カテゴリ: その他のレーベル

今日のラノベ!



大須裏路地おかまい帖

大須裏路地おかまい帖
あやかし長屋は食べざかり

著者:
神凪唐州

イラスト:
平沢下戸

レーベル:
宝島社文庫


【あらすじ】

名古屋は大須にひっそり佇む小さな神社。そこの駆け出し神主を務める北野諒は、妖怪や神仏といった「あやかし」を見ることができる。そんな諒の副業は、人間にまぎれて暮らすあやかしたちが住む長屋兼居酒屋「なご屋」の雇われ店長。雇い主である鬼の一族、朱音にこき使われながら働く諒の元には、今日も怪異が持ち込まれ……。





感想:★★★★☆




おから入り手羽先が……食べたいです……




タイトル通り、名古屋は大須を舞台にしたご当地作品ですね!

大須に行ったことが無い人には、ここから興味を
大須に行ったことが有る人には、見覚えのある風景と次行く際のポイントを
大須に日常的に行く人には、登場する場所のマニアックさにニヤニヤを


それぞれのポイントで楽しめる作品になっていたんじゃないかなぁ、と思います。
私は1年ほど前に卒業旅行で立ち寄ったのが唯一の大須体験なんですが、そんな私でも207pの「インターナショナルな香り漂うグルメゾーン」や「招き猫の広場」は多分アレだなという記憶があります。


多国籍で雑多で、観光名所だけど生活感もあって、それこそあやかしの1人や2人(単位:人?)が紛れているほうが自然なんじゃないかと思う独特な雰囲気を持っている。
それが大須という地なんでしょう。





ストーリーは、あやかし長屋兼居酒屋の雇われ店長・北野諒が、大須の片隅で迷いあやかしの黒猫・トータを保護するところから始まります。
霊力の枯渇によるのか記憶を失くしていたトータに、あやかしが人間界で生きるために必要な知識やノウハウを教えながら共に生活し、その中であやかしにまつわる騒動に巻き込まれていきます。

トータの成長や失くした記憶にまつわるお話はもちろん、トータと過ごす中で諒や朱音も変化したり過去に縛られたり解き放たれたり。
「親は子供と共に成長する」という言葉がありますが、まさにその通りですね。
あるいは成長というよりは成熟に近いでしょうか?
元々諒の叱り方は要点を突いて最低限に収めていることもありとても上手いんですが、過去のことを冗談めかして念を押したり、ご褒美をわざとらしくなく置いてみたり、トータが不満に思わないような気遣いが増えていたのが印象的でした。




もう1つのポイントたる名古屋めしも、「なごやめし普及促進協議会公認」なだけあって美味しそうでした!
美味しそうというか最早美味しい(強い断定)

特におから入り手羽先ですね……!
奴はいかんよ。いかんよ、やつは。
どう考えてもビールがすすむやつじゃないですか。もう。まったくもう。ビール。


どて煮も食べたいですね……。これは日本酒で。
あと豚の串カツが出てきてましたね……。あれは知多ハイを合わせたい……。
志の田うどん。初耳だったんですがあれは圧倒的〆ですね……。



とりあえずこの感想書き終わったらビール呑むとして。
読書メモです。




読書メモ




5p:北野神社
⇒大須観音の北に位置する実在の神社。
つまりそこから徒歩十秒にあるあやかし長屋兼居酒屋も実在するという雑な名推理はともかく、菅原道真を祀るこちらにも足を運んでみたいものです。



18p:青く染まったドラゴンズブルー


遠い夜空にこだまする
竜の叫びを耳にして
ナゴヤ球場つめかけた
ぼくらをじんとしびれさす
いいぞ頑張れドラゴンズ
燃えよドラゴンズ



(「燃えよドラゴンズ(作詞・作曲:山本正之)」より)


スピードワゴンの「ナゴヤドームに行きましょう」に当てられてる感はある




84p:錦三
⇒「名古屋市中区錦三丁目」の略称で、ここは有名な歓楽街なんですって。



143p:大須の縁日
⇒折角大須行くなら、より多くの人で賑わっている日を狙いたいですよね。
ということで月2回(18日、28日)開かれる骨董市のなかでも縁日として賑わう28日の骨董市に、いつか行ってみてはいかがでしょう……!
丁度今月(2018/4)は土曜日ですし。
私は……ほら……お金が無い。



165p、200p:鬼の過去
⇒多くは語られませんでしたが……諒から見た“先代”に当たる方ですよね……。
このあたりから、どこか浮ついた空気が無くなってピリピリしだしたような感じがありました。
人の死はさすがに重みが違います……



181p:アクアイレブン
⇒カフェ&バーの店として登場した店名ですが、調べた限りでは実在店舗では無いようです。
が、多分この店名の由来は名古屋市を中心に活動するジュニアサッカーチーム「アクアJFC」でしょう。
サッカーは11人競技ですから。
調べなきゃ地元民でないと分からない小ネタですが、ご当地ものはこういうので良いんですよ……!
むしろこういうのが良い……!



280p:大直禰子神社
⇒こちらは北野神社と同じく実在する神社で、調べてみるとトータがここに居たちゃんとした理由がありました。
面白かったのでリンク張っておきます。
是非、本編を読んだ後に。

大直禰子神社:名古屋神社ガイド





まとめ





「大須に行きたい」
そんなシンプルな気持ちが募っていく小説でした!

面白かったし、美味しかったです!



以上!



今日のラノベ!


信長とセーラー服

信長とセーラー服
時をかける大和撫子

著者:
井の中の井守

イラスト:
ぼに~

レーベル:
美少女文庫


【あらすじ】

「信長くんが好き……」お嬢様学校へ通う一条静香は“時をかける少女”!?
戦国時代を行き来して、恋した相手は織田信長。爺・平手政秀の諌死を嘆く青年信長を慰めて初体験!那古屋で岐阜で安土で、愛する人を追いかけて……身も心も巨乳も捧げる大和撫子!
本能寺の変、恋の奇跡は起きるのか?




感想:★★★★★




最初にこれだけは。


ラスト50pがやばい!







美少女文庫の戦国モノと言えば!な井の中の井守先生の最新作ですね!
帯にて「新代表作」とまで謳う自信、読み終わった今となっては納得です。




全寮制のお嬢様学校に通う元陸上選手の一条静香が、祖母の形見の懐中時計と信長ゆかりの地を特異点として過去と現代を行ったり来たりしながら自分の性格と向き合い、そして信長と恋する物語です。

静香があまり日本史に興味がなかったというのもありますが、戦国モノとしての濃度は薄めです。
ただ的確に要点を突いているので、「要素薄いなら戦国じゃなくてもいいんじゃない?」ということには全くなりませんでした。
必要な事前知識は「織田信長が現在の愛知県で育った戦国時代のキーマン」くらいですね。
メジャーでないのは平手の爺の諌死くらいですが、それも本文読んでいれば十分把握できるようになっているので大丈夫でしょう!



本質的なテーマは、「自分の意見を恐れず言おう!」でしょうか。
内向的な性格で周りの意見を遮ることが苦手な静香が、「親代わりの死」という同様の経験を持ちながらも唯我独尊を貫き己を律する織田信長と関係を密にするなかで彼から学び徐々に変わっていく、そんなストーリーがすごくもどかしくて好きです。
自分の性格なんて、そんな簡単に変えることはできないんですよ。
幾ら理屈では「こう動くことが正しい」と思えていたとしても、過去の経験から足が竦んでしまう。いつもと同じ選択をしてしまう。
そして自分では変わったと思っていても、周りから見るとその変化が「改善」として写るか「悪あがき」として写るかというと……。
大して親しくもない、せいぜい顔見知り程度の人間関係の上での変化は「悪あがき」にすら見てもらえないことのほうが多いでしょう。


それでも。
それでも、静香は自分の愛する人からの助言や、愛する人の立ち振る舞いから学び、変わることの恐怖を感じつつも変わろうとしていくんですね。
信長からしたら、自分の惚れた女が自分を参考にどんどん変わっていこうとするんですから嬉しくないわけがない!
少なくとも私は信長の立場で静香の変化を見たら、胸が熱くなると思います。
だって、人の意見に流されることが常だった女の子が、最後には自分の死に際に諫言するにまで変化したんですから!





そんでもって、ラスト50pの話です!
本能寺の変の最中。
お互いに「初恋の相手を見殺しにできるわけない!」という気持ちで……

あー、待って。これどこまで書くべきでしょうか?




……核心の部分はぼやかすことにします。





信長が
かっこよすぎて濡れるッ!!


ラストシーンの
伏線はちゃんとあったッ!!






特に2つ目ですね。伏線。
全く意識していなかったところだったので、見つけた瞬間「おわーっ!」って叫びましたね。
そもそも伏線の有無が定かでないところから「井の中の井守先生なら絶対に仕込んでいるはず」という根拠のない自信で探し始めたので、本当の本当にビックリでした。
まぁ「仕込んでいるはず」とか言いつつ先生の作品初読みなんですけどね?
この1冊読んだだけですが、そういう所やってくれそうだなぁと思っていたので。






肝心のエッチシーンですが、どれも濃厚です……!
冒頭の自慰シーンからラストの種付けまで、どれも素敵……!


静香は「THE・文学少女」な見た目しておきながら元陸上選手で体力には余裕があり、かつ敏感で自慰も頻繁にするけど貞操観念は純朴な乙女、とか属性盛りすぎてありがとうございます!っていう感じですね。

信長はさすが戦国乱世の男性なだけあって、女性経験豊富で性欲も旺盛。
自慰以外の経験が無い静香をリードしているくせに、妙なところで意地を張っているところに可愛げも感じさせて。
戦国の傑物も惚れた女にはああいう可愛げのある一面も見せるんですね……!いいですねぇ……!





読書メモ




9p:処世術
⇒「日本伝統」の企業の考え方としてはこれ以上なく的確で、彼女の通っているのが古式ゆかしい考えが残っていてもおかしくないミッション系の学校であることを踏まえて今後のことを考えると、ここの3か条の処世術もあながち間違ってないと言える、ということが怖い。
そして、この先でそれを真っ向から否定していくのが400年前の人物だというのだから面白い



11p:東北青目
⇒「東北に青い目の人が少なからずいる」というのは初めて聞きましたね……。
いくら生粋の日本人といえど、そのルーツをたどっていけば別の人種に別れるので不思議なことではないんでしょうけども、やっぱり少し不思議な気もします。
ただ、「青目=外国系の血縁あり」という考え方は綺麗さっぱり捨てるべきみたいですね。



198p:僕の幸せ
⇒唐突に放り込まれた百合に歓喜するdeskyzerさん。
外見で素敵だと思って、自分と共通する部分を見出して、恋に落ちちゃったんですね?
あー尊い



293p:滅びてしまえ
⇒信長ではなく静香からこのフレーズが飛び出してきたことに驚きです。
成長しましたねぇ……ホロリ




まとめ




美少女文庫さんがtwitterで「今まで美少女文庫を読んだことがない人も是非!」と宣伝していたのを見て購入を決めたんですが、大正解でした!
今まで戦国モノと言われたら「いかに史実に絡めるか」「いかに濃く魅せるか」を求めていた節がありますが、この作品でその価値観がだいぶ変わったように思います。
史実を大事にしつつ、あえて武将の内面に大きく焦点を当てる今作のような魅せ方もすごく面白いですね!



アフターストーリーになっている特典SS(とらのあな)のおかげで、最後の最後まで満足しました……

幸せ!
ありがとうございました……!





以上!

今日のラノベ!


異世界居酒屋のぶ 二杯目

異世界居酒屋のぶ 二杯目

著者:
蝉川夏哉

イラスト:

レーベル:
宝島社


【あらすじ】

ある日から店が異世界にある古都と繋がってしまった居酒屋「のぶ」。訪れるお客たちは寡黙な店主、ノブ・タイショーと給仕のシノブが振る舞う酒や料理が好きになり、たちまち古都では「のぶ」が受け入れられていった。そして迎えた秋。にわかに街の人々の間で不穏な“魔女”の噂が広まりはじめていた。さらに、魔女の噂を聞き付けた大司教まで古都に来訪して…。人と人の縁を結ぶ小さな居酒屋の物語。「小説家になろう」から生まれた異色グルメ小説第二弾!




感想:★★★★★




常連から初来店まで、庶民から王侯貴族まで。
今巻も幅広いお客様で賑わう「居酒屋のぶ」の、心温まる様々なエピソードが詰め込まれていました!



今回のテーマは「淡い好意」といったところでしょうか


『女傭兵』では、リオンティーヌという東王国(オイリア)出身の女騎士が、かつて戦場で見えたとある騎士を探して古都に来るのですが……
運命のイタズラとはかくも面白く、残酷なもの。
つい、そう思ってしまうようなお話です。
ダシのように胸に沁みるんですよこれがまた……



『古都の秋刀魚』では、水運ギルド<鳥娘の舟歌>のギルドマスター・エレオノーラが「のぶ」で秋刀魚を食べていたら、近くで呑んでいたニコラウスが……?なお話。
大人な恋の始まりの予感……?な トゥンク 案件です。
混ぜご飯に喩えるなら、どっちが秋刀魚でどっちをコメにするか。それが問題だ。



『秋の味覚の天ぷら』では、吟遊詩人を目指す青年・アルヌが「のぶ」で天ぷらを食べたことで、自分の目指す場所を「料理と美酒」を歌うクローヴィンケルという詩人に定めます。
アルヌはこの巻の最重要人物と言っても過言ではないキャラなんですが、家業か吟遊詩人かの間で定まらず、ついにはアルヌの詩を読んだクローヴィンケル本人にまで指摘されてしまう始末。
(テーマにこじつけてるようかもしれませんが)『秋の味覚の天ぷら』時点でのアルヌにとって、家業とは尊敬する先代のように完璧にこなさなければならないものという強迫観念があったんだと思います。
だから、「好き」だけどそこに未熟な自分が入ることで踏み躙りたくない、というのを無意識に思い吟遊詩人の道に逃げていたのかなぁ、と。
その逃げは消極的ではあるけれど、なんだかんだ「古都を知る」という点においては家業に役立つものでもあったので決して無駄にはならないんじゃないかと思います。
頑張れアルヌ!


上の3篇以外にも恋愛、親愛、友愛、もちろん食やお酒も含めて、色んな形の好意が「のぶ」で生まれ、伝播していく様が描かれています。




それらの良さを引き立てているのは、暗に示す事柄(回収されないフラグ)の多さかもしれません。
回収されないフラグという語弊があるでしょうか……。
んー……。
回収された事に気づかないフラグ、というほうがいいですかね……。
『ナスのあげびだし』でのトマスとエトヴィンの会話なんかが良い例です。
最後の最後まで読んだ後にこのシーンを読むと「あぁ、そういう!」ってなるんですが、回収のタイミングではなかなか気づけないんです……!
他にも大なり小なり細かい仕掛けが散りばめられているんで、パラっと読み返すのが楽しいです。

そして、それらのフラグがまるでカレーに入れたチョコのように影に隠れて周りを引き立てているんですよ!(これが言いたかった)
3巻はもうちょっと注意深く読みたいと思ってはいますが、料理の美味しそうな空気に負けてちょろっとしたフラグが頭から抜け落ちるんですよね、きっと……。

それもまた魅力。かも?




読書メモ




18p:いつもの
⇒素人考えだと「いつもの」という注文はお店側にとって「いつものでスタッフが分かるほど通ってくれるお客様」という、絶好の好材料だと思っていました。
しかし、本当のプロは……やっぱり違いますね。
「いつもの」は体の良い停滞とも取れることを認識して、常に新しいものを提供できるよう考えているんですね……。素晴らしい……!



69p:ラインホルトは出来る子
⇒タコは食えるけど、ラインホルトは食えない奴



79p:レモン
⇒ベルトホルトさんの奥さんにして「のぶ」の給仕・ヘルミーナさんが、旦那さんの皿の絞った後のレモンをひょいパクするシーン。
レモン……
酸っぱいもの……
……いや、まさかね?



120p:ナスぅー
⇒ナスのあげびたしは、一人暮らしの時に常備菜としてよく作っていました。
作り置きなのでお酢を多めにしてましたが、やっぱり作りたてのあげびたしは良いですよ本当に……。
美味しそうに食べるトマスを見て、久々に食べたくなりましたー



137p:この一体感
⇒あの広さの居酒屋だから生まれるこの一体感。
「のぶ」がファミレスだったらこうはならない。



143p:おおおおぉぉぉぉぉ!!
⇒79pの自分が凄い



171p:アルヌの居た理由
⇒酔拳使いのアルヌが、毎日、昼間から「のぶ」に入り浸っていた理由。
なーるほどぉ?
彼が只者じゃないというのを察したシーンでもあり、113pのフラグを思い出すきっかけになったシーンでもあり。



189p:だし巻き玉子
⇒料理人の最初の一歩にして究極の一歩がだし巻き玉子
みたいな風潮ありますよね、すごいわかります。
だってあれめっちゃ奥が深いって、素人の私でも思いますもん。
味、形、火入れの時間、食感、触感、色合い、香り、etc……



198p:茶碗蒸し
⇒これもまたフラグ回収がアナウンスされないパターンでしたね……
「私はそのフラグ、認知しておるぞ!」って万能感やばいです



239p:チビ
⇒同上。難易度はこちらのほうが下。



**:イカ二貫
⇒イカと「のぶ」を掛けた結果のメモですね。
メモのクセがすごい




まとめ




古都の片隅にある居酒屋に、近隣の王侯貴族が味を求めてやってくる。
考えるまでもなく途轍もないことです。

現代日本の味が古都には珍しく先進的ということもありますが、「つい足が向いてしまうお店」を作っているのは何より信之さんとしのぶちゃんあってのものです。

このまま帝国と近隣諸国との微妙な軋轢も「のぶ」の魅力でどうにかしちゃえ!




以上!



今日のラノベ!


永遠姫の嫁入り

永遠姫の嫁入り

著者:
葉原鉄

イラスト:
みやま零

レーベル:
美少女文庫


【あらすじ】

 「この年で生娘だなんてみっともないねぇ」
 異形の鬼。千年生きつづける桃姫。可憐な童女にして鬼女。そして、俺の初恋のひとで今夜からは俺の妻……。
 「俺もはじめてで……というか俺、トワさまとはじめて会ったときから大好きで……」
 あふれ出す気持ちと一緒に、初夜だというのに腰が加速する。つなぎあった粘膜をこすればこするほど想いが伝わるような気がして。
 「そんなまっすぐ言われると、照れるねぇ」
 トワが、にへぇとだらしない笑顔で応える。
 俺しか知らないトワの笑顔。俺しか知らない、最高に可愛い俺のお嫁さん。
 「ああ、もう!鬼っていうか小悪魔だろ!可愛い、ああ可愛いッ、超エロいッ!ああ、くそッ!俺、トワさまが好きすぎる!」
 何度も妻の名を呼び、彼女の内面を掘り起こす。いとしくていとしくて仕方がない。



感想:★★★★★



ぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁああぁぁぁっぁっぁあ




最初から最後まで身悶えることになるのは想定通りでしたが、少しくらいは期待を裏切ってくれても良かったと思います。
じゃないと骨抜きになってしまって生活に支障が。鬼だけに。






大学一年の香坂幹春と、齢千年の鬼・トワの新婚生活の一部始終。

不器用ながらも誠実にトワにふさわしい夫になろうとする幹春の姿はトワ目線に見るととても微笑ましく、無性にナデナデしたくなるというか、ぎゅーってしてあげたくなるというか。
「入魂王子」という過去が影響したのかどうなのか、折角持っている自分の意思を胸に留めてしまうために周囲との関係を一歩引いてしまうところが可愛いです。
そのくせ夜になり、トワを体を重ねる段になると途端に自らの欲望に素直にトワを求めるようになってキャー


逆に年甲斐もなく照れりんこしちゃうトワさまは誰が見ても「何だこの可愛い生き物は」になりますし、照れりんこさせてる幹春本人からしたら「何だこの可愛い嫁は」になるのも当たり前。
もう一度だけ言わせてください。
何だこの可愛い鬼幼妻は。




「口に出さなきゃ分からない」
という教訓を得ることもできますが、何はともあれトワの照れりんこを愛でるために読むことをオススメします!

(難しいことを考えることができないほど脳髄を蕩けさせた挙句の結論)
(難しいことを考えないほうが良い)





荒れ狂う感情の発露 
と書いて読書メモと読む。

読書メモ


18p:ご婚約
⇒もう既に胸いっぱいでハッピーなんじゃが?
え、あと300pもあるの?
いいの?そんなにいいの?やったー!!

……というメモが残されていたのでそのまま掲載。
いや、でも本当にこの通りで、まるでアニメ最終回のような涙と感動に包まれる告白シーンでした。
扉絵の「封印された右腕」とか序盤でご婚約とか、普通に考えれば後々大喧嘩して大変な騒ぎになるフラグです。
が、この告白シーンを見たらそんな不安は杞憂に過ぎないと言うしかなくなりますね(笑)
何があってもこの二人なら大丈夫。
そもそも喧嘩が起きるにしても、それはお互いを想うが故のものだろうことが明らかですもん。

そういうわけで、18pにして深く考えることを辞めました。
トワを愛でることに集中することこそが、この本を初見で最も楽しく読む方法です!



27p:つよいブラック
⇒気になってメモしておいたけれど読み終えて振り返ったらそういうことですか戦隊ものねそういうことですか!!!!!(早口)

え?むり。とうとい。



75p:あぁ!年上幼妻呼び捨てぇ!!ぁぁぁぁ!!
⇒ここまで「トワさま」だったのが、新婚初夜もフィニッシュ間近のこのタイミングで勢いあまって呼び捨てキタ━(゚∀゚)━!キタ━(゚∀゚)━!キタ━(゚∀゚)━!

幹春が自制してトワに接しているのは傍から見て明らかで、その彼がうっかりで距離を詰めているこのシーンの尊さについてはトワさまと語り合いたい……。
それで、たまに幹春をイジって遊びたい……



126p:あー
⇒このシーンのトワの可愛さを伝える言葉。
私には「あー」しか思いつきませんでした。

あー



154p:ギャップこそトワそのもの
⇒幹春くん良い事言う……
すごい……
部外者の私はこの段になっても「あー」しか言い表せないのに、彼はこんなにも的確にトワのことを形容してしまうのだから……
すごい……



209p
⇒最早「あー」すら無くなってますね
幹春の男らしさが光るシーンでもあり、それを見て好きだという気持ちを再確認しているトワさまの可愛さに悶えるシーンでもあり。
どちらか一方でも劇薬なのに、それを混ぜるんですから……ね?
洗剤を混ぜたら危ないのと同じくらい危ない。



271p:美しい
⇒物語が、文章が素晴らしいのは言わずもがなですが、その素晴らしさに拍車をかけているのがみやま零先生の透明感ある美麗なイラストであることは表紙でご理解いただけると思います。
そしてもちろん挿絵についても同様に素晴らしく、もう素晴らしいしか形容詞を持ち合わせていないことが腹立たしくなるほど素晴らしいのですが、その中でも一番素晴らしいのが271pのイラスト。
トワが返り血を浴びて振り返る構図の一枚。
彼女が鬼であることを否応なく意識させ、且つこれまで感じてきた色気や美麗さも損ねることなく混在していて。
猛毒的に蠱惑的。


まとめ



そういえばここまであまり触れていませんでしたが、夫婦の営みはそれはもう激しくエッチでした!
これだけ深く想い合って愛し合っているんですから当然と言えば当然ですが!



もっと二人の生活の良い所を語りたいような気もするんですが、如何せん語彙が足りません。
むしろ言語としての様相を成してないとも言います。

しかし、愛とはそういうものなのかもしれません。
遥か古から星の数ほど語り継がれてきた愛の物語も、その恋の当事者の気持ちを語り尽くすことができたものなど存在しないのです。
そして読者の気持ちもまた同様に千差万別でありながら唯一無二。

語り尽くせないからこそ言葉を重ねるのです。




そういうわけで。






ぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁんんんんんnぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁっぁぁあぁぁ




以上!



今日のラノベ!


異世界にドラゴンを添えて 01

異世界にドラゴンを添えて

著者:
CHIKOTO(値言)

イラスト:
@ichigo

出版:
東立出版社


【あらすじ】

  台湾の高校生・慕飛は、成績優秀・容姿バツグン、おまけに世界的に有名なコックを父親に持ち、高校卒業後は自動的に事業を継ぐことが決まっている、正に非の打ちどころのない生活を送っていたが、トラックに轢かれそうになっていたニートを助けてやったために、ニートに巻き込まれるようにして異世界に転生してしまう。
  けれど“ニート主人公でないとチート能力を授かれない”という慣例によって、異世界転生の主人公になれず、何の能力も与えられなかった慕飛は、初心者向けの村・バニータ村で雑用として働き始める。
  異常にケチ臭いハーフエルフによって支配された閉鎖的な村での生活は苦しく、助けてやったはずのニートは『天選之子』として祀り上げられたことですっかり舞い上がり、慕飛のことを奴隷のように扱うのだった。
  それでも自分の身を守る術も持たない慕飛には村から出て行くという選択肢はなかった。
  しかしそんな彼の住む村を、突然一匹のドラゴンが襲ったことで、村での生活が一変してしまう。
  果たして彼は異世界での生活を変えられるのか、
  そして再び台湾に戻ることができるのだろうか───
  台湾角川新人賞でデビューして以来、予測不能な展開で台湾のライトノベルファンを翻弄して来た作者が贈る、今までにない異世界転生ラノベ。




感想:★★★★☆




初、台湾ラノベ!!




この作品の翻訳を担当されているharako atomさん(@harakoatom)から「是非読んでみてください!」というDMを今朝頂きまして、速攻で買って読んでみた次第です。
以前夏鎖芽羽さんのブログでも特集していたので、台湾発のラノベには興味があったのです!
(リンクはこちら:ラノベは国境を超える!台湾発のライトノベル特集!


また、今作はkindleストアにて2018/4/18~4/22深夜にかけて無料で購入することができます!
お手持ちのスマートフォン、またはタブレットに専用アプリをインストールし、今作を購入・ダウンロードするだけで読めるので……
ポチッと行っときましょう!!ポチッと!!





期間終了後ももちろん有料での購入は可能です。
また、kindle unlimitedにも対応していそうなので、利用者の方はぜひぜひ!!






では、感想へ。


世界中の美味しい物を食べたい!
その一心からドラゴンスレイヤー、すなわちドラゴンを狩る者となり旅をする少女・ジークフリートことフリートちゃん。
転生してやって来たものの特に力を与えられた自覚もなく、元の世界で培った料理スキルで何とか生きながらえていた慕飛がフリートちゃんと出会い、共に旅をし、ドラゴンに舌鼓を打つ。
そんな物語です!
グルメものです!!

……公式あらすじも間違ってはないのですよ?
内容が序盤も序盤というだけで。




まずは一言、面白かった!!





ドラゴンを食すという「ありそうで稀にあるお話」ですが、そのドラゴンの幅をこれでもか!と広げてきたのは斬新だと思います!



今作では鳥とかトカゲとかも大体ドラゴンです。



でも馬は馬。
もしかしたら馬っぽいドラゴンも居るのかもしれませんが……?



そして、一般的に思い浮かべるドラゴンもいます。
翼を持った爬虫類みたいなヤツ、います。

ドラゴン #とは

みたいな感想を誰しもが(慕飛も含めて)抱いているかと思いますが、そういうものなのです。
最初は恐竜からの進化の過程を考慮したものかと思いましたが、終盤に出てきたドラゴンがその仮定から外れた存在だったので特にドラゴン化する条件は無さそうです。


そしてそれらの多種多様なドラゴンを、食べます
……えぇ、食べます。
切って、焼いて、味付けして、食べます。
特別な強化能力があるとかもなく、美食として食べます





ここまで来ると胸を張って言えますね。
「ありそうでなかった」と!!








この設定を上滑りさせずに纏めきってるのはとても凄いと思います……!

読んでいる時の感覚的には一迅社文庫や角川スニーカー文庫のぶっ飛んでる設定の作品に近いものがあるんですが、それらと決定的に違うのはこの作品に底知れない数の未知が存在することでしょう。



・本当に慕飛は無能力で転生したの?
・慕飛の治癒が異常に早かったのは何故?
・「二品目」で登場する九ちゃんというロボットは誰が作った?
・銃やGPSという概念はどこで生まれた/誰が持ち込んだ?
・フリートの乗る白馬は何故喋ることができる?
・何故フリート以外は美味しいドラゴンを食べない?


と、パッと思いつくかぎりでもこんな感じです。


謎を謎のまま放置している状態で先に進んでいるので「これフラグ回収ちゃんとするんだよね……?」と不安になる気持ちも少しはありますが。
その一方で、「ドラゴンを食べる」というドデカい爆弾を放り込みつつこれだけの要素を散りばめられるというのは、やっぱり純粋に読んでいてワクワクします。



そして、慕飛の自意識の変化もこの作品の大きな軸のひとつ。

・イケメン
・エリート
・父は著名な料理人
・後を継ぐ事が確定
・イケメン


転生前はご覧のハイスペックな彼ですが、
無能力で転生したことでゴミのような目で見られ、一方隣のキモデブニートは魔法を扱えることでチヤホヤされるわけです。
彼がプライドに縛られるような人間だったらこの時点で逆ギレ⇒逃亡⇒ドラゴンの餌ルートが濃厚だったかと思いますが、彼は「持って生まれた環境が人の評価を変える」という事に気づき、素直に受け入れます。





こいつ精神的にもイケメンじゃねーか






その後もフリートや九ちゃんとのやり取りを通じてかつての自分を見直し、今後に活かそうとする場面が幾つかあり好印象でした。
公式あらすじの台湾戻るフラグが実った暁には、きっと彼はテストの空欄を埋める子に育っていることでしょう!





残りは読書メモ!
kindleなのでページ数ではなくロケーションで書きます。



読書メモ




ロケーション18:醤油を買いに来ただけ
⇒本文注釈にもありましたが、「醤油を買いに来ただけ」というのは中国初のネットスラングで、「自分に何の関係があるんだ!」のような意味。
「自己防衛」や「でも幸せならOKです」のように、街頭インタビューから生まれるネットスラングというのは中国にもあるんですね!
我々日本人も積極的に使っていきたいですね。「醤油を買いに来ただけ」。



ロケーション187:助け……?
⇒慕飛がニートに対してしきりに言うんですよ。
「俺がトラックに轢かれそうなお前を助けたから転生した」と。
でも……多分轢かれてるから助けられてないはずなんですよね……。
むしろニートの転生に無理やり巻き込まれていったのは慕飛のほうなので、ニートに邪険に扱われても何の文句も言えないような……。

あるいは、死んでいないことを直感している慕飛が無意識に放っている言葉で、このドラゴンの世界で7つの珠を揃えることで現実の肉体に戻ることが可能になる明晰夢のような何かという可能性……?



ロケーション913:ノック
⇒慕飛が何の前触れもなくノックの正当性を長々と主張し始めて怖かった……
ドラゴン登場とかよりよっぽど怖いですよこのシーン……



ロケーション1390:鹽之眼
⇒当然のように読めなかったこの漢字。
「塩」の旧字体みたいです。
台湾ラノベは、こうした漢字の読みがメリットにもデメリットにもなっていきそうです。

メリットはストレートに漢字(あるいは台湾語・中国語)の学習ができること。
デメリットはこちらもストレートに読めないこと。

読書中に調べ物して、また本に戻って、というのが苦にならなければ問題なくメリット。
しかし、調べるのが煩わしい、集中して読書できないとなってくるとデメリット、となります。
文章の質そのものには関係なく、あくまで日本市場で売り出すならという話ですが。



ロケーション1416:あるいはコミケシステムとも言う
⇒並んでる間に買うものを決めておく例のアレ



ロケーション1654:塩味イタリア麺神教
⇒急に理解を超えてきたぞー!!
どういうことだー!!

もう頭の中パニックです。
異世界で、ロボットが、塩味イタリア麺を、神として崇める。
……パニックです。



ロケーション2122:白煙
⇒白い蚊が群れて、白煙のように見えるシーン。
なるほど、つまりスイミー理論か。





まとめ




様々な生物に似た姿のドラゴンを、食べるという斬新な設定!
台湾発という刺激!

楽しかったです!!


強いて言うならば、


・やけに強気なハーフエルフ村長が屈服する姿を見たかった
・折角なら魔鬼龍も食べて欲しかった(桜えびに見立ててかき揚げとか)
・かささぎの兄妹は無事?



上の3点は気になるところではあります。
が、それもまた続刊が出ればそこで解決するのかなー?という期待もあるので、続刊が翻訳されれば読みたいですね!




以上!

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