カテゴリ: 富士見ファンタジア文庫

今日のラノベ!




始まりの魔法使い 3


始まりの魔法使い 3
文字の時代

著者:
石之宮カント

イラスト:
ファルまろ

レーベル:
富士見ファンタジア文庫


【あらすじ】

竜歴637年。研究機関として大学を設立した“私”は、その一歩として、研究成果を後世に残すための紙作りに挑んだ。そして、世界で初めてとなる日記帳を物忘れの多い人魚のリンに贈った。「書いたこと自体を忘れないようにね」「うん。大丈夫…多分」それは有史の時代の始まり。紙と文字は、知恵と、そして―記憶を未来に伝えていくことになる。貨幣や交通が急速に整備されていく中、他の「始まりの魔法使い」を始祖とする村の存在を知った“私”は、転生したアイの可能性を感じて、リンと一緒に調査に赴くが―!?これは、すべての“始まり”を創った竜の魔法使いの物語。




感想:★★★★★




リンちゃん、色々と心臓に悪い……



今回はネタバレ多めです。多分。













無限の寿命を持つ竜の「先生」視点で、世界を進化させ成長を見守る物語第3弾。
今回もつらい読後が待っているというのは覚悟していましたが、毎回覚悟の問われ方が違うので中々ダメージくらいます。
今回も……今回は幾分かマシと捉えるべきか、より残酷と捉えるべきか悩みます。





1巻では寿命による明確な死別。
ただし、転生による再会を誓うアイが希望。

2巻も寿命による死別。
ただし、剣部に伝えられるユウキの記憶の再摘出が希望。



そして今巻(3巻)は未来と過去の記憶の消滅。
希望はリンが気まぐれで書き残していた日記のみ。



肉体的には今までと同じように確かにそこに存在するのに、それまでとは確実に違う何かとして存在するリンが果たしてリンなのか。
それは4巻以降の物語を見るまで分かりませんが、ティアやルフルたち級友がどう咀嚼するのか、先生がどう接していくのか。
読み終わった今から待ち遠しくてなりません。

リンの代償が過去のことだけならユウキの件と並列に捉えられたかもしれませんが、未来まで覚えられないがプラスされていますから……
今巻最大の発明「文字の魔法への効率的利用」こそがこれらの問題への重要な手がかりとなれば良いと、本当に心の底から思います。








重い話、中断!!!






2巻でのリンの「(先生の変身を見て)すごいすごい!あたし、それやりたい!」という言葉(65p)と、ブーケトスをキャッチしたくだりがひとまず大きな伏線となっている3巻。
表紙に出ていることから分かる通り、リン回です!


泳ぐ好奇心とでも言いましょうか。
閃く頭脳と猛烈な行動力を持ち、ニーナの次に先生と共に過ごした時間の長い存在で、先生のことが大好きな女の子。
先生が村の中で主導者的なポジションに居るとすれば、リンはそうですね……みんなの子供みたいな存在でしょうか……
いつも皆の中心にして明るくしてくれて、時に褒められ時に叱られ、でもリンのことを憎む人はいなくて。
そんな温かい彼女の話だからか、2巻までと比べて穏やかな雰囲気だったかなと思います。
(……全体的に穏やかだから、余計に水色の件が堪えるのですよねぇ…………)



穏やかさのもう1つの要因としては、文明の発展による生活の安定もあるでしょう。
狩猟から畜産へ、採集から栽培へ。
食べるもの、必要なものの獲得量を必要水準に極めて近い位置でコントロールしているが故に、必要以上に余ることもなく、不足し食に困るといったこともなく。
狩猟などに回していた時間を他の時間に充てることができるようになった結果、街道・水運の整備などが実現し交流が盛んとなり、新たな文化・知らない文明を「言葉」により手に入れ、「文字」により書き残し次代へ繋げていく、と。
魔法だけでなく生活に密接なアレコレに関しても、どんどん便利になっていきます。


あ、生活の安定で変わったことといえば、種の存続に固執しなくなったことも大きいですよね。
どちらかというと2巻範囲の話が多く含まれますが、ハーフエルフという特大級が今回放り込まれたことでより鮮明に浮かび上がった印象です。
竜と人、2種類の姿を持つ先生が村の中心ポストにいるのだから、当然先生の求心力が衰えない限りちょっと待ってまた話が難しい方向に行ってる……!?


ナンデ!?



僕はただ、口絵のドヤ顔リンちゃんの可愛さを伝えたいだけなのに……!!


(`・ ω ・ ´ ) V



読書メモ





17p:この世界そのものが魔法
⇒こちらの世界の法則と決定的にズレ始める、という宣言ですね。
何なら大地が球状ですらないかもしれないですから、地平に水平にブレスを打つなどという暴挙がまかり通っていたら危なかったかも……?
……いや、そもそも魔法(と精霊?)が存在するという時点でこちらの法則と何もかもがズレているわけですが。



61p:身体を
⇒今巻の終盤で転生アイ(言い方がパズドラみたいだな……)の手がかりを掴みましたが、それよりも早く復活ユウキの軽い示唆が入っていました。
身体を作り、記憶を入れる。
AI的な方向か、ホムンクルス的な方向か。
行く先によっては……



135p:早起きは三文の得
⇒先生がどこで口にしたのか探したい……
覚えてたら4巻読むまでに探してみましょうか。



321p:ああっ!
⇒アイは確かにここに……
彼女がドラゴンやエルフのように半永久的な寿命を持っていたのならまだ希望はありますが……
あるいは「繰り返し転生する魔法」を使えるのならば、また彼女の足跡が見つかるのでしょう。
楽しみでもあり、先生のどうしようもない焦りとやるせなさを察して胸が締め付けられるようでもあり。
直後にリンをめぐる事態が急変するためアイについての考察はここで終わっていますが、間違いなく大事なシーンでした。





まとめ





8歳の時に持った憧れが、淡い想いとなり、焦がれるようになり。
それでも尚変わることのなかった記憶が消え、
彼女は新たな一歩をどのように踏み出すのでしょう。
それを周りはどう受け止め、支えるのでしょう。
(群青が出ないそうですが)4巻楽しみです!


最後になりましたが、
石之宮カント先生、誕生日(7/21)おめでとうございました!!




以上!

~間にGとの格闘を挟みながらの4時間更新~

今日のラノベ!



織田信奈の野望 安土日記3

織田信奈の野望 安土日記3

著者:
春日みかげ

イラスト:
みやま零

レーベル:
富士見ファンタジア文庫


【あらすじ】

時は信奈が上杉謙信との戦いを間近に控えたころ。熱田神社に返還するはずだった草薙剣が盗まれた!?次々と狙われる日ノ本の宝具を守るため、立ち上がるのは将軍・今川義元!良晴も両兵衛と共に旅に出たものの、数々の苦難があって…「婚前旅行なのですから同衾いたしますわ」正妻として迫る義元、途中で再会した小早川隆景、そしてなぜか大人になった滝川一益が誘惑してくる!?良晴は浮気せずに耐えられる?そして旅の果てに明らかになる、宝具怪盗・吉良網切と義元の長い因縁。事件の背後で暗躍しているのは存在しないはずの信奈の妹!?シリーズの謎に迫る、連作短編集!




感想:★★★★☆


【悲報】信奈ファンのdeskyzerさん、置いていかれる





ドラマガ掲載短編集第三弾!
天下のお飾り将軍様こと今川義元ちゃんと、今回初登場の織田信奈の従妹(?)こと織田有楽斎ちゃんにおもにスポットの当たるお話。
キーワードは国津神・天津神、九頭龍。




いやぁ……理解が追いつきませんでした……

日本列島という龍の背に住む日の本の民は、龍脈・地脈の要所に要石など封印するための社が築かれているなどの要点は理解できているんですが。
国津神と天津神の系譜とかがどうしても覚えられないんですよね……
今回読む前から日本神話への苦手意識を薄めたいとは思っていましたが、うーん……『信奈』読んで覚えられなかったとなると相性が絶望的なのかも?


でも龍脈と社の関係性についての論説は面白かったです!
地震のメカニズムが科学的に解明されているはずのない古代から、中央構造線はじめプレートの境目付近に地震を抑えるための神社があるという事実。
偶然で片付けるにはあまりにも出来すぎています。
経験の蓄積と緻密な推測からこうした法則性が浮かび上がってくるの、本当に面白いですし、人間の可能性を感じます。




真面目な話は以上。





義元ちゃんの魅力がギューーッと一冊に詰め込まれていました!
これさえ読めば、皆も義元ちゃんが好きになる!


雪斎との約束を守り、生に拘り朗らかに鷹揚な彼女。
場がピリピリすれば自ら道化となりその場を濁し、自らはぁれむを主導することで信奈と良晴の仲を取り持とうとし……。
自己主張の塊でありながら無私。
それが今川義元という女の子の生き方なんですよね。
だから好きなんですよ……!

わーらわーはおーかざーりしょーぐんさまー♪





有楽斎をめぐる設定については、もうおったまげですよ……
伏線が張られてるの1巻じゃないですか……
今回はそれ以外にも序盤の『信奈』で張られていた伏線がいくつか回収されていて、今までの『安土日記』以上に本編との関わりが強かったかなと思います。

…………よく考えたら『安土日記』の1巻は未読でしたし、多分そこで出てきた相良妹軍団のほうが本編への食い込み方は強かったですし……
なんかすみません……

穏やかな信奈、と考えたら有楽斎の持つスペックの高さは凄い高いですよね!
デメリットの無いただの絶世の美少女。





読書メモ




18p:小倉とぉすと
⇒尾張新名物開発会議にて半兵衛ちゃんが小倉とぉすとを作ってきたシーン。
……CV小倉唯だもんね!!



39p:笑酔人神事(えようどしんじ)
⇒通称・オホホ祭り。
義元ちゃんとの親和性が高すぎて疑ってましたが……マジで熱田神宮にそういう神事がある……だと……!?
事実が小説より奇すぎる……



83p:なんだこの美少女(イラスト)
⇒なんだ、義元ちゃんか……!



131p:小早川さん
⇒時系列的には『安土日記 2』から第二次木津川口の戦いを経てのこの巻。
あの大航海から幾ばくも経たないこのタイミングでの再会エピソードとか……やばい。



175p:神在餅
⇒ほう……
神有月のことは知っていましたが、ぜんざいの語源がここにあるというのは初耳でした!
タメになりますね……
これでチコちゃんに怒られなくて済む。






まとめ





「一番好きなラノベ」と「一番読むのが難しいラノベ」が同じ作品というのもなかなか面白いですね。
難しくて、読み込まなければいけないからこそ好きなのかもしれませんが……それにしても難しい。
そういうわけで今回は少しフワッとした感想になっていますがお許しを……
(既刊から伏線シーンを引っ張ってくる体力が無い)


さて、次はいよいよ、とうとう、最終巻であろう21巻。
読みたくない。でも読まなきゃ死ねない。
とても読みたい。

青春が……終わる……





以上!

今日のラノベ!




お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか 2


お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか 2

著者:
はむばね

イラスト:
sune

レーベル:
富士見ファンタジア文庫


【あらすじ】

謎の転校生、街田好乃さんは魔光少女だ。(すごく美人!)またまた正体を知っちゃった僕は、“男に惚れられてはいけない”彼女の身バレペナルティ達成のため、お助けキャラとして奮闘!―って、「好乃さん!むやみに男子の手を触ろうとしない!!」どうやら彼女は無自覚な超弩級のモテ体質。さらに庄川さんのお助けキャラも兼任中。…無理ゲーじゃない?しかも好乃さんと一緒だと、プールに合コン、リア充イベントが発生しがち。庄川さんもなぜか毎回ワンチャン狙ってくるし…え?焦ってる?いやいや、お助けキャラが嫉妬されるわけないじゃないですか。無自覚拡大の勘違いラブコメ!




感想:★★★★☆




新キャラ転校生・街田好乃=フェアリィ☆ライトの登場で勘違いの加速する第2巻!




庄川さんの妹ちゃんが可愛すぎて
正ヒロインの庄川さんの座が無い!


(個人の感想です)





転校生が現れてもなんのその。
相変わらずエグい低い自己評価と、お助けキャラとしての行動により状況は複雑さを増し……ていくかと思いましたが、2巻終わった段階で整理してみるとむしろ1巻よりもスッキリしたのかもしれません。




平地は徹底的に魔光少女のために無私のサポート。
魔光少女の二人は平地に恋し、
周囲は三角関係を温かく見守る。



もっとも、この状況に至るまでが大変でしたが……。







紙一重の繰り返し。
真帆と好乃の「助けられ方」の違いにもなっていますが、好乃に対して平地は「自分のエゴで助けている」とカミングアウトしてのお助けキャラとなっています。
故にそこについての勘違いは存在しなかったんですよね。
一歩間違えればストーカー認定されてもおかしくない好乃に対する平地の行動は、言ってしまえば正義の押し付けでしかないんです。
しかしそれでもやる。
例え本人に「必要ない」と強く否定されても。


ここの平地の推しの強さが読んでて印象的でした。
自己評価あんなに低いのに自分の信念は執拗に貫くって、どういう下地があったらああいう性格になってしまうんでしょう。
多分真に助けられなければいけないのは彼なんです。

でもまだ物語はそこまでたどり着いていない……という感じでしょうか。

3巻以降に向けて楽しみなポイントが1つ増えましたね!







舌先が器用な平地を見て
キスを想像しドキドキする
庄川さんの妹こと真琴ちゃんが
可愛すぎてヤバい



(発作)





読書メモ




85p:またお前かぁ!空橋ぃ!
⇒なぜかお前が入ると勘違いがエキサイトし始めるんだよ空橋ぃ!!
そう考えると平地たちの勘違いを客観的に観測する立場として、今作における空橋の重要度って割と高いですね。
里崎はほら……よだれ垂らしてるだけだからさ……



190p:珍しくキョドる平地
⇒平地が庄川さんを異性として意識して普通にドキドキしているという異常なシーン。
勘違いが解ける日は……近い…………?



242p:正義の味方の味方
⇒お助けキャラだなんてとんでもない。
もう彼は立派な正義の味方ですよ、かっこよすぎますよこの登場……!
今巻はテーマの1つとして「正義の味方は助けられても良いのか?」というものがありましたが、その答えとなるのがまさしくこのシーンでしたね。
良いんですよ、守られても。
強いから、力があるからって守られる立場になっちゃいけないなんてこと、あっていいわけがないんですから。






まとめ




感想とっちらかってしまってすみませんでしたー!!



娯楽的な面白さ以上に何か訴えかけられている気がして、でもそれをうまく言語化できずモニョモニョしながら書いていたので、いつも以上に文章が散らかりました……。
でもしょうがないと言えばしょうがないと思うんです……


(ここから言い訳)

キャラ同士の勘違いとは、読者からしたら関係性のフェイクです。
それぞれの認識と実際の関係性を正しく理解することで初めて面白さが理解できるわけですが、いわば確実にどちらか一方は(あるいは両方が)お互いの関係性について誤解したまま接していきます。
平地が父性を、庄川さんは恋愛感情をそれぞれ持ちながら、実際は友達以上恋人未満の関係でいるように。
1つのシーンを見るにしても、それぞれの視点+神視点(双方の捉え方を正しく認識している=読者)の最低三種類の解釈ができるわけです。

よって、感想が散らかるのはしょうがないのです!!!
(言い訳終わり)


好乃のお披露目回とはいえ庄川さんの出番が控えめだった印象。
次はもっと彼女のあられもない姿(=魔光少女としての活躍……のことかもしれない)を見たいです!





お風呂上がりを見られている
真琴ちゃんは最早正妻では??




(戯言)





以上!



どもー!
デスカイザーです。


ただの休日、予定も何もない休日でありながら「よし、スロットだ」という気持ちを我慢するまでもなく沸き上がらない休日はいつぶりか!!
ふふふ……読書が楽しい……



今日のラノベ!


青春失格男と、ビタースイートキャット。

青春失格男と、
ビタースイートキャット。

著者:
長友一馬

イラスト:
いけや

レーベル:
富士見ファンタジア文庫


【あらすじ】

高校に入学した日。野田進は桜の木から落ちてきた清楚系女子、宮村花恋と運命的な出会いをし、誰もが羨む高校生活を手に入れる。だが進は、そんな普通の幸せに満足できなかった。「あなたは、青春不感症なんです」そこに、エキセントリックな孤高の天才児、西條理々が現れる。彼女の言葉で、進の日常は甘くきれいに溶けだした。「私の足を舐めろ、です。大人の味を教えてあげます」友人も、家族も断ち切って、世間から孤立する。進と理々だけの秘密の共犯関係―“楽園追放計画”が始まった。目を背け、逃げ続ける。ふたりだけの幸せを信じて。第30回ファンタジア大賞“審査員特別賞”受賞作。




感想:★★★★★




誰もが羨む美少女・花恋と運命的な出会いをし、おっぱいラブレター攻撃を受けても驚くのみで性的な衝動はゼロ。
友人との付き合いはそれなりにこなすも、それは表面上友情を成り立たせるための義務的行動であり、楽しいとは感じない。

青春を理解できない主人公・進(シン)が、進以上に周囲と迎合することを嫌う西條に見初められ、周囲との関係を断ち二人だけの世界を作ろうとする物語。

第30回ファンタジア大賞にて審査員特別賞を受賞した作品です。



いわゆる「普通の高校生活って何だろう?」という疑問にぶつかっていくタイプの作品で、その中でもよりエキセントリックな方向に振り切れている作品。
超常の力を一切使わない至って平凡な高校生にできる最大の叛逆を試みる西條が、なかなか割り切れない進に対してする指示は苛烈。



「噴水の池に突き落としてください」
「(バスケットを)投げ捨ててください」

本文81p、115pより


当然と言えば当然ですが、指示のまま行動できる進ではなく西條のイライラは増すばかり。
しかし、進が応じる唯一の命令があります。
それが、


「私の足を舐めろです」

本文54pより


西條に傅き、舐めること
ここの妙な純粋さにとても惹かれました。

エロいシーンではありますが、『魔装学園H×H』みたいな直接的なものではなく、もっと抽象的だったり芸術的な方面でのエロスという言葉がしっくりくるような描写でした。
いっそ一般文芸における性交のような物語装置としてのエロスに近いかもしれません。
しかしそれらと同一視するのが憚られるのは、そこに本人たちの揺れる意思が介在しているから……でしょうか?


叛逆しようと行動するも、結局それらは同級生、先生、家族といった、この年頃の子供からは切っても切り離せない存在により行き着く所に行き着く前に止められてしまいます。
離れようとしているのに、止めてもらえることを知っているかのようなそんな曖昧な態度が二人から見え隠れしているんです。
だから、かどうかは分かりませんが止められてしまう。


二人にとって「どうしても切り離せない存在」が居ることが計画進行において最大の障害であるかのように語られ続けていましたが、本当のところはどうなのでしょう?
最後の最後にはひどく歪な形でひとまずの決着を見せましたが、二人の本心がどこにあるのかを見極めないことには物語が進み出すことは無さそうです。

青春が繰り広げられるコミュニティは苦手だ。
しかし、その気持ちを共有する“誰か”の存在はほしい。

そんな二人の行く末を、続きが出るのであれば見守っていきたいです。




読書メモ




24p:ハルヒ
⇒『涼宮ハルヒの憂鬱』と言えば!な自己紹介シーンのオマージュ。

「ただの人間には興味ありません。宇宙人、未来人、異世界人、超能力者、にも興味はありません。よろしくしねぇで一生放ってろです」

本文24pより

このオマージュは、ある意味『ハルヒ』からの決定的な決別を意味していたのかな、と思います。
あちらは「ただの一般人」と「ただの人間であるだけの異常な存在」と「超常の存在」による物語でしたが、こちらは「少しばかり天才的に頭の良い女子高生」と「周囲より少しルックスに優れ歌のうまい男子高校生」、いわば「ただの一般人」による物語であるという宣言です。
ともすれば自信に満ちた異常な存在であるとも取れそうな西條を、ただの人間であるという前提条件に押し込める魔法の一文であったと思います。

「この作品、面白くなる」と確信したシーンでした。




55p:フェティシズム
⇒足舐めにかける著者の情熱が凄まじいです!
私自身にそういった性癖はこれっぽっちも存在しないのが残念に思うくらいには魅力的なフェティシズムの詰まった文章ですね……。
……いや、本当にこれっぽっちも存在しないですよ?本当に!




178p:決壊
⇒進が今まで溜め込んできた気持ちがフッと切れるシーン、素晴らしいです……。
「プッツン」とか「ブツッ」とかそういう決定的な音が鳴るのではなく、「フッ」と音もなく解けるかのような表現で、メンタル的にか弱い自分としては分かるボタン連打でした。
直近だとアレですね。
抑揚を一切受け付けてくれないクソみたいなマイク設定のカラオケ店で採点頑張ってた時に、1時間半くらいで「フッ」ってなりましたね。
そして始まる菅田将暉熱唱タイム




215p:計画凍結
⇒何者にもなれず、何者にすがることもできない宙ぶらりん。
やはり二人が「ただの一般人」であるからには当然の帰結で、このワンクッションがあったからこそ今巻の決着の狂気度が跳ね上がるんですよ……




まとめ




行くところまで行ったら死人が出てもおかしくない物語だと思います。
このままだと誰かのこころが壊れちゃいますもん。
それが進なのか、西條の母なのか、花恋なのかは分かりませんが。

もちろんこのまま停滞するような二人ではないと思いますが、かといって一旦の安定を得てそこからの行動が難しい状態で一体どういった選択をするんでしょう……?
選択をして掴み取った現状もまた、宙ぶらりんのまま。
支柱を得るのか、支柱になるのか、支え合うのか。

続刊が出るにしろ出ないにしろ、二人の行く末を案じることは暫く続けたいです。




以上!




今日のラノベ!



オレと彼女の萌えよペン 4

オレと彼女の萌えよペン 4

著者:
村上凛

イラスト:
秋奈つかこ

レーベル:
富士見ファンタジア文庫


【あらすじ】

修学旅行が終わってから、茉莉のテンションが妙に高い。ラブコメを教えるからと言って、水着にエプロン姿で手料理を食べさせてくるように。俺の萌え理解も順調な中『BATTLE IDOL!』の評判も上々で、なんとサイン会も催されることになった。だけど…そこにエミリちゃんがいない、そんな現実が辛かった。このままじゃダメだとエミリちゃんに会って説得を試みた俺は、何がなんでも思い直してもらうと意気込んでいたのだが―向かった先は遊園地で!?しかも、私の考えた男キャラになって過ごすという条件付きって、本当にこれで説得できんの!?



感想:★★★★★



エミリが……アシスタントをやめる……?な第4巻
3巻読んでから実に2年9ヶ月もの時間が空きましたが、エミリショックは大きいですよ……!!





どう考えてもエミリが泉を意識して、しかも茉莉と泉の関係を壊さないために自ら身を引こうとする彼女の考えが分かりすぎるほど分かってしまってとてもつらかったです……
そう、もうエミリが出る場面は全部エミリサイドに立って読んでましたね。
主人公の一人称にも関わらず。


波風を立てたいわけではないからブロックしたり逃げたりすることもできず着信拒否もスルーもできず、泉が好き(?)だからやっぱり彼の連絡は無視しきることができず。
本音ではもちろん泉のそばに、もしかしたらなんだかんだ茉莉も含めて3人での空間を求める気持ちでいるんだと思います。
でも、茉莉が泉のことを気にしていることに気づいてしまったから、茉莉と泉の創造する漫画が誰よりも好きだから離れなきゃいけない。

本編ではハッキリと描かれてはいませんでしたが、そんなエミリの葛藤が痛い程に伝わってきました……。






一方、エミリショックを受けつつも漫画が順調な茉莉&泉ペアは、なんとなんとサイン会!
しかも二人のそれぞれの憧れのベテラン作家と合同!

もしベテラン作家が仕事にストイックな方だったら、泉あたりはメンタル的に立ち直れていなかったかもしれませんね……。
「辞退したアシスタントのことを考える暇があったら漫画を書きなさい」とか言われていたら……ね。
あるいは先輩に対して激昂するパターンか。
まぁ、それは妄想。


実際のベテラン作家さんはとても親しみやすく、後輩の相談にもしっかり答えてくれる心優しい方でした!
読んでいてここまで心臓に悪くないというのもなかなか珍しいというか、ここ最近プラマイどっちにしてもドキドキしっぱなしな読書が多かったのでありがたいです……。






エミリが居ないことで茉莉が攻勢に出るか……?と思いきや、前巻の修学旅行で疲れたのか、漫画が忙しいことでその余裕がないのか、あまりアグレッシブではありませんでした。
それでも水着エプロンで手料理というなかなか凄いことはやっていましたが!
5巻でエミリが戻ってくるとして、そんなんじゃ泉取られちゃうぞ!!頑張れ茉莉!!
おっぱいを使うんだ!!






読書メモ




61p:美味しくない
⇒自分の作った料理のメシマズっぷりを受け入れ、無闇矢鱈な逆ギレをしないあたりに茉莉の成熟した魅力があると思います。
……いや、冷静に考えると至って普通のことのはずなんですけどね?
ラブコメ慣れしてるとどうにもメシマズを本人がスルーすることが当たり前のように思ってしまうところがありまして……(汗)



76p:君島さんのバカー!
⇒鈍感!ポンコツ!!あんぽんたん!!!
エミリとのデートシーンの唐変木ジゴロっぷりはもう……エグさすら感じます。
頑張れエミリ……!



112p:あぁんもう!!
⇒エミリちゃんが言ったああああああああああああ!!!!!
言ったのに!!
おいこら君島表出ろコラ!!!
お前、そこで、「え?」は、無い、だろ!



161p:幸せな時間
⇒やっぱりサイン会とか、公開収録とか、演者・作り手とファンの直接の交流ってフィクションでもリアルでも良いものですよね……。
直接声を聞ける/届けられるというのは、他のどの手段にも無い特徴で、代替のきかない最高のシチュエーション。
こうしたファンとの交流に喜びを感じるシーンはいくらでも読んでいたいですね……




まとめ




エミリちゃんと茉莉の陰ながらバチバチする姿が5巻で見れるんでしょうか……?
楽しみな気持ちもありますが、泉がどっちつかずの対応をしてモヤモヤする未来も見えるような……。


今度こそあまり間をあけずに読了したいと思っています!



以上!




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