カテゴリ:文庫レーベル(感想作品数・多) > 電撃文庫

今日のラノベ!


ナイトメア・ゲーム

ナイトメア・ゲーム

著者:
真坂マサル

イラスト:
あきのそら

レーベル:
電撃文庫


【あらすじ】

 目覚めた時、街は【悪夢】に覆われていた……。
 悪夢が人々を食い破り、襲い始めたある地方都市。その存在に捕われたら最後、発芽した悪夢は暴走し、その人間が死ぬまで、止まらない。
 失われた記憶、閉鎖された街、幼馴染の涙、異様な予言を信奉するカルト宗教――謎だらけの状況に翻弄されながら、俺は手にした剣だけを頼りにギリギリで生き延びていく。
 いくつもの死を踏み越えて、傷だらけで進んだ先に待っている、残酷な「真実」とは――。
 この悪夢ナイトメアに、終わりは、あるのか?





感想:★★★★★






読了ツイートはこんな感じ。
困ってますねー。
これから2日経ってますが、概ね同じような心境のままなので本当に消化できていないです……




『水木しげ子さんと結ばれました』で第20回電撃小説大賞《20回記念特別賞》を受賞された真坂マサル先生の最新作!
もう本当に大好きな作品で、このブログでも3巻の感想とかは初期としては珍しくまともな感想を書いていたりします。
懐かしい。
思えばあの作品も、最後まで消化するのにとても時間かかったような……






さて。


まず、何よりもしっかり強調してお伝えしたのは





「面白かったです!!!!!」





という至極シンプルなことです。
その上でなお消化不良な面もあるということで……それもやっぱり不快なものではないんですよね。
油もので胃がもたれているのではなく、食物繊維を摂取しすぎて詰まってるみたいな。
……いや、この例えだと不快だな(おかしいな)










では、なぜここまで読み解き切るのに時間がかかっているのか




1つは謎の密度でしょう。
主人公・慧吾の記憶障害の理由、舞台である山奥の集落に拠点をもつ<キョウシン教会>の存在理由、謎の呪文、次々と現れる異形の怪物、幼馴染・儚の涙のワケ、【悪夢】とは一体何なのか?、etc……。
場所が変わり、登場キャラが増え、展開が進むほどに謎はどんどん増え、深くなっていきます……。



もう1つ理由を挙げるとすれば、整理する時間を与えてくれないというところです。
目覚めて状況を把握してから最初の怪物とエンカウントするまで、逃走してから一触即発の空気になるまで、仲間が増えてから次なる異形と対峙するまで。
いずれも短いストロークによって繰り出されるため、本を開いている間は考えを広げる余裕があまりありませんでした。
まさに「息つく暇もないほど」という表現を使いたくなる展開でしたね!




そんなわけで謎を積み重ねろくに整理もしなかった結果、終盤で事実が明らかになるほどに積み重なったものたちが音を立てて崩れていったような。
せめて整理だけでもしていたら良かったんですが……
おかげで読み終わった頃には謎を積み重ねていた頭の中のテーブルの上は大惨事!
天板が見えないほど物語のパーツがしっちゃかめっちゃかにぶちまけられています……

だがそれが良い!






中身の具体的なシーンの感想は……読書メモにて!





読書メモ




94p:未来ちゃん!!!
⇒二次リョナラーとしては、雑巾絞りで殺されてしまった未来ちゃんを最高の事切れ方だったと大絶賛したいです。
読者感情に配慮してなのか、女性のネームドキャラで凄惨な死に方したのは彼女だけなので余計に彼女への評価が高まります。
……いや、こう、何といいますか…………一切参考にならない立場からの評価で恐縮です。




183p:松果体
⇒オカルト方面に明るくないので初耳でしたが、調べてみると本当にありましたね。松果体の活性化による第三の目の開眼というオカルトな話題が……!
ただそれとは別に、松果体の石灰化とアルツハイマー病・認知症の相関性という記事も見つかったので、決してオカルトだけではないみたいですよ?
今度しっかり調べてみましょうかしら……?








まとめ




読書メモでなら掘り下げた感想もできるだろうと高をくくっていましたが、やってみたら全然ダメですね……






引き的に2巻が出ても出なくても納得はできるんですよね……
特にキョウシン教会側から見た一連の流れは宗教っぽい狂気が詰まっているので、むしろあのまま狂気を一手に引き受けて崇め崇められでいてほしかったり。
ただ、あの結末を迎えてからの慧吾の心境や考察をじっくり読んでみたい気もしますし……


全力の期待と消化不良の音とともに、読み込みながら待っていたいと思いますー







以上!



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今日のラノベ!

SAOAGGOⅦ

ソードアート・オンライン オルタナティブ
ガンゲイル・オンラインⅦ
-フォース・スクワッド・ジャム<上>-

著者:
時雨沢恵一

イラスト:
黒星紅白

レーベル:
電撃文庫


【あらすじ】

『結婚を前提に、香蓮さんとお付き合いがしたいと思っております』香蓮の父親のもとに届いた一通のメール。それは、父に付き添ったパーティー会場で出会った若手実業家からの、リアルな結婚の申し入れだった。しかし、香蓮は『ピーちゃんみたいなのがタイプ…』と取りつくしまもなく―。そんななか開催が決定した第4回スクワッド・ジャム。今度こそSHINCとの決着をつけるべく参戦を決めた香蓮だったが、首都グロッケンでの作戦会議中、突如レンの前に現れたハンサムな男からある勝負を持ちかけられ…。第4回SJの銃撃戦の裏で、香蓮の人生をかけたもう1つの戦いが幕を開ける!




感想:★★★★★




「このシーンをアニメで見たい」堂々の一位は<泥に埋まるエム>







アニメは大人気の中で幕を閉じましたが、こちらは早くも第4回スクワッド・ジャムの開幕!
基本的に大会の話のみで構成されているシリーズって何げに珍しいんじゃないかな?と思う今日このごろ。
前回みたいな例外は例外ですし、普通にGGO内のダンジョンの話(SHINCが対戦車ライフル取りに行くシーンみたいな)とかやってみても面白そうなのに敢えてSJに拘る姿勢が好きです。
いや、ある意味今回の話はそちらに寄る話……?






ということで、今回のSJも「主催者権限により特別ルール発動!(ここだけ海馬ボイス)」
5分以上その場に留まると一定時間モンスターがポップするという、対人限定戦闘なSJの概念を覆すもの。
待ち伏せが出来ないだけでなく、複数チームの結託により囲まれた場合や、アニメでも描かれた第2回SJでのピトの回復待ちのような場合も危なくなってくることになります。
……万が一水面が上昇してビルの上に取り残されたりしたら大変なことになりますね(笑)

裏切り前提でチームに加入したクラレンスとシャーリーの動向、SHINCの意図の掴めない行動と、珍しくピトがまともにレンちゃん側にいるのに不確定要素が多くいつも通りハラハラしました。
そして続きも間違いなくハラハラし続けることでしょう……
本隊の意思と一切関係なく動く別働狙撃隊と考えると、シャーリーとクラレンス強すぎやしませんか……?








香蓮に言い寄るファイアがSJ内でどういう作戦を取ってくるのかにも注目です。
……ただ「人数を集める」だけとは到底思えませんからね。

いや、それにしても香蓮のドレス姿がお綺麗ですこと!!
スラッとした体型がかっこいい寄りの印象なのだけど、花柄のレースが可愛さと妖艶さも醸し出していて素晴らしいです!!
理想のタイプとして掲げるピーちゃんと添い寝する香蓮の口絵とか、もう実質ベッドインじゃないですか?
は~~~~、すこ。






読書メモ




64p:イラスト
⇒あ~!!!!
エルザの裸体 on the ベッド~~~!!!!!
ああ~~~~~~~~~~



71p:女神
⇒全日本マシンガンラバーズのただでさえ青天井な伸び代に、「まともな人」という最高のブーストがかかってしまう緊急事態。
……彼らの言動にノリノリで付き合っている彼女が性格的にまともかどうかはちょっと怪しいですが、ほら、戦術観的にはね?
余談ですが酒場に入場してくる際の神輿シーンは、ZEMALのB級感からか映画『僕は友達が少ない』の神輿シーンで脳内再生されました。



94p:本名
⇒ゲーム内の本名呼びで肝が冷えるくらいには、オンラインゲームのマナーを習得したのだなぁとちょっと感慨深くなったり。



130p:雑談
⇒神崎エルザの裏話とか無限に聞きたいですね!
その裏の豪志さんの苦労話も含めて。

そういえばボトムアップ型AIの話をしていることで気づきましたが、2026年の8月と言えばアリシゼーション編の完結と同じ時期なんですね。
アリスが会見をしたのが丁度このあたり。
……そうか、SJ2~SJ3の間あたりでオーディナルスケールしてたのか。




248p:全員笑顔
⇒アニメ関連の時雨沢先生へのインタビュー記事で度々取り上げられていた「銃弾がどれだけ飛んでも誰も死なない素晴らしい世界」、というものが今巻で一番よく出ていたのがこの一連のシーンだったかなぁと。
戦術がそもそも自爆突攻ですからね。
リアルでやろうもんなら無名キャラとはいえ殺伐を超えて興ざめするまでありますからね。






まとめ




あとがきで「下巻の発売日は――」とある割に、8月の電撃文庫新刊コーナーに『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅧ -フォース・スクワッド・ジャム<中>-』ってあるのがどういうことかと。

濃く、熱くなってしまったようです……




そろそろレンちゃんの家に強襲するエルザが見たい……





以上!



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今日のラノベ!

新約とある魔術の禁書目録 20

新約 とある魔術の禁書目録

著者:
鎌池和馬

イラスト:
はいむらきよたか

レーベル:
電撃文庫


【あらすじ】

 自らの根城・学園都市を躊躇なく捨てたアレイスターは魔術大国イギリスへの総攻撃を開始する。一見非道な作戦には、しかし何故か上条やインデックス、一方通行、浜面や滝壺の姿も見え―。
 大天使エイワスの力をも凌駕する大悪魔コロンゾンの封印は遠からず解かれる。その前にロンドンでヤツの弱点を掴まなければならないのだが、大悪魔が憑依していたローラが率いていたイギリス清教にとっては、それは科学サイドからの侵攻としか見えない。誰も望まない決戦に、上条は挑んでいた。そんな熾烈な状況下で、彼の窮地を救ったのは、まさかの管理人系ほんわか天然お姉さん、オルソラで???




感想:★★★★☆




【悲報】五和、まだ出ない










アレイスターの「あったかもしれない可能性」の成れの果て、クロウリーズ・ハザードがイギリス及び関係53カ国を一斉に襲撃する混乱に乗じ、イギリスはロンドンを目指すアレイスターと愉快な仲間たち。
一方通行と浜面が本格的に魔術側に足を踏み入れる巻であり、イギリス側の懐かしい面々が続々と登場する原作ファン大歓喜の巻であり、オルソラファン大歓喜の巻であり、五和ファンはクロウリーズ・ハザードに飲み込まれる巻でもあります。



いや、本当に色々と『とある魔術の禁書目録』の懐かしキャラが登場しまくっているのですよ。


対クロウリーズ・ハザード防衛ラインとして展開されていた部隊っていうのが、イギリス清教の外様部隊と騎士派の方々だったわけですよ。
イギリス清教の外様部隊って、要するにアニェーゼ部隊天草式十字凄教のことでして。
アニェーゼ部隊は、アニェーゼ、ルチアとアンジェレネ、更に新しいネームドキャラとしてアガターさんですとかバリバリお喋りになられているのですよ。


物語のキーとなる「神威混淆ディバインミクスチャ」の輸送を担う「運び屋」として登場したのは、「黄金の夜明け」のレイヴィニア・バードウェイ、かつて上条と共にロシアの地を彷徨っていたけどぶっちゃけ設定とか忘れてる系魔術師・レッサー、そして「ビチャビチャお姉さん」こと大覇星祭編の敵キャラで今は改心?してイギリスで魔術に関わるお仕事(オブラート)をしているオリアナ・トムソン

アレイスターの囮作戦の餌にされイギリス側に捕縛された上条をロンドンは処刑塔で待ち受けていたのは、拷問担当ステイル・マグヌスと、お手伝いに来ていたシスター、今巻最重要人物たるオルソラ・アクィナス!


アレイスターに正面切って戦いを挑むのは、我らがプリエステス神裂火織と、イギリス王室編で登場した騎士団長

最後の最後に御坂に電話を掛けていたのは『SS』で登場していた御坂父!



ここまでのお膳立てが整っていて、天草式十字凄教の名もアニェーゼ部隊の描写と共に幾度も出てくるのに、そこに属するメインヒロインの名は出てこない……!!
何故だッッッ!!!!どうしてこんな酷いことをッッ!!!!







『禁書目録』の世界で最も平和を望み、非暴力によりそれを成し遂げようとしていた唯一の登場人物・オルソラ。
今回のボスキャラ。

今回はイギリス側の登場キャラが本来の行動様式を塗りつぶされているのが特徴的でしたが、その象徴的な存在がまさに彼女ですね。
もっとも上条さんが指摘するまで、「オルソラが非力を嘆き、力を求める」という一連の描写に違和感を持てなかったんですがね……
神裂のねーちんが「らしくない」戦いをしているのには気づけたのに……キャラへの関心の差?






それにしても何が起こっているのか分からなくなってきました……
まず、アレイスターという『禁書目録』ワールドのもっとも根元に近い人物の一人のエピソードなので登場キャラの数が尋常じゃないです。
レッサーとか本気で設定思い出せないですし(あとで調べます)、新約序盤に出てきたマリアン・スリンゲナイヤーとかもパッと本文中に出てくると誰だお前状態に陥ります。
一種の状態異常ですよね、キャラが分からなくなるって。

そしてキャラが多ければ、仕掛けがシンプルでも複雑さを究めます。
というか仕掛けが複雑さを増しています。
今回は「認識の歪み」を基本とした仕掛けが展開されていますが、ぶっちゃけ何が起こっているのか半分くらいしか理解しないまま読み進めているような気がします。
上条さんが強調中黒まで付けて喋っているのに「???」ですからね、その後のテンションがまぁ合わない。

でもこれからも食らいついて行かなければ……。









469p、最弱と最強による宣戦布告。
痺れました!
どういう理屈で何と戦っているのかよく分からなくなりつつありますが、次もまたイギリス編。
天草式壊滅が誤報であること、クロウリーズ・ハザードにより死者が出ていないという発言を信じて次巻を待ちます……






以上!


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どもー。
deskyzerです。


久々に机に向かってうんうん唸っていました。
トータル4時間近く……?
ゲーム理論って、仮定の表から実際の行動に落とし込んで理解するのが難しい気がします……。
テストは答えられるけど、その意味を理解しきれていないみたいな感覚です。



その成果?を使う今日のラノベ!

数字で救う!弱小国家


数字で救う!弱小国家
電卓で戦争する方法を求めよ。
ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。

著者:
長田信織

イラスト:
紅緒

レーベル:
電撃文庫


【あらすじ】

小国ファヴェールの王女・ソアラは悩んでいた。隣国との緊張が高まり、戦争の気配がちらつき始めた今、国力が低い自国を守るにはどうすればよいか。父王は病に倒れ、頼みの綱の家臣たちも、前時代的な「戦いの栄誉」ばかりを重視し、国を守る具体案を誰も持たないまま。このままファヴェールは滅ぶのか…。しかし、そんな時、彼女の前にある人物が現れた。“ナオキ”―後の歴史に“魔術師”の異名を残したその青年が扱う『数字』の理論と思考は、ソアラが求めた「国を救うための力」だった…!異能ナシ、戦闘力ナシ、頼れるのは2人の頭脳だけ…!理系青年と、敏腕王女が『戦争』という強敵に挑む『異世界数学戦記』、ここに登場!





感想:★★★★★




「ゲーム理論で考える弱者を救うための生存戦略」っていう、英語タイトルが好きです!
すごい論文っぽい。




ということで、ラノベ業界としても大変意義のある重版を成し遂げた『すうすく』です!



憧れの祖父と同じ数学者を目指していたナオキと、旧態依然とした家臣団を前に衰退の一途をたどっていた弱小国ファヴェールの王女・ソアラが、数字の力で国の存続を目指すという物語。
今回主に取り扱われるのはゲーム理論だったわけですが、面白いほど計算通りに進む場面と、恐ろしいほど計算通りにいかない場面の対比が面白かったです!



そもそもゲーム理論は「すべてのプレイヤーが合理的な判断のもとに行動する」ことを前提としています。
つまり合理的な判断をしないプレイヤーがいると破綻するんですよね。
国家元首や商人など、今回計算通りに進んだ相手というのはそれなりに頭の回る人物だったように思います。
逆に神を信仰し、奇跡を信じ、天運を引き寄せ、武功が誉れと考える評議会やソアラの父に対してはとことん計算通りにいきませんでした。

じゃあこれは評議会が全部悪いかと言うとそこまで単純な話でもなく。
敵国との内通はGuiltyですが、単純に何を言っているか理解できないから今まで信じてきたものを信じる、という考え方なのだとしたら説明責任を果たしきれていないソアラ側にも非があることになりますから。
理論を解説できてこその数学だと思うので。






それにしてもソアラが可愛いくてしんどいです……
ヒロインが1人というのもなかなか珍しいですが、それをあとがきで触れられるまで気にしなかったくらいには魅力的でした!
好きな数学の話になるとつい前のめりになってしまう無邪気さだったり、何度拒絶されても父を説得してみようとする強さだったり、長い間願っていた理解者たるナオキに心を開くのがめっちゃ早かったり!
服装や髪型も色々登場したので、外見でも色々な魅力が見れたのは嬉しいです……!
勝負下着良いですよね。うん。





読書メモの前に、例の成果というやつを乗っけておきたいと思います。
自分なりに考えたつもりですが、それが考え方として合っているかどうかは分かりません……(笑)




まずは114pの囚人のジレンマ

GAME1

(シャーペンで書いたので薄い……)
(字が小さくて汚くてすみません……)

ナッシュ均衡でありながらパレート最適ではないというパターンの最も代表的な例ですね。
これはさすがに覚えていました。





続いて166pのチキンゲームと麦の競争入札!


20180514_00002_001

相手に依存するパターンから条件を追加することでナッシュ均衡をひとつに絞るという例。
応用して、セカンドプライス制の競争入札におけるプレイヤーの最適行動を考えるというもの。

これに一番時間取られた気がします……。
表も商人の行動も感覚的には理解できるんですが、その両者をどう結びつけて考えるのかが分からず苦しんでいました……
具体的には「譲歩」と「対立」が、「価格を下げる」と「入札」のどちらに該当するのかというところ。
多分これで合ってると思うんですが……




そして最後は286pのハトタカゲーム!


20180514_00002_002
GAME4


この子の場合は本筋に関係ない「進化的に安定な戦略」をどう算出するのか分からなくて唸ってました…(笑)
計算で出せれば良かったんですが、うまく思いつかなかったので視覚的に分かりやすく総当
たり形式でやってみました。
(Wikiの例、プレイヤー12人が進化的に安定な戦略だったせいで試行錯誤するのが大変でした……)

ここは本編読んでて唯一文章で理解できなかったところでした。
「タカが増え続けても取り分はマイナスにならないのか?」とかその前後ですね。
ハト1、タカ5で試算したら、本当にタカが全部マイナスになってハトの1人勝ち状態になったのでめっちゃ興奮しました!!
数学楽しいよ……





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今日のラノベ!



三角の距離は限りないゼロ


三角の距離は限りないゼロ

著者:
岬鷺宮

イラスト:
Hiten

レーベル:
電撃文庫


【あらすじ】

人前でどうしても「偽りの自分」を演じてしまう僕。そんな僕が恋に落ちた相手は、どんなときも自分を貫く物静かな転校生、水瀬秋玻だった。けれど、彼女の中にはもう一人―優しくて、どこか抜けた少女、水瀬春珂がいた。「一人」の中にいる「二人」…多重人格の「秋玻」と「春珂」。僕は春珂が秋玻を演じる学校生活がうまく行くように手を貸す代わりに、秋玻への恋を応援してもらうようになる。そうして始まった僕と「彼女たち」の不思議で歪な三角関係は、けれど僕が彼女たちの秘密を知るにつれて、奇妙にねじれていき―不確かな僕らの距離はどこまでも限りなく、ゼロに近づいていく。これは僕と彼女と彼女が紡ぐ、三角関係恋物語。





感想:★★★★★




岬鷺宮作品の集大成がここに。




あとがきでそう語られていたからっていうわけではなく、読んでいる間本当に思っていたんですよ。
寝っ転がって読みながら、










「あー、これ聖書」







って呟いた記憶がありますもん。

『失恋探偵ももせ』から千代田百瀬が担任の先生として(実に10年後の姿!)登場し、『読者と主人公と二人のこれから』の少し後の時間軸で、隣のクラスで、修司と須藤の二人もクラスメイトとして登場、そして場所は『放送中です!にしおぎ街角ラジオ』からの恒例である西荻窪。
「不器用な恋」を綴る青春作品群の集大成、それが今作であったと思います。





親友の春珂と、恋をしている秋玻。
同じ身体に宿る2つの人格それぞれに友情以上の感情を持ちつつも、その2つに線引きはしっかりしている矢野くんの対応が最高に好きです。
そして、恐らく矢野くんが二人に向けているのと同じ感情を抱いている二人が、なかなかどうしてすれ違ってしまうところも好きです。
周囲に迎合するため自分を偽ることに罪悪感を抱いている矢野くんと、片割れである秋玻のため積極的に自分を偽る春珂が「本当の自分」を求める点で気持ちを共有する点も好きです。
秋玻は春珂のために春珂を肯定し、春珂は秋玻のために春珂を否定するという切なさもまた好きです。



春珂は友達として、秋玻は恋人として一緒に居たいと自然に思えるキャラなのもまた良かったです。
『失恋探偵ももせ』の時から少なからず思っていましたが、そういうキャラの位置づけがうまいですよね……。
あるいは性癖の一致ともいう。

今回の話で言うなら、もしも読者が春珂を恋人として、秋玻を友人として扱いたくなるようなキャラだったら物語が捻れてしまうわけじゃないですか。
ただでさえすれ違ってしまうのに。
その捻れを起こさず、主人公と同じタイミングで自然と恋に落とされる感覚が、とても好きです。






以下、ネタバレ濃くなる読書メモ。




 

読書メモ




プロローグ前:手紙
⇒読み終わった今この手紙を読んでも、やっぱりどっちに宛てて書いた手紙なのか分かりません。
あるいはどっちもなのかもしれません。
春珂が消える直前。
秋玻にとっては春珂と共存する最後の日に、春珂にとっては自分がこの世に存在する最後の日に二人に宛てた手紙。
んー。
その時が来るのはまだ先だと思いたいけど、いつかその時の物語が紡がれるのでしょうか……?



62p:うわあ、うわあ
⇒自分のもう1つの人格に恋をしていることを告げられるってどんな気持ちなんでしょう……?
嬉しいような悲しいような。



66p:66p!66p!
⇒挿絵で登場、みんなの千代田先生!
この泣きぼくろをまた見れる日が来るとは……!
今作の聖書感は、彼女の出番の多さも一つの要因だと思います。
かつての失恋探偵が、今この瞬間恋に迷う少年少女を優しく導き後押しするということのエモさ……!
野々村九十九との仲も順調なようで、なんかもう本当にここだけで泣けてきます……。



88p:1組の細野
⇒『読者と主人公と二人のこれから』のカップルもどうやら順調そうで!



190p:6時間近く
⇒唐突な推理タイム

集合が10時、西荻窪駅からお台場までが大体1時間くらい、18時前のシーンで6時間近くということなので観覧車のシーンが大体17:30頃。お台場の観覧車が1周16分なので、最後春珂から秋玻に変わったのは17:45頃
集合時点では秋玻で登場し「午前中いっぱいは秋玻の人格で買い物をし」(154p)ということと物語開始当初の「131分で人格が変わる」ことを矢野くんが考慮していることを考えると、集合直前で秋玻に変わった可能性が高いです。ここでは仮に9:45頃に変わったということにしておきましょう。

お出かけ中、秋玻⇒春珂⇒秋玻⇒春珂と変わりそれぞれの時間をフルに使っているため、当初の計算でいくなら「131分×4回=524分=8時間44分」となりますが、17:45から逆算すると最初の秋玻が9時に始まり11時過ぎに終わる計算になってしまいます。到着後すぐなのでとてもショッピングなんて出来ません。
つまり、矢野くんの感じていた入れ替わり時間のブレは確実に起こっていたのです……!

メイン人格たる秋玻の時間が変わらず、サブ人格たる春珂の時間が短くなっているという仮定で計算してみると……
最初に仮定した9:45スタートの17:45終わりだと丁度8時間=480分。
(480-131×2)÷2=109分
ということで、春珂の表出時間が物語開始当初より22分も短くなっていることがわかります。




230p
⇒で、そういえばこのシーンで春珂の入れ替わり時間が書いてあったなぁと見返してみたらドンピシャでビックリしました(笑)



276p:イラスト
⇒ここと、あと200p、201pの見開きのイラストがすごい好きです……。
『読者と主人公と二人のこれから』も見開きで美麗イラストがあってグワアアアって感じでしたが、今巻もさらに素晴らしい美麗イラストでグワアアアアアアアって感じです。
伝われ……




まとめ




好き!(締めの挨拶)




今作は『失恋探偵ももせ』から始まった物語群の1つの区切りであり、今後も広がっていくであろうことに期待する1冊でもありました。
もちろん『魔導書作家になろう!』のようなファンタジー作品も全力で待っていますが、やっぱりどこかで百瀬の姿を探してしまう自分がいることは確かです。
もちろん単巻で読んでも十分楽しめますが、もし今作が初岬鷺宮作品で今作を気に入ったという方がいらっしゃるのならば、是非とも既刊を周回してほしいです。
今作と世界観を共有している作品は、順番に

『失恋探偵ももせ』(電撃文庫・全3巻)
⇒『失恋探偵の調査ノート』(メディアワークス文庫)
⇒『放送中です!にしおぎ街角ラジオ』(メディアワークス文庫)
⇒『読者と主人公と二人のこれから』(電撃文庫)
⇒『三角の距離は限りないゼロ』(今作・電撃文庫)

となります。
(『陰キャになりたい陽ノ森さん』は大変お恥ずかしい話ながら未読なので世界観共有しているかどうか分かりません……)
他作品も素晴らしいですが、まずはこの順番で入るのが良いかと思います。
そこから『踊り場姫コンツェルト』『僕らが明日に踏み出す方法』を経由した後に、以上の作品と世界観的に一線を画す『魔導書作家になろう!』や『墜落乙女ジヱノサヰド』へ向かわれると、より楽しめるのではないかと。


えー……多分以上で全作品ですね。よし。




いつか『岬鷺宮作品群』として一連の作品が5部作くらいで映画化されることを切に願います……
……アニメでね?実写も合いそうだけどアニメでね?


以上!


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