することに慣れている人、悪意に慣れている人。
もっと漠然と、ただ流れに乗っている人が大半でしょうが。
でも分かっている人にも、そこからの抗い方、出口までは見通せないというのが“善意”の質の悪さですね……。
だって、流れの本質が“善”なんですもん。
悪意で動いているなら正義を振りかざすことができなくもないですが、善意には何を振りかざせばいいんでしょう?
つまりここにもまた、「どうしたらよいか分からない」が生まれるというわけです。



217p:読みたいけど読みたくない……
⇒かろうじて成り立っていた均衡の終焉。
それ即ち崩壊の始まり。
小春の泣き顔は、もう見とうない……



まとめ





次で完結予定とのことで。
「元に戻る」という選択肢が完全に失われた状態で迎える最終巻が、どんな展開になるのか。
とりあえず僕は外角低めのスライダーだと予想してミットを構えておきます。




以上!


新年明けましておめでとうございます!
deskyzerです。


旧年は更新頻度がだいぶ落ちてしまい、生活がズタズタだったのもあり御心配おかけした面が多かったかもしれません…。
本年はもう少し更新頻度を上げられるよう調整していきますので、
deskyzerと「デスカイザーのラノベ日誌」をよろしくお願い致します!

2018年の目標は「やれるだけのことをやってみる!」です。
根が真面目な分オーバーワークして損耗しやすい性格なので、やる気を出すとか力を付けるとかではなく、逆に抑えて健康的に精神的に充実した1年にしたいです。
「やれるだけ」には、そのような意味を込めてみました。




では、新年一発目!

今日のラノベ!

魔術破りのリベンジ・マギア 3


魔術破りのリベンジ・マギア
3.はぐれ陰陽師の越境魔術

著者:
子子子子子子子

イラスト:
伊吹のつ

レーベル:
HJ文庫


【あらすじ】

ドイツから戻る晴栄のもとに、学園長と陰陽寮から共同の依頼が舞い込む。愛蘭の暁星学園で起きた殺人事件の容疑者として陰陽師が捕らえられたので、その真相究明に向かえというのだ。嫌な予感を覚えつつも、囚われた少女と対面する晴栄だったが…「な…なんであんたがここにいるのよ!?土御門、晴栄ァーッ!」そこにいたのは幼少期の晴栄と因縁深い少女、蘆屋露花だった!陰陽術×アブラメリン術式、ハイブリッド魔術を使う幼馴染を救い出せ!ハイエンド魔術バトルアクション第三弾!




感想:★★★★★



読み納めにして読み始め!
戌年ですもの、孤高のロンリーウルフがヒロインのストーリーです!


ただし、狐狼丸では無い




舞台はセイレム、ドイツから更に変わりアイルランド!
そして陰陽術とアブラメリン術式!
……前巻の北欧神話系魔術と違い、アブラメリン術式と言われてもピンと来ませんね。黄金系と言われれば『禁書目録』知識でどうにか付いていけますが。
そのあたりの解説も分かりやすく、実際の術式図まで用いて説明されていたので助かりました。

新ヒロインは表紙の子・蘆屋露花!
苗字から分かる通り蘆屋道満の血筋で、件のアブラメリン術式と陰陽術を組み合わせたハイブリッド魔術の使い手。
そう、孤高のロンリーウルフとは彼女のことである!(命名:変人学園長)



では感想は、そろそろ恒例と言っても良いであろう読書memoに沿って。




読書メモ





4p:愛蘭、暁星学園、黄金
⇒上にも書きましたが舞台はアイルランド、魔術結社【黄金の夜明け団】(ゴールデン・ドーン)の流れを汲む魔術教育機関・暁星学園(ステラ・マテューテイナ)が舞台。
首都ダブリン、国花シャムロック、学園の鐘楼や石造りの校舎など、構成情報や景観に至るまで情報密度高くまとまっています。
この最初の文章の軽めの情報で慣れさせてもらってるから、その後の詠唱とか魔術関連の重めの情報を比較的スムーズに読み込んでいけるのかなぁ、と思います。
詠唱苦手でも読み込めていた理由がここに!



12p:ハルナが可愛い!かわ…あれ?うん、可愛い!
⇒ティチュを送り返す選択肢をナチュラルに無くしていたことを本人に指摘されたハルナのリアクションが可愛い!
結果的にこのハルナの無意識の選択は正解でしたが。



63p:ドーマンセーマンドーマンセーマン
⇒すぐに呼びましょ陰☆陽☆師(レッツゴー

ドーマンは横五本縦四本線の九字紋のこと、セーマンは晴明桔梗と呼ばれる五芒星のことなんですね…。
あぁ、蘆屋道満の「ドー」と、安倍晴明の「セー」でしたか。
あれ、でも大学の民俗学では安倍晴明は、当時の読み方だと「あべのはるあき・はれあき」だったはずという話を聴いたんですよね……。
死後音読みになる理論があるならばセーマンは死後に確立されたとか?伝承の段階で読みが変わった?
……でもよくよく考えたら安倍晴明が「はるあき」なら、蘆屋道満は何て読めば……。

メロスは難しいことは分からぬ

分からぬが、やはり陰陽師もので蘆屋道満ゆかりの人物と安倍晴明ゆかりの人物が戦うことが熱いということは分かる!!




68p:アブラメリン術式
⇒今の今まで「アブラメリアン」だと思ってましたっ!っていうくらいには馴染みの無い魔術形態。
でも、魔方陣と言われればピンと来ますね。
数字の配置と配置された数字そのもの、縦横斜めの数字の和や差あたりがいわゆる「魔術的意味」になるんでしょうか。
詠唱よりもこの魔方陣のほうにそそられるものがあるので、ちょっと文献探してみようかしら……。



69p:マクレガー・メイザース
⇒この前感想あげた『新約 とある魔術の禁書目録 18・19』で新登場、活躍していたミナ・メイザースの夫にあたる人物ですね。
あちらではアレイスターに殺られる愚か者という印象でしたが、こちらでは露花の師匠で、偏屈だけど弟子想いの素晴らしい御仁のよう。
一癖ある者同士、いつかハルナとの対談を読んでみたいです



71p:和洋折衷
⇒この後のストーリーを読んでいても思いましたが、露花は単一魔術よりも我流やオリジナルで組み合わせていく魔術への適性が高いみたいですね。
それぞれの魔術の出力が弱くても、うまく組み合わせて使うことで補っていくような。
ここから更にルーン文字とか使い始めたらもっと凄いことになりそうで、それはある意味どこぞの学園長がセイレムで目指していることそのもののような気が……。
やはりマリーちゃんは只者じゃない。



104p:見てるだけしか
⇒ハルナという同世代の天才があの時身近にいたからこそ、余計強烈に劣等感と無力感を感じることになったんでしょうね……。




135p:まーた面倒なメイドが……
⇒1巻のティチュ、2巻のレーレ&ラーラに続いてのメイド枠、イズールト。
秘書だけどメイドコス。
果たしてメイドと秘書の差とは何なのでしょう…。
踏んでくれるかそうでないか……?(違う



140p:♥
⇒薄い本!!!
薄い本はまだかっっ!!!!



167p:努力
⇒ここのハルナの言葉は是非とも覚えておきたい考え方ですね。

実力が足りていない、と自覚しているのならば努力しろ。学が浅い、と恥じるならば自学しろ。それでも及ばないのならば、努力に頭を使っていない証拠だ。『ただがむしゃらにやればいい。それこそが美徳だ』、などと宣うのは時代錯誤な人間の戯言だからな

やる気に満ちた新年に相応しい言葉ですねー、本当に。
「勉強しろ」ではなく「自学しろ」というあたりが、個人的にツボです。

207pで露花にかけた言葉もこれが根底にありそうです。



187p:ミニハルナちゃんかわゆー!
⇒露花の兄・蘆屋道寿の陰謀。妹さえも利用しハルナの身体を乗っ取ろうと画策するというシーンの暗さをすっ飛ばすハルナちゃんの幼な可愛い凛々しさ!
3巻で一番素晴らしいイラストで賞



223p:エグいメタい
⇒ほんとどうしたっ!?ってくらい狐狼丸のメタ発言がですね(笑)
あまりにも浮いてるんですが、ギリギリ作品に溶け込んでるあたりに彼女の特異性を伺えます。



232p:肉親奪う側
⇒もとは肉親に対する仕打ちに復讐を決意したハルナが、やむを得ずとはいえ露花の肉親を奪うことになっています。
もしかしたらですが、セイレムへやってくるまでにもこうしたことの積み重ねから「復讐」の形に疑問を持っていたのかもないと考えたら、当時の露花への態度と1巻でのティチュへの態度の差にも少し納得です。



237p:魔法名……?
⇒またもや『禁書目録』の話になってしまい申し訳ないのですが、魔法名といえば神裂のねーちんの「Salvare000 救われぬ者に救いの手を」なんですよ。あとは込められた意味は覚えてないですがステイルの「Fortis931」。綴りが怪しい。
魔法名が【黄金】系のものであるならば……イギリス清教所属の彼らに何故魔法名?となってきて。
これ以上の考察は頭の中で留めますが、こういう他作品への派生っていうのも同モチーフが扱われやすいラノベの良いところ。



254p:邪魔だから
⇒凄いですよね。
この巻のまさに核、ハルナがここに来る理由となった生徒の死亡事件。
その動機が「邪魔だったから」ですよ?
この作品、時折残酷なことをひょいっと投げ込んでくるので心臓に悪くて最高です。



264p:共感覚
⇒ティチュの特異性が明らかに。
今後も彼女が狙われるとしたら、これが原因となってくるんでしょう。
ただの共感覚ならそれで良いですが、意味ありげなハルナの考察を見るとそれだけで済む話じゃないかもしれませんね……。
ひとまず覚えておきましょう。



271p:攪乱(こうらん)
⇒あっ、かくらんだけじゃなく、こうらんとも読めるんだっていう雑学メモ。



303p:比翼連理
⇒こういうのに弱いdeskyzerです。



320p:魔法名
⇒ついつい『千と千尋の神隠し』の婆ちゃんと同じような「良い名じゃ」ってリアクションしちゃうやつですこれ!
「我が功績にて彼の偉業を示す」
……泣いちゃうぞ?!



314p:OPの流れるエピローグ

露花が学園を辞める決意を伝えたあたりから前奏が始まり、
イェイツの独白でAメロとBメロ、
魔法名をもらうあたりでサビに差し掛かり、
ハルナに協力を要請されたところでFinish!

テーマソングとか無いはずなのに、読んでる間頭の中をよく分からないメロディーが流れていました。
かっこいい系のLiSAとか原田ひとみとか鈴木このみが歌いそうな奴。
本能的に、1クールのアニメの最終話と同じ熱さを感じたんでしょうね……!

物語全体ではハルナが主人公ですが、今巻に限って言えば間違いなく露花が主人公と言わざるを得ないでしょう!
よくここまで努力し続けた!!





まとめ


メモが多いんじゃ……。
お正月ってことでほぼノーカットで感想書いてみましたが、今後はもう少し調整する必要がありそうです……。



蘆屋と土御門。
陰陽師といえば!な二家が盤面に揃い、最初はバッチバチの関係から始まったのでどうなることかとハラハラしてましたが、終わってみれば強固な絆が生まれていましたねー。
陰陽術を他の魔術と合わせるという発想と技術がハルナにもたらされたわけですが、彼女……(素で間違えた!)……彼はこの技術を使っていくのかな?というところに個人的には注目してます。
相当繊細なコントロールが求められるけれども、ハルナの知識量が合わさったら絶対面白いじゃないですか!
狐狼丸との降神術じゃないですけど、他の魔術師との合体魔術みたいなのの素地ができたというだけでも十分期待が高まります!



…………最後のほうはもう普通に会話していたけど、ハルナはどう報告するつもりなんでしょうね?
黒幕が蘆屋道寿っていう状況で。
セイレムに露花を連れて行くってことは鴨女と会っちゃうっていう状況で。




以上!



今日のラノベ!

桜色のレプリカ 1

桜色のレプリカ 2

桜色のレプリカ 1&2

著者:
翅田大介

イラスト:
町村こもり

レーベル:
HJ文庫


【あらすじ】

(1巻)
六方カザネはこの「学校」の文学教師である。ある日、理事長の二階堂イツキに呼び出され奇妙な依頼を受ける。積極的にカザネに迫って来る自称・淫乱ピンクの三十刈アイラ、マンガやアニメ的なお約束好きの四十田ユキ、委員長タイプの五十嵐ヒビキ、無口で小説好きの百合原ハルカ、個性的な女生徒たちに囲まれるカザネが受けた依頼、その驚くべき内容とは―?

(2巻)
理事長の理不尽な依頼に嫌気が差しつつあったカザネだが、校内に1本だけあるという桜の木の下でついに「本当のヒロイン」を見つける。嫌々ながらの捜索だったが、真ヒロインの大胆な告白を受け、ハートのど真ん中を射抜かれてしまうカザネ。しかし他のヒロインたちも黙っちゃいない。ヒロイン捜索型学園ラブコメは怒涛の展開へ―。




感想:★★★★★

話題になってから間が空き、さらに読んでからも時間が経ってますがやっと書きます、『桜色のレプリカ』の感想。


綺麗に3回ひっくり返りましたね……。




1章は、わざとらしいくらいラブコメしてるラブコメ
生徒からは良く慕われ、同僚との淡い恋模様があり、いくつものイベントを重ね……。
「このままいったら食傷気味になるぞー?」と不要な心配をしていました……。
今後の展開に衝撃を受けさせるための明確で嫌らしいミスリードでもあり、レプリノイド的な意味では読んで字のごとく「わざと」なラブコメだったわけですねー。
しかも生徒たちだけでなく、本当に全部。
結末を知ってから読み返してみると、確かにメグミの反応もそれっぽいです。
つまり1巻ラストの「ひっくり返し」のヒントは最初からあったのか…。


そして2章で最初の「ひっくり返し」です。
「ちょっと何言ってるか分からない」状態に陥って、この時点で一度本を閉じましたからね?
他のラノベだったらクライマックスレベルの体力の持っていかれ方でした。
ラブコメだと思って気持ちを整えていたのに、まさかの世紀末ミステリものですよ…。
びっくりするほどアポカリプス!


そしてカザネは、レプリノイドたちの中に混ざった1人の人間を探す任務を与えられるのですが…。
どうやって?何を基準に?」というカザネの疑問が、この作品の肝であり考えるのが面白い部分でした。
そもそもレプリノイドに人間らしさを教える仕事が存在しているのだから、そこに何か明確な差があってしかるべき。
作中では文学を通して人間らしい考え方というものをカザネ自身の解釈を交えて講じていますが、仮にロボットやレプリノイドのようなインプット可能な無機物がそれを習得したらそれらが人間になるかと言ったらそういうわけでは無いというのは明白。
それは他の定義に関しても同じで、脳の機能や考え方のみならず、「心」という現代技術では観測不能な部分をもとにして定義したとしても、定義・観測できてしまった時点でそれを再現する機能を付加することは……容易ではないにしても不可能とは言えないのではないでしょうか。
例えば最近ですと、相手の感情を読み取りながら会話をしてくれるロボットが開発中だったはずです。老人ホームとかでの活用を目標にしたものでしたっけ?
感情そのものを読み取るのではなく、相手の体温や脈拍、視線や表情筋の僅かな動きから判断するという仕組みなら既に実用化の一歩手前まで来ているわけです。今の科学技術ですら。

そして、それより先の技術を持っていると推測される今作で、レプリノイドと人間の差を思考判断のみを基準に選別するなんて無理じゃ!!



とかなんとか考えている間に1巻クライマックス、2回目の「ひっくり返し」です。
ブルータス、お前もか。
否、カザネ、お前もか。
百合原にしてみたら、お前もか、であり、お前は違う、であり。

この「ひっくり返し」によって、全ての登場人物の名前に数字が入っていることに納得しました。
ロットナンバーのような意味なんでしょうね。
ただの番号だと「人造のもの」だから、人間らしくなるように苗字にしたと。
もしかしたらレプリノイドの補充ができていた頃は、一番から順番に必要人数分苗字が割り振られていて、欠番が出たら苗字を引き継いで新たなレプリノイドがやってくるみたいなことがあったのかもしれませんね。
三代目三十刈シスターズの誕生である。
……わいせつ物がふえた




2巻はなんて言うんでしょうか…。
認識のすり合わせ?
自分自身が人間だと思い込んでいたレプリノイドだという現実を戸惑いながら受け入れていく過程で、自分がそうなら周りもそう、そして周りもそうなら……、と認識をすり合わせていくのが2巻の中盤まで。
2章以降に把握してきた世界観がまたしても壊されていく感覚は、石を積んでは倒される賽の河原を思い出しました。
なのでこのあたり読んでる時は、なんというか精神的サンドバッグ状態といいますか。「もう好きにしてくれ…」って感じでしたね。
密かにメグミのキャラが好きだったので、彼女が壊れかけた時には乾いた笑いが漏れました…。
……今となっては一番好きなキャラは豹変後の百合原なので、偶然にもカザネと同じ道を辿っていることになるわけですが。百合バンザイ!毒バンザイ!アハハハh





そして最後の「ひっくり返し」、やっぱりラブコメだった編。
人間とレプリノイドの違いにまつわる物語が、奇しくも三十刈の得意分野である「愛」により決着をつけているというのが最高に刺さりました。
愛に狂った女と、愛に調子を狂わされた女のキャットファイトは素晴らしかったです。キャットはキャットでも獰猛なライオン同士ですが。

与えられた役割に満足せず、自分で考えることが「本物」の証。
人間とレプリノイドに境界線を引くのではなく、本物か紛い物かという言い方で境界線を引くというのが今作の着地点になるんでしょうか。
分かるようで分からない、分からないようでいて分かる…。

例えば工場なんかの労働者を揶揄する言葉として「歯車」というワードが使われることがありますが、それはまさしく一定の生産基準をクリアすることだけを課せられ同じ行動を繰り返すさまが人間らしくない、機械のようだという意味ですよね。
ちょうど今製造業で働いているので、この工場という1つの機械に組み込まれているかのような気分はよく分かります。
でも、その一方で工場で働く人々は「左に置いてある部品を右に置くと、動きが短縮されて作業効率があがる」という考えを持つことができます。それは(少なくとも現代科学では)機械にできないことです。
人件費と研究開発費を天秤にかけて、今人間がやっている作業を機械にやらせるという判断をくだすことは機械にも可能ですが、それは置いておきましょう。
ともあれこの、工場の歯車でありながら機械ではない、という状態が今作でいう「本物か紛い物か」という線引きなのかなと思っています。






今作の「桜」から感じ取ったイメージは…。
「不変」、でしょうか。

トータル3回大きくひっくり返されるなかで色々な表情を見せてきた今作ですが、人間とは何かを考えさせ続けることからは大きく外れませんでした。愛の形うんぬんの話も含めて。
それがまるで、1年のなかで花や葉、枝で季節ごとに色々な表情を見せつつも、毎年必ず花を咲かせ、葉を茂らせ、寒さに凍える桜の花を見ているかのようでした。
すごくまともなことを言っているので照れる…。
感想書き始めた最初のほうは、「卵焼きって何回もひっくり返すけど結局卵だよね」って書こうと思っていたんですが、あまりにも桜に触れてこない感想だったので、ちゃんと桜でまとめました。偉い。


「不変」ではありますが、それは成長しないということではないでしょう。
成長しつつも変わらない。
そうしていくことで紛い物ではなく本物だという自覚をゆっくり深めていくことを、生きるというのかもしれませんね。





照れり(/ω\*)









以上!


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今日のラノベ!


魔術破りのリベンジ・マギア 2

魔術破りのリベンジ・マギア
2.偽りの花嫁と神々の偽槍

著者:
子子子子子子子

イラスト:
伊吹のつ

レーベル:
HJ文庫


【あらすじ】

魔女学園で起きた事件のほとぼりも冷めきらぬ頃、突如フランセスの元に彼女の弟が訪れ、政略結婚の決定を告げてきた。晴栄との出会いを経て己の意志で歩み始めたフランは、その縁談を破棄すべく魔術の本場・欧州は独逸の啓明学園に向かう。その隣に彼女の人生を変えた“恩人”たる陰陽師を従えて―「僕はお前が運命に抗い続ける限り、この手を伸ばすと約束した」レーヴァテイン、ブリューナクなどの術装を相手に、変幻自在の陰陽術で立ち向かえ!ハイエンド魔術バトルアクション第二弾!




感想:★★★★☆

今巻も戦闘、詠唱の濃いこと濃いこと!
でも読める。
詠唱読むの苦手な僕が言うのだから間違いない。




なんといってもフランセス!
何箇所か兄のフランツと名前が混同してるところはあったけどご愛嬌。

使命感とか責任感とか、「持つ者」としての考え方を自分のできる限りで行おうとしてしまう。
それがフランセスの長所でも短所でもあることを見せてくれたのが今巻。
ノブレス・オブリージュ可愛い



フランツが来たとき、ルドルフに破れてしまったとき、etc…。
フランセスちゃん、本当にまぁよくめげます。
めげて、「でもハルナがいる…!」「ハルナが来てくれた!」と立ち直れる。
そしてなんといっても、それをおくびにも出さずに堂々と振る舞える。
弱さを理解するからこそ、1巻では強者として皆の先頭に立って憧れの眼差しを向けられていたのかな、と納得です!


そんなフランセスと良い友達になっている晴栄。
お家の仕打ち(あえてこの言葉でくくります)に対しての二人の対応は、対極。

絶望のなか容赦なく復讐し潰すことを決意する立場と。
諦めず立ち向かうことを誓いながらも、復讐ではなく妥協点を探すような立場。


どちらが正しいとかは置いておいて、そういう2人がこれ以上なくお似合いに映るのは何でなんでしょうね…。
支え合いというには一方的で。
でもどちらかが欠けると不安定になってしまう関係。
お互い、出会う前はそれで成立していたのに。

そういえばティチュと晴栄、狐狼と晴栄なんかも1対1、ペアで成立しているような。
もはや晴栄がいなくても良い関係にある彼女たちだけども、その根底は覆らず(個人の印象です)。
2巻まで来て、それでも登場キャラたちがグループとしてではなく、主人公を中心とした放射線状の関係性に置きたくなるというのはなかなか珍しい…。



ところで2巻のテーマはタイトルからも分かるとおり“偽”。
帰ることを前提とした縁談、基本概念を覆した偽りの槍、晴栄の性別、ルドルフの貧民を受け入れる理由等々。
子子子子子子子先生のことだから、詠唱やバトルスタイルなんかにも“偽”が仕込んでありそうだけれども…。
相生・相剋の概念が覆される場合を表す相侮なんかはそれに近いのかなぁ、と思ったり。
フランツの仕込みルーンの最後の1個とか、フェイントを重ねた晴栄の戦術とか。




鴨女ちゃんの大いなる活躍に期待して3巻を待ちます!
あとフランの破壊力のありそうなデレ。



以上!



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今日のラノベ!


造られしイノチとキレイなセカイ 4

造られしイノチとキレイなセカイ 4

著者:
緋月薙

イラスト:
ふーみ

レーベル:
HJ文庫


【あらすじ】

遺跡探索でイリスやリーゼの素性が明らかになり、その特異性から隣国の代表、ランカ・ユグドリウスと会うことになった一同。新たな出会いによって今まで以上にカップル増量の気配がする中、リミッターの外れたカリアス&フィアナも、新参者に負けじとイチャイチャっぷりを見せつけ、ついにその関係は行き着くところまで…!?可愛さも、秘めたる能力もまさに「神クラス」の娘たちと一緒に、規格外の家族が贈る“お祝いムード”の第4巻!




感想:★★★★★

最終巻を迎えてしまった哀しみと、これからも皆が幸せに過ごすならそれで満足という気持ちが複雑に絡み合っています…。
『勇者と魔王のバトルはリビングで』と同じ……いえ、登場キャラが多い分今作のほうがその複雑な気持ちが強いですね。




まず何はともあれカリアスとフィアナ、結婚おめでとう!というところから。
微妙な距離感の2人がイグニーズに派遣されるところから始まった物語、満を持してのイチャラブタイム突入ということもあって「微笑ましい」って感覚が一番しっくりきてます。
部屋の中の同一座標にいることがバレたり、新しいイノチの誕生を速報レベルでお知らせされる環境だけど、末永くお幸せに……!

爆発…?しなくていいよ、この2人は(アルカイックスマイル)
するとしたら騎士団長とレミリア……かな?(アルカイックスマイル)
……物理的に、お笑い方面で。




今巻で一番成長を見せてくれたのは、やっぱりエリルくん。
3巻で負った大怪我、体は治っても心まではそう簡単に治るものではなく…。
それでも、





トラウマに囚われた自分を把握した上で今の自分でも出来ることを最大限発揮してアリアとの模擬戦をこなし、

そんな自分の状況を見抜いた師匠からの容赦ない言葉に言い訳をせず、

心で「わかっている」弱さを、改めて他人に「説明する」こともしっかりできて。




どれだけ強い子なのかと。

この子の前ではどんな大人もワガママな子どもに見えてしまいそうな。
まっすぐで、ぶれなくて、揺るがない、とってもかっこいい男の子ですね、エリルくんは。
彼ならカリアスを超える聖殿騎士になるというのもそう遠くない未来かもしれないですね。
それを最初からわかっていたであろうリーゼちゃんの慧眼もまた恐ろしい。





以下、シリーズ通しての感想です。

『造られしイノチ』たる、イリスやアリアたち。
彼女たちが生まれる根底には、とても『キレイ』といえる理由ではない大人たちの醜悪な思惑が少なからずありました。
でもイリスたちが生まれたのは、そんな醜悪な思惑を良しとしない清い大人たちの働きがあってのことです。



人造の生命、ましてや神だなんて言語道断。
だけど、生まれてくるこの子たちには何の罪もない。
だから、この子たちには『キレイなセカイ』を、美しい世界を見せてあげよう。
それを作り出すのは、「誰か」ではなく「自分自身」。



無限のボランティア精神を持とうとか、見ず知らずの誰かの貧困のためとかそんな大それたことじゃないんですよね。



目の前の人
大切な人
一緒にいたい人
笑顔でいてほしい人




そういう人たちのために出来ることを探し続けてきたのが、カリアスであり、フィアナであり、イリスやアリア、リーゼにエリル……周りに集まってきたみんなだったんですよね。
彼ら彼女らを本当に心の底から尊敬します。
改めて、どうか彼ら彼女らに世界の祝福がありますように。





緋月薙先生の次回作にも、心からの期待をこめて。



以上!

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