今日はラノベではなくコミック!

幸色ワンルーム

幸色のワンルーム

著者:
はくり

レーベル:
ガンガンコミックスPixiv


【あらすじ】

薄幸な少女は誘拐されて“幸せ”を初めて知る。
その日、少女は誘拐された。
しかし、それは少女にとって一縷の希望にかけた生活の始まりだった。
少女は誘拐犯に結婚を誓い、誘拐犯は少女にたくさんの“幸せ"を捧ぐ。
被害者と誘拐犯の関係なのに―――どうしてこんなに温かいの?
pixiv&Twitterの超話題作が待望の書籍化!!!
半分以上が本書限定の描き下ろしエピソードを収録!!!



感想:★★★★★

以前Twitterで1話を見かけて、強烈に記憶に残っていた作品。
3ページ目の“誘拐したのは本当だしねぇ”というコマのインパクトが尋常じゃ無かったんですよ…。



登場人物は誘拐犯と誘拐された少女の二人。
誘拐された少女は、周囲の大人からは虐待され、クラスメイトからはいじめられ…という境遇。
幸せとは無縁の生活であり、痛みや恐怖はとうに麻痺してしまった生活。

そこに差し伸べられた、誘拐犯の手。
救いの手、という表現は適切では無いでしょう。何せ誘拐ですから。
ですが、その手にそれまでとは違う温もりを感じた少女は「誘拐してもらう」ことに。



誘拐された先、誘拐犯の部屋は少女の盗撮写真でびっしり。
誘拐犯に「幸(さち)」という名前を付けてもらった少女は、いつかこの部屋を二人の写真で埋め尽くしたいと宣言します。
誘拐される前の写真ではなく、幸せに彩られた「幸」としての写真で。
これがタイトル『幸色のワンルーム』の由来ですね。

買う前は「しあわせいろの」と読んでいたので、「さちいろの」と読むことに気づいて感動しました…!
(公式で散々「さちいろの」と書いてあるのにね!」




お互いに相手の境遇を利用することを選択した二人。
言ってしまえば偽物の共存関係だった二人が、次第に本当の幸せを感じ始めるというストーリーがとても良いと思います。
感じている幸せも、私のように普通に生きていられる立場からすれば当たり前のようなものばかり。
(決してバカにしているわけではないのであしからず)
そうした当たり前でさえ「生まれて初めて!」と喜ぶ幸の姿を見ていると、嬉しいはずなのに涙が浮かびそうになります…。
きっと誘拐犯がふとした時に真面目に色々考えてしまうのは、そうした幸の過去を考えてのことで、同時にこの幸せを長く続かせることが難しいと心のどこかで分かっているからなんでしょう…。


二人の幸せは「荒野に咲く一輪の花」という表現でさえまだ足りないくらい、儚くて尊いものだと感じました。
だからこそ、周りの目を誤魔化しきって、できるだけ長く幸に幸せを与えてあげてほしいです…!

(2巻の予告が早速不穏ですが)




以上!


幸色のワンルーム(1) (ガンガンコミックスpixiv)
はくり
スクウェア・エニックス (2017-02-22)
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