カテゴリ: その他のレーベル

今日のラノベ!


異世界居酒屋のぶ 二杯目

異世界居酒屋のぶ 二杯目

著者:
蝉川夏哉

イラスト:

レーベル:
宝島社


【あらすじ】

ある日から店が異世界にある古都と繋がってしまった居酒屋「のぶ」。訪れるお客たちは寡黙な店主、ノブ・タイショーと給仕のシノブが振る舞う酒や料理が好きになり、たちまち古都では「のぶ」が受け入れられていった。そして迎えた秋。にわかに街の人々の間で不穏な“魔女”の噂が広まりはじめていた。さらに、魔女の噂を聞き付けた大司教まで古都に来訪して…。人と人の縁を結ぶ小さな居酒屋の物語。「小説家になろう」から生まれた異色グルメ小説第二弾!




感想:★★★★★




常連から初来店まで、庶民から王侯貴族まで。
今巻も幅広いお客様で賑わう「居酒屋のぶ」の、心温まる様々なエピソードが詰め込まれていました!



今回のテーマは「淡い好意」といったところでしょうか


『女傭兵』では、リオンティーヌという東王国(オイリア)出身の女騎士が、かつて戦場で見えたとある騎士を探して古都に来るのですが……
運命のイタズラとはかくも面白く、残酷なもの。
つい、そう思ってしまうようなお話です。
ダシのように胸に沁みるんですよこれがまた……



『古都の秋刀魚』では、水運ギルド<鳥娘の舟歌>のギルドマスター・エレオノーラが「のぶ」で秋刀魚を食べていたら、近くで呑んでいたニコラウスが……?なお話。
大人な恋の始まりの予感……?な トゥンク 案件です。
混ぜご飯に喩えるなら、どっちが秋刀魚でどっちをコメにするか。それが問題だ。



『秋の味覚の天ぷら』では、吟遊詩人を目指す青年・アルヌが「のぶ」で天ぷらを食べたことで、自分の目指す場所を「料理と美酒」を歌うクローヴィンケルという詩人に定めます。
アルヌはこの巻の最重要人物と言っても過言ではないキャラなんですが、家業か吟遊詩人かの間で定まらず、ついにはアルヌの詩を読んだクローヴィンケル本人にまで指摘されてしまう始末。
(テーマにこじつけてるようかもしれませんが)『秋の味覚の天ぷら』時点でのアルヌにとって、家業とは尊敬する先代のように完璧にこなさなければならないものという強迫観念があったんだと思います。
だから、「好き」だけどそこに未熟な自分が入ることで踏み躙りたくない、というのを無意識に思い吟遊詩人の道に逃げていたのかなぁ、と。
その逃げは消極的ではあるけれど、なんだかんだ「古都を知る」という点においては家業に役立つものでもあったので決して無駄にはならないんじゃないかと思います。
頑張れアルヌ!


上の3篇以外にも恋愛、親愛、友愛、もちろん食やお酒も含めて、色んな形の好意が「のぶ」で生まれ、伝播していく様が描かれています。




それらの良さを引き立てているのは、暗に示す事柄(回収されないフラグ)の多さかもしれません。
回収されないフラグという語弊があるでしょうか……。
んー……。
回収された事に気づかないフラグ、というほうがいいですかね……。
『ナスのあげびだし』でのトマスとエトヴィンの会話なんかが良い例です。
最後の最後まで読んだ後にこのシーンを読むと「あぁ、そういう!」ってなるんですが、回収のタイミングではなかなか気づけないんです……!
他にも大なり小なり細かい仕掛けが散りばめられているんで、パラっと読み返すのが楽しいです。

そして、それらのフラグがまるでカレーに入れたチョコのように影に隠れて周りを引き立てているんですよ!(これが言いたかった)
3巻はもうちょっと注意深く読みたいと思ってはいますが、料理の美味しそうな空気に負けてちょろっとしたフラグが頭から抜け落ちるんですよね、きっと……。

それもまた魅力。かも?




読書メモ




18p:いつもの
⇒素人考えだと「いつもの」という注文はお店側にとって「いつものでスタッフが分かるほど通ってくれるお客様」という、絶好の好材料だと思っていました。
しかし、本当のプロは……やっぱり違いますね。
「いつもの」は体の良い停滞とも取れることを認識して、常に新しいものを提供できるよう考えているんですね……。素晴らしい……!



69p:ラインホルトは出来る子
⇒タコは食えるけど、ラインホルトは食えない奴



79p:レモン
⇒ベルトホルトさんの奥さんにして「のぶ」の給仕・ヘルミーナさんが、旦那さんの皿の絞った後のレモンをひょいパクするシーン。
レモン……
酸っぱいもの……
……いや、まさかね?



120p:ナスぅー
⇒ナスのあげびたしは、一人暮らしの時に常備菜としてよく作っていました。
作り置きなのでお酢を多めにしてましたが、やっぱり作りたてのあげびたしは良いですよ本当に……。
美味しそうに食べるトマスを見て、久々に食べたくなりましたー



137p:この一体感
⇒あの広さの居酒屋だから生まれるこの一体感。
「のぶ」がファミレスだったらこうはならない。



143p:おおおおぉぉぉぉぉ!!
⇒79pの自分が凄い



171p:アルヌの居た理由
⇒酔拳使いのアルヌが、毎日、昼間から「のぶ」に入り浸っていた理由。
なーるほどぉ?
彼が只者じゃないというのを察したシーンでもあり、113pのフラグを思い出すきっかけになったシーンでもあり。



189p:だし巻き玉子
⇒料理人の最初の一歩にして究極の一歩がだし巻き玉子
みたいな風潮ありますよね、すごいわかります。
だってあれめっちゃ奥が深いって、素人の私でも思いますもん。
味、形、火入れの時間、食感、触感、色合い、香り、etc……



198p:茶碗蒸し
⇒これもまたフラグ回収がアナウンスされないパターンでしたね……
「私はそのフラグ、認知しておるぞ!」って万能感やばいです



239p:チビ
⇒同上。難易度はこちらのほうが下。



**:イカ二貫
⇒イカと「のぶ」を掛けた結果のメモですね。
メモのクセがすごい




まとめ




古都の片隅にある居酒屋に、近隣の王侯貴族が味を求めてやってくる。
考えるまでもなく途轍もないことです。

現代日本の味が古都には珍しく先進的ということもありますが、「つい足が向いてしまうお店」を作っているのは何より信之さんとしのぶちゃんあってのものです。

このまま帝国と近隣諸国との微妙な軋轢も「のぶ」の魅力でどうにかしちゃえ!




以上!



今日のラノベ!


永遠姫の嫁入り

永遠姫の嫁入り

著者:
葉原鉄

イラスト:
みやま零

レーベル:
美少女文庫


【あらすじ】

 「この年で生娘だなんてみっともないねぇ」
 異形の鬼。千年生きつづける桃姫。可憐な童女にして鬼女。そして、俺の初恋のひとで今夜からは俺の妻……。
 「俺もはじめてで……というか俺、トワさまとはじめて会ったときから大好きで……」
 あふれ出す気持ちと一緒に、初夜だというのに腰が加速する。つなぎあった粘膜をこすればこするほど想いが伝わるような気がして。
 「そんなまっすぐ言われると、照れるねぇ」
 トワが、にへぇとだらしない笑顔で応える。
 俺しか知らないトワの笑顔。俺しか知らない、最高に可愛い俺のお嫁さん。
 「ああ、もう!鬼っていうか小悪魔だろ!可愛い、ああ可愛いッ、超エロいッ!ああ、くそッ!俺、トワさまが好きすぎる!」
 何度も妻の名を呼び、彼女の内面を掘り起こす。いとしくていとしくて仕方がない。



感想:★★★★★



ぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁああぁぁぁっぁっぁあ




最初から最後まで身悶えることになるのは想定通りでしたが、少しくらいは期待を裏切ってくれても良かったと思います。
じゃないと骨抜きになってしまって生活に支障が。鬼だけに。






大学一年の香坂幹春と、齢千年の鬼・トワの新婚生活の一部始終。

不器用ながらも誠実にトワにふさわしい夫になろうとする幹春の姿はトワ目線に見るととても微笑ましく、無性にナデナデしたくなるというか、ぎゅーってしてあげたくなるというか。
「入魂王子」という過去が影響したのかどうなのか、折角持っている自分の意思を胸に留めてしまうために周囲との関係を一歩引いてしまうところが可愛いです。
そのくせ夜になり、トワを体を重ねる段になると途端に自らの欲望に素直にトワを求めるようになってキャー


逆に年甲斐もなく照れりんこしちゃうトワさまは誰が見ても「何だこの可愛い生き物は」になりますし、照れりんこさせてる幹春本人からしたら「何だこの可愛い嫁は」になるのも当たり前。
もう一度だけ言わせてください。
何だこの可愛い鬼幼妻は。




「口に出さなきゃ分からない」
という教訓を得ることもできますが、何はともあれトワの照れりんこを愛でるために読むことをオススメします!

(難しいことを考えることができないほど脳髄を蕩けさせた挙句の結論)
(難しいことを考えないほうが良い)





荒れ狂う感情の発露 
と書いて読書メモと読む。

読書メモ


18p:ご婚約
⇒もう既に胸いっぱいでハッピーなんじゃが?
え、あと300pもあるの?
いいの?そんなにいいの?やったー!!

……というメモが残されていたのでそのまま掲載。
いや、でも本当にこの通りで、まるでアニメ最終回のような涙と感動に包まれる告白シーンでした。
扉絵の「封印された右腕」とか序盤でご婚約とか、普通に考えれば後々大喧嘩して大変な騒ぎになるフラグです。
が、この告白シーンを見たらそんな不安は杞憂に過ぎないと言うしかなくなりますね(笑)
何があってもこの二人なら大丈夫。
そもそも喧嘩が起きるにしても、それはお互いを想うが故のものだろうことが明らかですもん。

そういうわけで、18pにして深く考えることを辞めました。
トワを愛でることに集中することこそが、この本を初見で最も楽しく読む方法です!



27p:つよいブラック
⇒気になってメモしておいたけれど読み終えて振り返ったらそういうことですか戦隊ものねそういうことですか!!!!!(早口)

え?むり。とうとい。



75p:あぁ!年上幼妻呼び捨てぇ!!ぁぁぁぁ!!
⇒ここまで「トワさま」だったのが、新婚初夜もフィニッシュ間近のこのタイミングで勢いあまって呼び捨てキタ━(゚∀゚)━!キタ━(゚∀゚)━!キタ━(゚∀゚)━!

幹春が自制してトワに接しているのは傍から見て明らかで、その彼がうっかりで距離を詰めているこのシーンの尊さについてはトワさまと語り合いたい……。
それで、たまに幹春をイジって遊びたい……



126p:あー
⇒このシーンのトワの可愛さを伝える言葉。
私には「あー」しか思いつきませんでした。

あー



154p:ギャップこそトワそのもの
⇒幹春くん良い事言う……
すごい……
部外者の私はこの段になっても「あー」しか言い表せないのに、彼はこんなにも的確にトワのことを形容してしまうのだから……
すごい……



209p
⇒最早「あー」すら無くなってますね
幹春の男らしさが光るシーンでもあり、それを見て好きだという気持ちを再確認しているトワさまの可愛さに悶えるシーンでもあり。
どちらか一方でも劇薬なのに、それを混ぜるんですから……ね?
洗剤を混ぜたら危ないのと同じくらい危ない。



271p:美しい
⇒物語が、文章が素晴らしいのは言わずもがなですが、その素晴らしさに拍車をかけているのがみやま零先生の透明感ある美麗なイラストであることは表紙でご理解いただけると思います。
そしてもちろん挿絵についても同様に素晴らしく、もう素晴らしいしか形容詞を持ち合わせていないことが腹立たしくなるほど素晴らしいのですが、その中でも一番素晴らしいのが271pのイラスト。
トワが返り血を浴びて振り返る構図の一枚。
彼女が鬼であることを否応なく意識させ、且つこれまで感じてきた色気や美麗さも損ねることなく混在していて。
猛毒的に蠱惑的。


まとめ



そういえばここまであまり触れていませんでしたが、夫婦の営みはそれはもう激しくエッチでした!
これだけ深く想い合って愛し合っているんですから当然と言えば当然ですが!



もっと二人の生活の良い所を語りたいような気もするんですが、如何せん語彙が足りません。
むしろ言語としての様相を成してないとも言います。

しかし、愛とはそういうものなのかもしれません。
遥か古から星の数ほど語り継がれてきた愛の物語も、その恋の当事者の気持ちを語り尽くすことができたものなど存在しないのです。
そして読者の気持ちもまた同様に千差万別でありながら唯一無二。

語り尽くせないからこそ言葉を重ねるのです。




そういうわけで。






ぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁんんんんんnぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁっぁぁあぁぁ




以上!



今日のラノベ!


異世界にドラゴンを添えて 01

異世界にドラゴンを添えて

著者:
CHIKOTO(値言)

イラスト:
@ichigo

出版:
東立出版社


【あらすじ】

  台湾の高校生・慕飛は、成績優秀・容姿バツグン、おまけに世界的に有名なコックを父親に持ち、高校卒業後は自動的に事業を継ぐことが決まっている、正に非の打ちどころのない生活を送っていたが、トラックに轢かれそうになっていたニートを助けてやったために、ニートに巻き込まれるようにして異世界に転生してしまう。
  けれど“ニート主人公でないとチート能力を授かれない”という慣例によって、異世界転生の主人公になれず、何の能力も与えられなかった慕飛は、初心者向けの村・バニータ村で雑用として働き始める。
  異常にケチ臭いハーフエルフによって支配された閉鎖的な村での生活は苦しく、助けてやったはずのニートは『天選之子』として祀り上げられたことですっかり舞い上がり、慕飛のことを奴隷のように扱うのだった。
  それでも自分の身を守る術も持たない慕飛には村から出て行くという選択肢はなかった。
  しかしそんな彼の住む村を、突然一匹のドラゴンが襲ったことで、村での生活が一変してしまう。
  果たして彼は異世界での生活を変えられるのか、
  そして再び台湾に戻ることができるのだろうか───
  台湾角川新人賞でデビューして以来、予測不能な展開で台湾のライトノベルファンを翻弄して来た作者が贈る、今までにない異世界転生ラノベ。




感想:★★★★☆




初、台湾ラノベ!!




この作品の翻訳を担当されているharako atomさん(@harakoatom)から「是非読んでみてください!」というDMを今朝頂きまして、速攻で買って読んでみた次第です。
以前夏鎖芽羽さんのブログでも特集していたので、台湾発のラノベには興味があったのです!
(リンクはこちら:ラノベは国境を超える!台湾発のライトノベル特集!


また、今作はkindleストアにて2018/4/18~4/22深夜にかけて無料で購入することができます!
お手持ちのスマートフォン、またはタブレットに専用アプリをインストールし、今作を購入・ダウンロードするだけで読めるので……
ポチッと行っときましょう!!ポチッと!!





期間終了後ももちろん有料での購入は可能です。
また、kindle unlimitedにも対応していそうなので、利用者の方はぜひぜひ!!






では、感想へ。


世界中の美味しい物を食べたい!
その一心からドラゴンスレイヤー、すなわちドラゴンを狩る者となり旅をする少女・ジークフリートことフリートちゃん。
転生してやって来たものの特に力を与えられた自覚もなく、元の世界で培った料理スキルで何とか生きながらえていた慕飛がフリートちゃんと出会い、共に旅をし、ドラゴンに舌鼓を打つ。
そんな物語です!
グルメものです!!

……公式あらすじも間違ってはないのですよ?
内容が序盤も序盤というだけで。




まずは一言、面白かった!!





ドラゴンを食すという「ありそうで稀にあるお話」ですが、そのドラゴンの幅をこれでもか!と広げてきたのは斬新だと思います!



今作では鳥とかトカゲとかも大体ドラゴンです。



でも馬は馬。
もしかしたら馬っぽいドラゴンも居るのかもしれませんが……?



そして、一般的に思い浮かべるドラゴンもいます。
翼を持った爬虫類みたいなヤツ、います。

ドラゴン #とは

みたいな感想を誰しもが(慕飛も含めて)抱いているかと思いますが、そういうものなのです。
最初は恐竜からの進化の過程を考慮したものかと思いましたが、終盤に出てきたドラゴンがその仮定から外れた存在だったので特にドラゴン化する条件は無さそうです。


そしてそれらの多種多様なドラゴンを、食べます
……えぇ、食べます。
切って、焼いて、味付けして、食べます。
特別な強化能力があるとかもなく、美食として食べます





ここまで来ると胸を張って言えますね。
「ありそうでなかった」と!!








この設定を上滑りさせずに纏めきってるのはとても凄いと思います……!

読んでいる時の感覚的には一迅社文庫や角川スニーカー文庫のぶっ飛んでる設定の作品に近いものがあるんですが、それらと決定的に違うのはこの作品に底知れない数の未知が存在することでしょう。



・本当に慕飛は無能力で転生したの?
・慕飛の治癒が異常に早かったのは何故?
・「二品目」で登場する九ちゃんというロボットは誰が作った?
・銃やGPSという概念はどこで生まれた/誰が持ち込んだ?
・フリートの乗る白馬は何故喋ることができる?
・何故フリート以外は美味しいドラゴンを食べない?


と、パッと思いつくかぎりでもこんな感じです。


謎を謎のまま放置している状態で先に進んでいるので「これフラグ回収ちゃんとするんだよね……?」と不安になる気持ちも少しはありますが。
その一方で、「ドラゴンを食べる」というドデカい爆弾を放り込みつつこれだけの要素を散りばめられるというのは、やっぱり純粋に読んでいてワクワクします。



そして、慕飛の自意識の変化もこの作品の大きな軸のひとつ。

・イケメン
・エリート
・父は著名な料理人
・後を継ぐ事が確定
・イケメン


転生前はご覧のハイスペックな彼ですが、
無能力で転生したことでゴミのような目で見られ、一方隣のキモデブニートは魔法を扱えることでチヤホヤされるわけです。
彼がプライドに縛られるような人間だったらこの時点で逆ギレ⇒逃亡⇒ドラゴンの餌ルートが濃厚だったかと思いますが、彼は「持って生まれた環境が人の評価を変える」という事に気づき、素直に受け入れます。





こいつ精神的にもイケメンじゃねーか






その後もフリートや九ちゃんとのやり取りを通じてかつての自分を見直し、今後に活かそうとする場面が幾つかあり好印象でした。
公式あらすじの台湾戻るフラグが実った暁には、きっと彼はテストの空欄を埋める子に育っていることでしょう!





残りは読書メモ!
kindleなのでページ数ではなくロケーションで書きます。



読書メモ




ロケーション18:醤油を買いに来ただけ
⇒本文注釈にもありましたが、「醤油を買いに来ただけ」というのは中国初のネットスラングで、「自分に何の関係があるんだ!」のような意味。
「自己防衛」や「でも幸せならOKです」のように、街頭インタビューから生まれるネットスラングというのは中国にもあるんですね!
我々日本人も積極的に使っていきたいですね。「醤油を買いに来ただけ」。



ロケーション187:助け……?
⇒慕飛がニートに対してしきりに言うんですよ。
「俺がトラックに轢かれそうなお前を助けたから転生した」と。
でも……多分轢かれてるから助けられてないはずなんですよね……。
むしろニートの転生に無理やり巻き込まれていったのは慕飛のほうなので、ニートに邪険に扱われても何の文句も言えないような……。

あるいは、死んでいないことを直感している慕飛が無意識に放っている言葉で、このドラゴンの世界で7つの珠を揃えることで現実の肉体に戻ることが可能になる明晰夢のような何かという可能性……?



ロケーション913:ノック
⇒慕飛が何の前触れもなくノックの正当性を長々と主張し始めて怖かった……
ドラゴン登場とかよりよっぽど怖いですよこのシーン……



ロケーション1390:鹽之眼
⇒当然のように読めなかったこの漢字。
「塩」の旧字体みたいです。
台湾ラノベは、こうした漢字の読みがメリットにもデメリットにもなっていきそうです。

メリットはストレートに漢字(あるいは台湾語・中国語)の学習ができること。
デメリットはこちらもストレートに読めないこと。

読書中に調べ物して、また本に戻って、というのが苦にならなければ問題なくメリット。
しかし、調べるのが煩わしい、集中して読書できないとなってくるとデメリット、となります。
文章の質そのものには関係なく、あくまで日本市場で売り出すならという話ですが。



ロケーション1416:あるいはコミケシステムとも言う
⇒並んでる間に買うものを決めておく例のアレ



ロケーション1654:塩味イタリア麺神教
⇒急に理解を超えてきたぞー!!
どういうことだー!!

もう頭の中パニックです。
異世界で、ロボットが、塩味イタリア麺を、神として崇める。
……パニックです。



ロケーション2122:白煙
⇒白い蚊が群れて、白煙のように見えるシーン。
なるほど、つまりスイミー理論か。





まとめ




様々な生物に似た姿のドラゴンを、食べるという斬新な設定!
台湾発という刺激!

楽しかったです!!


強いて言うならば、


・やけに強気なハーフエルフ村長が屈服する姿を見たかった
・折角なら魔鬼龍も食べて欲しかった(桜えびに見立ててかき揚げとか)
・かささぎの兄妹は無事?



上の3点は気になるところではあります。
が、それもまた続刊が出ればそこで解決するのかなー?という期待もあるので、続刊が翻訳されれば読みたいですね!




以上!

今日のラノベ!


この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる

この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる

著者:
土日月

イラスト:
とよた瑣織

レーベル:
カドカワBOOKS


【あらすじ】

超ハードモードな世界の救済を担当することになった駄女神リスタ。チート級ステータスを持つ勇者・聖哉の召喚に成功したが、彼はありえないほど慎重で…?「鎧を三つ貰おう。着る用。スペア。そしてスペアが無くなった時のスペアだ」異常なストック確保だけに留まらず、レベルMAXになるまで自主トレし、スライム相手に全力で挑むほど用心深かった!そんな勇者と彼に振り回されまくる女神の冒険譚、開幕!





感想:★★☆☆☆



だいぶ前にタイトルと帯に書かれていた下のセリフに惹かれて購入した作品。


鎧を三つ貰おう。着る用。スペア用。
そしてスペアが無くなった時のスペアだ。



冒頭28pで登場するセリフだったんですが、個人的に面白かったのはまさにここまで。
後はもう……正直苦痛でした。




この勇者、慎重に慎重を重ねる性格……なのはタイトルからも分かる通り。
鎧三つに留まらず、松明を500本買おうとしたり、聖水を1000個買おうとしたり。
モンスター相手の地道なレベリングはせず、時間が1/100のスピードで進んでいる神界で筋トレ、筋トレに限界が来たら神様直々に訓練をつけてもらい強制レベリング。

ここまでは、まだ想定内。


想定外だったのは、彼が異様に他人に高圧的なこと。
それと、他人の気持ちを踏みにじること。



結果的に彼の独善的な行動が良い方向に転がっているというのが、余計にキツいです。
結果ありきで物語が作られているというか、帳尻合わせ感がバリバリというか。



終盤なんて、
エルルを犠牲にする選択をしても鬼畜、
エルルの犠牲を許さないのならセルセウス様をフルボッコにした件がブーメラン、とどちらを選んでも酷い結末しか待ってなくて。
最終的に選ばれたのが「エルルは荷物持ちだから死ぬのは許さない(本音)」っていう、第三の酷い選択肢だったという。




そもそも本当に「慎重に」行くのだとしたら、あとがきの土日月先生のように他人からの批判や恨み言を恐れて極度な低姿勢になるはずなんですよね……。
仮にそれで「裏切り者」や「スパイ」があぶりだせたとしても、そこに至るまでにばら蒔かれた不快感による火種はメリットを上回るものになっているでしょう。


一応あとがき情報で、彼があのような態度を取っているのに理由があるという情報があったので、2巻を読んでみて……いや、カクヨムで読むかな……。
ちょっとこれの続刊に1200円出す気は……起きないかな……。





えー、

ダッシュエックス文庫の『骨の髄まで異世界をしゃぶるのが鈴木なのよー!!』が好きな方にはオススメです!
多分同じ系統。

逆に、ぽにきゃんBOOKSの『ああ勇者、君の苦しむ顔が見たいんだ』のような作品を求めている人には向かないと思います。






読書メモは無しです。
語り尽くしたので。




以上!



今日のラノベ!


純真を歌え、トラヴィアータ


純真を歌え、トラヴィアータ

著者:
古宮九時

イラスト:
とろっち

レーベル:
メディアワークス文庫


【あらすじ】

『―私は、夢に届かない』トラウマにより歌声を失い、プロのソリストの道から脱落した19歳の椿。幼い頃から全てを捧げてきた夢を失い、残ったのは空虚感だけ。そんな中、椿はオペラの自主公演を行う“東都大オペラサークル”の指揮者・黒田と出会い…。才能を持たざる人間の、夢と現実。歌声を失った歌姫と、孤高の指揮者―希望を見失った二人が紡ぐ、“挫折”と“再生”の物語。書き下ろし。




感想:★★★★★



形は違えど、誰もが一度はぶつかったことがあるであろう「夢への壁」
主人公・椿もそんな大きく厚い壁にぶつかり、そこから逃げ出してしまった一人。

どこでぶつかったかは分からないけれど、確かに覚えのある諦観。
故に最初の数pで椿にひどく共感し、背後に忍び寄る「何かの気配」に怯えながら読み進め、一人と一人によるオペラで唇を噛み締めることになるでしょう。







ということで、純真を歌うトラヴィアータの物語。
ひとまず読み終わって思ったのは、夢は最初に思い描いていた通りに叶うものではないということでした。
苦悩に挫折に努力に克己、自分だけでなく周囲との確執や融和を経て、思わぬ形で結実するのが夢なんですよ、きっと。
それこそトラウマを抱えるような出来事を経たとしても、一度逃げたとしても。
むしろ挫折の中で自分と向き合って、その向き合って中で初めて自分の夢の本質に気づくものなのかもしれません。
「~になりたい」系の夢は、そこに隠れた「どういうことをしたい」という本質をぼやかしがちですから。

椿の本質がどこにあったのか、それを違えることなく言葉にできるのは本人だけなので語らずとさせていただきますが。
彼女の“純真”は、美しかったです。






“東都大オペラサークル”で指揮者を務める黒田
椿と同じく挫折を経験し、それをうまく自分の中で消化して「全てを掬う指揮」という今のスタイルを確立している彼は、まさに椿の先導者にして今巻の指揮者
音楽が好きだと即答するのに苦しい顔をしている椿を見て、かつての自分を重ねたのかどうなのか。
立ち入りすぎず、さりとて冷たくしすぎず。
「キミ、本当に大学二年生かい?」と言いたくなるほど人生に達観しているような雰囲気がありつつ、周囲から慕われ全幅の信頼を得ている姿にキュンキュンします。
ピリッとした空気を纏っていそうなのに、話してみると目を見張ったり呆れてみたり表情が意外なほど豊かなのがdeskyzer的にポイント高いです!

彼もまた当初思い描いていた形とは別の形で、されど本質の部分では何も変わることなく、今作内で夢を叶えたのかなぁと思います。
彼の指揮と演奏は、間違いなく二人の心を揺さぶった!






そういえばオペラは生で見たこと無いですね……記憶の限りでは。
物心つくかつかないかくらいからクラシックのコンサートに連れていってもらっていたので、もしかしたらそのうちの一つくらいはオペラだったのかもしれません。
……少なくとも、椿ほど心に残るものではなかったのでしょう。
クラシックですら会場の雰囲気ごと覚えているのは「威風堂々」と「ラデツキー行進曲」くらいなものですし……。

音楽の授業の一環で映像で見たオペラは幾つか覚えて……ますねタイトル以外。
あっ!魔王!……はリートか。
数年以内には会場に足を運んでみたいと思います!






以下読書メモにて!



読書メモ




6p:喉痛い
⇒『死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録』に続き、またもや古宮先生がプロローグでやってやがりくれました。
椿がトラウマを抱える、まさにそのシーン。
何かに背後から追われ、そこから逃げるかのようにステージ上で歌っている椿を想像して喉が痛くなりました……。
今作の最も素晴らしいシーンを挙げるとしたら、私は迷いなくこの「序曲」を挙げます。
椿の感じる恐怖、止まってくれない音楽、やってくる見せ場、“追いつかれた”瞬間の頭が真っ白になる感覚。
この鮮烈すぎる序曲が、後々の椿への共感の要因になっていることは間違いないでしょう……。
自分が経験したわけじゃないのに、昔こんなことがあったんじゃないかと錯覚するくらいハッキリと想像してしまえるのだもの……。



50p:トラヴィアータ
⇒本作タイトルの一語。
ヴェルディ作曲「椿姫」の原題で、イタリア語で「道を踏み外した女」という意味だそうです(本文より)。



139p:客席から
⇒夢から逃げたのだから、そこに関わるとしたら客席から。
それを達観しているかのように思い描く椿は、控えめに見ても何かから目をそらしているかのようで。



154p:たったひとつ
⇒清河の生き方が眩しいです!
多趣味にもマニアにもなりきれない私からしてみれば。



165p:あー、やっぱり?
⇒100pの黒田の発言からなんとなく察していましたが、この先輩方の反応を見るに間違いなさそうです。
黒田と椿は同じ公演を見て音楽を志し、一度挫折し、そして同じオペラサークルに所属することになったのですね。
もう付き合っちまえよ(ボソッ



171p:卵
⇒僕この表現絶対どこかのタイミングで考えたことあるんですよ!!
卵みたいに色んな要素を全部ひっくるめてまとめてるもの」ってやつ!

……サクッとブログ内検索してみたらヒットしたんですが全然違うニュアンスでした。
「卵焼きは何回もひっくり返すけど、結局卵だよね?」という、表裏と本質の話を『桜色のレプリカ』の感想の中でしていた時に使ってました。
最早卵を比喩に使っていたことしか合っていない……




200p:くるしい
⇒くるしい



216p:歌った!
⇒もうくるしくない!



252p:あー!そこか!そういうことか!
⇒165pで全部分かった風になってドヤってた自分が恥ずかしいんですが、ここでようやく黒田と椿の本当の出会いに気づくことができました……。
見知らぬ少年……





まとめ




『死を見る僕と~』に続いて、またもや翻弄されたのが悔しい……。



夢って本当に理不尽ですよ。
とても輝いて見えるのに、近づけば近づくほどその遠さに打ちひしがれる。
夢がある場所の熱さに、高さに、深さに立ちすくんでしまう。
そしてたどり着いた時に、それまで辿ってきた道が何より美しく、今までの出来事こそが輝く夢だったのだと知ることができる。


まぁ。
私自身は小学4年の段階で、

「サッカー選手?それを夢見る同年代少年の数と一年間に新しくプロになる人数で計算してみなよ。ザックリの計算でも何万分の一でしょ?無理無理、現実的じゃない」

と考えて地元のサッカーチームに入らなかった人なので、語る資格なんかひとつも持ち合わせていませんが。
ある意味最初から挫折しているとも言えるので、人一倍、椿の自分に自信のない態度が響きました。


ひとまず……何をするにしてもまずは椿のように体づくりから始めようかと思います!
(そこに影響を受けるのか僕……)




以上!





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