カテゴリ: ファミ通文庫

今日のラノベ!




俺だけが死んでいる

俺だけが死んでいる

著者:
羽根川牧人

イラスト:
kona

レーベル:
ファミ通文庫


【あらすじ】

高町十折は交通事故で亡くなった―と思いきや、目覚めたら学校にいた。何故かクラスメイトは彼の姿が見えるらしい。そして、またたく間に成仏するべき派と、幽霊のままでいい派にクラスは分かれてしまった。しかも成仏派の筆頭は、密かに憧れていた久住沙羅!冷静に成仏すべき論を言う沙羅に、十折は悲しみと怒りから宣言する。「俺が消えることをお前が悲しいと思うようになるまで絶対成仏しない!」その日から、十折の新しい学園生活が始まった!





感想:★★★★★




う……ああぁ…………








修学旅行中に乗っていたバスが事故を起こし、運悪く死んでしまった主人公・十折がクラスメイトにしか見えない霊になり、伝えることのできなかった好きだという気持ちをクラスメイトの沙羅に伝えるまでの物語。



感情がとても忙しかったです



冒頭の修学旅行のシーンをはじめ随所にある普通の青春模様は、読んでいる間は普通のシーンなのに読後にはとても尊くかけがえのないものに見える仕掛けがありました。
むしろ普通であることが最大の仕掛けというべきでしょうか?
多くを語れるほど特別なシーンでないことこそが何よりの特別なんです……



表紙の4人(左から十折の幼馴染の朔、同じく幼馴染の明日花、主人公の十折、辛辣姫こと沙羅)が繰り広げる友情と愛情の駆け引きは、その内の1人が既に死んでいるということを感じさせないほど生に満ち溢れたラブコメでした。
口絵にもある「ギャップ萌えで殺す気か……」のシーンとか最高ですよね……!
後からジワジワくる破壊力があります。泣きぼくろとか。

幼馴染同士だけでも綺麗に三角関係を築いているのに、沙羅が加わってもそれはそれで綺麗な四角関係になっているというのがラブコメとして面白かったです。
その関係性も物語が進むにつれて徐々に矢印が補足されていき……



「夢は叶えるものか、それとも見るものか」という命題を掲げつつ、生きた証しとして1本の脚本を残すという沙羅と十折のチャレンジもまた、違う形の青春です。
沙羅は「夢は見るもの」派でしたが、もしかしたら本来の主張とは別の意味も含まれていたのかもしれないと読後の今では思います。
制限のある中で沙羅が出せた最大のヒントはコレだったんでしょう……。
うあぁ…………。



そしてラストには、読む前には想像もしていなかったオカルトというかファンタジーというか、それまでの展開が全てひっくり返るかのようなイレギュラーと、伏線を全て回収しきる息をするのも苦しい50p。
特に最終章「Good bye again」に入ってからは本当に悲しくて苦しかったです……。

それまでのストーリー、タイトル、口絵、修学旅行で訪れた天橋立、同じく伏見稲荷大社……。
使える要素を全て使っての盛大な仕掛けと、中盤で広げすぎかと思われた風呂敷をたたみ切る構成に驚かされました。
特大のイレギュラーに関しては、それまで提示されていた情報から導くには少し飛躍している設定だったので評価が分かれるところなのかもしれません。
その「少し」が気にならないくらいにはその後の展開が衝撃的だったので問題ないとは思いますが.







ああ、それにしても「こうなっちゃったかー……」な感情をどうしましょう?
このラストは全く想像していなかった訳ではないですが、流石に特大のイレギュラーは想定していなかったので辻褄が合わず没にしていた想像だったんですよね……。
具体的には「他のクラスの人が朔と明日花が抱き合っているのを見ていた」という描写が辻褄合わなくてですね。

なので、展開そのものもショックですが、一度没にした予想が合っていたというショックも結構キテます……。
そんな状態でレジに立ってた私を誰か褒めてください……。

とりあえず……読書メモいきます。






読書メモ




32p:そもそもどう死んだ?
⇒描かれているようで描かれていない、十折の死亡シーン。
幾度かに分かれて言及されましたが実(ここで途切れている)



71p:つら……
⇒死後に自分の名前の由来を知るって、どうしようもなく苦しく悲しいですよ……。
十折父の

そう思っていたんだがな


というセリフに込められた哀愁が余計につらくて、胸を掻き毟りたくなるような衝動に駆られました。



91p:クラスマスツリー
⇒誤字ぃ……



101p:イラスト
⇒章扉絵とでも言うんでしょうか?
どの章についているイラストも沙羅が素敵です……。
それを確信した2章と、やっぱり最後の5章は忘れられないですね。



106p:抜き取る
⇒十折が自分のもの以外触れないという設定はいずこへ……という感じで沙羅所有のブルーレイをひょいっと本棚から抜き取るシーン。
設定の覚え間違い……?



149p:偶然
⇒このシーンを読んだ時点ではちんぷんかんぷんな沙羅の発言も、読後の今読み返すと言いたかったことが分かりますね……!
うあぁ……つら……



277p:ラスト2行
⇒完璧な後味。
これだけ多くの要素を抱えつつも「夢に対してのスタンス」という中心軸をハッキリとさせ、立ち止まる時間は終わったことを暗に示すかのように扉を閉めるという動作で終わる。
ん~~~、気持ちの良い終わり方!





まとめ




Twitterでオススメされていたのを見て飛びついて買いましたが、本当に読んで良かったです。
名前は伏せますがオススメツイートをしていた方、ありがとうございます!!


死んでから生きた証しを残す物語、と纏めることもできる今作。
少なくとも今生きている自分は何をしなければいけないのかを考えさせられました。
全てが後の祭りになってしまわないように、できることから少しずつ、それでも着実に取り組んでいかなければいけないと強く思いました。
一種、強迫観念じみているのでもう少しマイルドに意識したいところですが。




以上!




どもー。
deskyzerです。


お金欲しさに夜勤と日勤を同時にやりくりしようとしているので、睡眠が不規則になりそうです……。
ついでに先月のようなほぼ毎日の更新はやっぱり厳しくなってくるのかなぁ、と思います。

ただ!!
ここで諦めたらいけません。
今年のdeskyzerはただのdeskyzerではありません!
ちょっと頑張るdeskyzerです!
……はい。



では、今日のラノベ!

F級討伐屋の死にスキル 2


F級討伐屋の死にスキル 2
魔術女子をパーティーに入れてはいけない理由は?

著者:
黒九いな

イラスト:
bun150

レーベル:
ファミ通文庫


【あらすじ】

拠点を移したジンとエイン。しかしその街では「死ね」と言うだけで相手を木っ端微塵にする『通り魔』が現われていた!しかも、それを警戒したギルドの対策で三人以上のパーティーでないとクエストが受けられない。『通り魔』の正体も気になっていたそんな時、魔術師の少女カシアがパーティーに加わりたいと申し出てくれた。しかしジンは、彼とエインを「先輩」と呼び慕う彼女に違和感を覚えていて―。異能アクションファンタジー第2巻!




感想:★★★★★







マジで恋する5秒前



(可愛い後輩)
(あざとい)
(確実に罠)
(それでも良い)
(むしろそれが良い)







大好きな作品の第2巻というだけでもう興奮度が高いですが、それに加えてこの可愛い新ヒロインですよ……!
名前はカシア・サリスチャン!
可愛い!!


表紙を見て!
この「自分の可愛く見えるポイントはしっかり分かっています」とばかりの自信に満ち溢れた顔と、可愛いポーズ!
特に杖をスリーピースで持っちゃってるあたり、ヤバくないですか?
冷めた目の主人公とのギャップも相まって、本当に好き……。




そんなところから始まる感想になりますが、第1巻と同じく1冊の中でのジェットコースターのような展開の振れ幅に大満足であります!




ストーリーを大きく分けるなら125p前後。
ジンがカシアに疑いの眼差しを向ける前半と、何かを企んでいることを確信してからの後半。


前半は、「カシアは良い子?それとも悪い子?」と疑いながらもカシアの可愛さにのめり込んでいく自分に恐怖しながらの読書でした。
正統派小悪魔系後輩女子の破壊力は、何番煎じだろうと衰えません……!
むしろ皆が一番煎じと言っても過言ではないです。
ジンはよくカシアと1ヶ月近くも行動を共にしながら手を出しませんでしたよね……。
フィクションなんだから出しちゃっても良いのよ……?
いや、むしろ出すべき(強い断言)



そして後半は、さながらカシア無双と言ったところでしょうか?

やっぱり悪い子だったカシアの今までとのギャップに萌え、
母の姿への憧れとも哀れみとも取れぬ複雑な感情に涙し、
悪い子であろうと強がってる姿に裏切られ、
でもやっぱり悪い子になりきれないところに再度悶え……
意識しない涙が流れ困惑する姿に胸が締め付けられ……
プロローグ前の「お願い 置いていかないで」というセリフの意味に胸が締め付けられるようで……









結論:可愛い






努力を重ねたうえで、快適に生きるために手段を選ばないカシアの生き様は今もっとも参考にしたい生き方な気がします。
時間がかかっても自分の根底にある気持ちに素直に気づくことができる真っ直ぐなこころを持っているのですもの。
道を踏み外すことなく、きっと母のように慕われるような立派な存在になっていくのでしょう……!
それまでジンとエインの心労がどこまで溜まってしまうのか、そこからは目を逸らすことにします……







読書メモ





25p:加護の補給
⇒装備に宿る竜の加護は補給しなければ枯渇する、という設定が新鮮で面白かったです。
こういう設定があると彼らが生きていることを実感するので、よりこの後の……ちょっとつらいシーンが……すごくつらくなります……。
策士か。



73p、86p:ジン
⇒彼の自意識逆過剰っぷりがカシアの唯一の誤算……
褒められると裏を読む。
おだてられると裏を読む。
それがコミュ障。
カシアみたいな子からしたら一番タチの悪いタイプですね、コミュ障。



137p:姫賊
⇒その異世界版オタサーの姫みたいな語感……(笑)



185p:キター!
⇒1巻でも一部の私に大好評だったセシルのマジギレが今巻でも見れて、全私が大興奮です!
このシーンがあると信じて読みすすめてきた感すらあります。




213p:過去
⇒ジンがいくら前を向こうとしても、過去が追いついてくるんですからどうしようもないです……。
今巻ではジンが“英雄”として持ち上げられるシーンがありましたが、それもこのシーンと対をなしてジンを縛る過去として機能していたように思います。
それだけの規模で“英雄的活動”をやらされていたと改めて思いますが、そろそろジンの心も持たなくなるんじゃないかと心配です。
そう、例えば他人に深く関わらないようにしていたジンの懐に無理やり入り込んできた女の子が目の前から姿を消したら、とか。
黒九いな先生ならやりかねないです。
……やってほしい自分がいることも否定しませんが。





まとめ




このシリーズの唯一の欠点は、良いポイントが散りばめられすぎて感想で全て拾いきれないことでしょうか?
ダンジョン内での小ネタとか、エインの成長が伺えるシーンとか、本当にあますことなく面白かったです!!!

カシアが仲間に加わって騒がしくなるであろうジン達の旅路、また読みたいです……!





以上!







どもー!
デスカイザーです。


ラノベニュースオンライン様の企画に(たまたま)参加してまして、先月ファミ通文庫より刊行された『三国破譚』のサイン本をいただきましたなのです!
読んでる読んでないとか、そういうの関係なく作家様のサイン本がいただけるというのはとても嬉しいです……!!


……ということで今日のラノベ!


三国破譚


三国破譚 

孔明になったけど仕えた劉備は美少女でゲスでニート志望だったの事

著者:
波口まにま

イラスト:
saraki

レーベル:
ファミ通文庫


【あらすじ】

三国志好きの中原天人は、突然諸葛亮孔明に召喚され「余命少ない自分に代わって劉備に仕えてくれ」と頼み込まれる。願いを聞き入れた天人の元に現れる劉備、関羽、張飛!!伝説の三英雄は、なんと全員美少女!?ここは女性が活躍する三国志世界だった!!しかも、聖人君子と思われた劉備は、曹操軍と戦う気がないどころか、ニート暮らしを夢見る、卑怯・外道・ゲス作戦上等のダメ人間で!?孔明として群雄割拠の三国時代を駆け抜けろ!!





感想:★★★★☆




三国志を知らなくても問題ないけれど、三国志を知っていたほうが面白そうな物語!
(三国志知らない勢)




三国志大好きな主人公が、三国志のゲームを朝までプレイした後寝落ちしたら孔明に部屋ごと召喚されて孔明の変わりに劉備たち蜀軍に加わり三国志世界を駆け抜けるお話。
第一印象も読後も変わらぬ印象として、やはり「圧倒的信奈感」はあります。信奈ファンとしてはなおさら。
パクリだとかそういう批判的ニュアンスではなく、むしろ賞賛の意味でですね。

世界観の再現、史実や記録を活かしつつ改変、改変しつつあくまでも本筋の平行線で有り続ける点など、私が思っている『信奈』の歴史ものとしての良い点をほぼ全て持っているところが素晴らしいです。
作中のキーワードで検索かけて記録を見るも良し、何年後かにTVの特集を見た時に「劉備(美少女)はああいう選択してたけど、ノンフィクションだったのか……!」みたいな感動するも良しで、読後も楽しめるのが最高ですね!
あと、歴史の強制力あるいは自浄作用が働き主人公が苦戦・苦悩したり、自浄作用すらも計算に入れた奇跡的な作戦を決行したり、世界そのものに挑戦していく無謀さが堪らないんですよね!



唯一残念なのが、タイトル。
サブタイトルが、どうしてかラノベチックになってしまっています……。
たしかに、劉備の「働きたくないでござる!」気質であったり、張飛の妹感であったり、関羽の美少女僕っ子っぷりであったり、キャラクターはそれぞれアキバチックな特徴を持っていて、それは素晴らしいです!
素晴らしいですが、それはタイトルに出してはいけない特徴だと思うんですよ……。
内容は伝わるけど、その伝わる内容が本文で初めて知ることができたらどれだけ面白かったかと考えると非常に勿体無いといいますか……。

バー○ヤンの「チャーハン」が「○○産のこういう特徴を持つ米を使い、どこそこから仕入れた卵と肉で香ばしさと旨味を足しパラッと炒めたチャーハン」としてメニューに載っているかのような蛇足感。
なんなら応募時サブタイトル「外道劉備と偽孔明」のほうが良いと思うんですけど、なんで変えちゃったんでしょうね?
時流?
だとしたらすごく勿体無いことをしてますよ、本当に。
サイン本が当たるまで買おうとしなかった最大の理由がサブタイトルと言っても過言ではないですし。
もちろん私とは逆にこのサブタイトルで購入を決定した読者もいると思うのであまり強く言い過ぎることはできないですが……。


ラノベの悪い所ですよ、無闇にサブタイトルまで付けてタイトル長くするの。





残りの感想は読書メモにて!





読書メモ




5p:気合い
⇒武力はどうにもならないけど、知力なら目に見えないから気合いでどうにかなるかもしれない、という主人公の考え。
まぁ……甘いですよねぇ……。
そこら辺を深くつっこんで主人公が猛烈に挫折するものだと思ってメモしましたが、…………挫折と呼べるほどのものは無かったですね!
むしろ、孔明を演じている間は乗り移っているかのように明朗かつ饒舌でしたね。
……なんとかなっちゃうのかよっ!!!



18p:オレ
⇒「カフェオレ」と「抹茶オレ」で「オレ」のイントネーションを伝えるという妙技!
その発想は無かった!!



序盤~中盤
⇒語尾・口調の定まらない感じが最高!
……嫌味じゃないよ?本当だよ?
三国志大好きとはいえ見知らぬ時代の見知らぬ土地に放り込まれ、憧れの人物の変わりとして生きることとなるというだけでボロはいくらでも出そうなところ。
そこに加えて主人公は、孔明っぽい喋り方もする時があり、そのクオリティが何ともいえない感じで(笑)
ただその何ともいえない感じが、物語の進行と共に主人公の中で孔明像が固まったのか違和感やブレも無くなってきて、たしかに一人の軍師としてそこに居るのだなと感じさせくれるんですよね。
恐らく2巻以降では感じることの無い感覚ですが、シリーズ通して忘れることのないであろう感覚でもありそうです。



95p:長い目線を持つニート志望
⇒意識高い系の前向きニート。
方向性は違うけど『GATE』伊丹の「働いている間に趣味をするんじゃない。趣味の間に仕事をするんだ」という考えに近いものを感じます。
こういうニートは大体何かしらで爆発的に成功するから面白いと思います。
なんだかんだ成功に必要なのは熱量なんですよ。



174p:嘘を真に
⇒あぁ~~!!
これラストシーンの伏線かー!!



191p:三国志っぽさ
⇒この作品の何が一番良いかって、三国志っぽい、もっと言えば中国古典っぽい雰囲気のシーンが要所にあるところだと思います。
ここをはじめ数回出てくる「君主の考えに感動し、泣き、永劫の忠誠を誓う」シーンや、終盤の「私だったらここに布陣しますわ!(高笑い)→布陣されてる(涙目)」の繰り返しだったり。
少なくとも文章の質という面で見れば、ラノベの良さと三国志に良さの両方を兼ね備えている大作だることは間違いないです。ちょっと質以外で気になる部分が個人的には多いというだけで。



193p:あー、これ聞いたことあるー!三国志だったのかー!!
⇒こういうパターンあるからラノベは面白い!





まとめ




たまたま同じ月に刊行された富士見ファンタジア文庫の『三国志妹』と合わせて、ラノベから三国志を学ぶ日々が始まりそうです。
せいぜい三國無双をチラッとやったことがあるくらいなので……既に1巻の段階で人名は怪しくなってきてますが、記録と創作のコントラストが美しいので読み進めることに苦は無いです。
なので、補足的に自学もしつつ、2作品とも完結まで読めたらいいなぁと心から思います!




以上!

今日のラノベ!!


F級討伐屋の死にスキル

F級討伐屋の死にスキル 

「死ね」と言ってはいけない理由は?

著者:
黒九れいな

イラスト:
bun150

レーベル:
ファミ通文庫


【あらすじ】


討伐屋になって二年。未だに最低のF級のジンは、ギルドで憐憫の目を向けられても、頑なに単独クエストを続けていたが、C級装備の美少女エインに「秘密をバラす」と脅され彼女とパーティーを組むことになってしまう。しかし、楽勝のクエストのはずが、D級の粘竜に繁殖対象として襲われ、エインはあっさり貞操の危機に!?やむなくジンは“あの力”を発動させるのだが―。その“必殺”は無意味!?最弱のスキルを持つ少年のアクションファンタジー!




感想:★★★★★



ラノベ界の怪人二十面相、現る!




ありふれたジャンルをどう調理するのか気になりながら表紙買いしたのですが、とんでもない化け物に出会いました。

表紙から1pめくっての扉絵、ヒロインのエインが「殺してっ!」って叫んでいるイラスト。
まずこことタイトルを合わせて、

「なるほど。この作品は死という概念に多角的に切り込む作品なのかな?」

と予想を立てました。
それは間違ってなかったですし、物語の核に食い込む重要な部分でした。でもそれだけじゃぁ無かったのです。




序盤。
ギルドの酒場で寝たフリをする主人公・ジン。
周囲の人たちが嘲弄と心配を交えた目線を送る中、グイッと容赦なく踏み込み自信満々に巻き込んでいくエイン。
このシーンから、

「なるほど。この子の弱点とジンの弱点、お互いに補って死にスキルを活かしていくんだな?」

と予想を立てました。
これは半分くらい間違ってました。
補い合うというよりは、ほぼ一方的にエインをジンが補ってましたからね!
“ほぼ”というのがミソです。



中盤。
エインがならずものに捕まり、ジンが竜ではなく人に対して「死ね」と物語上で初めて言うシーン。
ここで一気に流れが変わり始めました。
さながら増水していた川の水門を開けたかのように、流れが早く、今まで見えてなかったものが見えるように。
序盤で粘竜との異種姦触手プレイえっちなシーンをコメディで済ませていたのに、ならず者相手のこのシーンでは一気に暗い雰囲気になっていましたが、これはここから先に人の醜い部分が前面に出てくることを示唆していたのでしょう。
また、ジンの過去に何かがあると決定的になったのもこのシーンでした。
人を殺すことにあまりにも慣れすぎているんですもの。
というかあの扉絵からトマトグシャァまでの落差すごいですね、大興奮です!(平常運転の二次リョナラー)



終盤。
ジンの義弟・ライナスの登場により、また流れが変わります。
先ほどの例えを続けるなら、水位が下がり豊かな生命体の育まれた川底が見えていたところに鉄砲水のような猛烈な濁流が押し寄せてきたかのような。
最早常識の通用しない暴論のライナス、ジンのスキルも通用せず。
回想が入り、そこに逆転の布石があったものの、同時に次々と凄惨な過去が明らかになり読者ボクのHPはガリガリ削られ。



弱りきった心に染み入る赤青コンビの赤のツンデレ!
大きな声の男の男気!
そしてエインとジンの濃厚なベロチュー!









これがラノベだ!!!!!






回想シーンで野犬に喰われる等の末路を迎えた女の子が良かったです(平常運転の以下略)。
趣味嗜好はともかく、本来口封じの殺しってあれくらい理不尽なものだと思うんですよ。
そこら辺を誤魔化して書いたり生温かったりする作品がたまにありますが、フィクションなんですから思い切って自分が一番酷いと思う状況を作り出して欲しいです。
いや、ホント性癖と趣味嗜好はともかくとした話です……よ?




このように!!!!!!
(エクスクラメーションマークによる強引な方向転換)


前半のコメディ・微エロから、後半のシリアス・微グロに至るまで実に多彩な表情を持っていました!
いちいち素直に反応してくれるエインが、この作品の急流によく馴染んでいてとても良かったと思います。
どの女の子も特徴がハッキリしていましたが、エインはメインヒロインたるだけあってジンから見た時に一番突出して見えるようになっていましたし、そう見えることを自然に受け入れられるだけの度量が作品にありました。

あと、ジンのコミュ障という特性を反映してなのか、赤青コンビをはじめ名前の出てこない重要キャラが幾人も居たのが好きですねー!
装備を変えたら判断がつかないとか、名乗りではなく外見から装備特性や戦い方を推測する、みたいな細かい部分からもフフッとさせていただきました!大好き!!







残りは読書メモにて。


読書メモ



70p:攻撃と防御
⇒素人とプロの差が顕著なのが攻撃よりも防御だという話にとても納得しました。
あのですね!!!
昔フットサルのキーパーやっていたんですけれどもね?
キーパーってそもそも一人じゃ型の練習しかできないうえに、シュート練習や戦術練習も実戦と想定しているとはいえ実戦とはかけ離れた状態でやるわけです。紅白戦も勝ち負けを本気で競う形でもない限り、(プロでもなければ)緊迫感がそこまであるわけでもなく。
結局一番練習になるのが本番の試合ということになるわけなんですよ。

っていうことを思い出しました(オチ無し)



93p:こなれてるな
⇒エインを巻き込んでいないかを

やべ

で流すあたりに猛烈な違和感と不穏な空気を感じました。
ここから流れが変わってきた、というのは上述の通りです。



106p:暗殺、やっぱり
⇒不穏ワードの登場ですが、やっぱりモノローグでさらっと流すんですよ。
闇の深さにいよいよ覚悟を決めたのがココでした。



148p:恥ずかしいッ!
⇒……覚悟を決めた矢先の勘違い生前葬というコメディパート。
ノンネームドキャラがとても良い仕事をしていますw



188p:弟!?
⇒他国に何かあるとは示唆されていましたが、まさか王族とは……。
ついでに言うならここの驚きレベルを残りの80pで3回くらい塗り替えていくからズルいと思います!
そんなん面白いに決まっとるやん……


196p:怒声
⇒ダメ押しの良ポイント!
本気で怒った時に立場とか関係性とかキャラとかを忘れた言葉遣いになるって、当たり前にありそうでフィクションではあまり見ないんですよね。
結構しっかり敬語使ってたり順当な言葉選びだったりするので、フィクションって大変だなぁってたまに思ってました。
でも今作の騎士セシルは違いました。
凶行に出たとはいえ王族に向かって、幼い護衛対象の前で、




何をしやがんだテメェ!?



……です。
最初誰が言ったのか分からないくらいに崩れた言葉で、セシルだと気づいた瞬間痛快で笑っちゃうくらい最高でした。
そうそう、やっぱり人間本気で怒ったら大体こういう言葉遣いだよね!!
(読む10時間くらい前にこういう言葉遣いでキレた人←良くない)




まとめ





エインの討伐者としての成長、ジンの贖罪、セシルとライラの処遇。
2巻に向けての布石は十分で可能性はどれも無限大。
いやー楽しみですな!!



以上!



どもー。
デスカイザーです。

今年も残り一ヶ月!
つまり今年読めるラノベも予定的にはもう20冊くらいが限界かもしれないということ。
(……アニメが溜まってなければもう少し読めるんだが)

2016年の初ラノベを何にするかも考えとかないといけないですねー。
2014年は『織田信奈の野望』1巻
2015年は『彼女はつっこまれるのが好き』2巻
今のところ、候補は
未読の中だと『GATE外伝1』『織田信奈の野望外伝』
既読の中だと『C3-シーキューブ-1』
あたりです。
まぁ、あと一ヶ月頑張りましょ!



んじゃ、今日のラノベ!

獣娘小隊にやる気なし司令官が着任しました。 (ファミ通文庫)

ファミ通文庫より
『獣娘小隊にやる気なし司令官が着任しました。』です。


【あらすじ】

暇すぎて出世ができない最悪の左選先『アリ地獄基地』。そここそが怠惰を愛する男・リオンにとって最高の勤務地だった!しかし意気揚々と着任するも獣人種の兵を束ねる人狼族の少女ルガルが彼のやる気のない態度に猛反発。さらに獣人と人間が対立し、砦には不穏な空気が漂っていた。そんなある日、リオンがルガル達と外出している間に、砦が敵国によって占拠されてしまう!嘆くルガルのため、リオンが打ち出した秘策とは!?獣娘ファンタジー軍記、開幕!


感想:★★★★☆

主人公・リオンのスタンス=やる気なし自体は、もはや目新しさが欠ける設定に感じるようになりました。
「やる気ないと思った?残念、やる時はやるんです!」
っていうギャップを楽しむのが第一だと思うんだけど、こうも色々読んでると被りが、な……。

とはいえ、第二、第三の楽しむポイントはバッチリですよー!


主人公のスタンスは上述のとおり「やる気なし」
それ自体はありふれてるけど、その根底にある思考パターンは作品により千差万別なので、そこが一応の差別化ポイントですかね。
この作品の主人公・リオンの行動指針は、


「頑張らないためなら、どんな努力も惜しまない」



すごく共感。
何せ、私デスカイザーの行動指針と全く同じ!
凄いよね。
もう読んだ瞬間鳥肌がすごかった!


作品自体の話ではなくなりますが、デスカイザーが”ラノベ”の次に面白いと思っている趣味のひとつである”熟語を漢字から意味付けしていく”を使って、「頑張る」と「努力」の違いを説明いたしましょう。

「頑張る」=”頑なに””張る”
張る、というのは……そうですね、”諦めない、撤退しない”みたいな意味に捉えましょう。
つまり、「頑張る」という言葉は「意地でも諦めない=自分の力以上のTRYをする」という意味になります。

そして、
「努力」=”力を””努める”
つまり、「自分の力を発揮する=自分の持てるだけの力を行う」という意味になります。


お分かりでしょうか?
つまり、リオン(そしてデスカイザー)は、「自分の持てる力の限りを尽くして、自分の力で解決できないことを起こさない」ことをモットーとしているわけです。


直感的な例を示すと、
試験前に慌てて勉強すること、は「頑張る」で、
普段からコツコツと(あるいは計画通りに)学習すること、は「努力」なのです。


作品内ではリオンが自分の生き様を語っているシーンがあります。
もちろん、上で挙げたような理論ではないうえに、「無茶」という新たなワードが加わっています。
でも、そのシーンのおかげで。
彼は決して、決して適当に生きているがために「やる気なし」をしているわけでは無いという事実がはっきりとします。
……真面目なシーンと普段とのギャップをあれだけ作れるほど完璧にモットー通りに振る舞えているのは、リオンの出生をはじめとした身の回りの要因が深く関わっていることは否めませんが。





この作品は、「物語の中の誰かの手記をもとにつくられた物語」という設定のもとで書かれています。
リオンが「やる気なし」の割に英雄であるかのような印象を受けるのは、そのせい。
……あとがきもその設定に則ってたから、「えっ?獣娘のいる王国って実在したの?」という突拍子の無い思考に囚われたのは内緒


誤植があるくらいには固有名詞がたくさん出てくるのがネックではありました。
ヒロイン(=獣娘)たちの名前は、種族ごとに連想しやすい名前(イヅナ、リュウカなどなど)だったので大丈夫だったけど、国の名前と人の名前はどうにも苦手でして…
絶対2巻読むとき苦戦する(予言)




個人的にリオンとの共感が底知れないので、続きがすごく楽しみ。




以上!

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