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今日のラノベ!



高崎グラフィティ

高崎グラフィティ。

著者:
古宮九時

イラスト:
とろっち

レーベル:
メディアワークス文庫


【あらすじ】

 故郷を捨てれば、私たちは強くなれるでしょうか――。
 東京まで新幹線で約一時間。不自由はなく、あえて越える必要のない“一時間の境界線”に囲まれた街、高崎。地元に閉塞感を覚える美紀は、専門学校に通うため上京する日を控えていた。しかし高校卒業の日、父親が入学金未納のまま突然失踪。優斗ら幼馴染四人と共に父親捜しを始めるが、彼らにも秘密があって……。
 第1回未完成映画予告編大賞グランプリ受賞。将来、恋、家族に悩む若者を痛切に描く、話題の感動作を小説化!





感想:★★★★★




どもー!
デスカイザーです!

という自己主張から始めまして。
待ちに待っていた古宮九時先生の新作です!
しかも、第1回未完成映画予告編大賞グランプリ受賞作を基に制作された映画のノベライズ!

8/18から高崎で先行上映、8/25から全国で公開です!!
映画公式サイトはこちら




※未完成映画予告編大賞とは……「ある地域(任意のエリア)を舞台にした「3分以内の予告編映像」」を制作・エントリーして競われる映像コンテスト。未完成映画予告編大賞公式HPより引用




高校を卒業した日から入学・入社するまでの僅かな期間。
何者でもなく何者にもなる可能性を持った5人の少年少女が、夢を見て現実を見て、そして改めて自らの夢を再確認していく物語。


5人それぞれ抱えている事情は全く違うんですが、しかし「将来について行き詰まっている」という点では共通します。
高校を卒業した解放感と、広大な世界に放り出された孤独感が綯交ぜになった感覚。
故に、それまで集まったことのない5人がそれぞれに親身になり、それぞれの想いに触れ、怒り、励まし。
高校という青春の終わり、そして新しい世界の始まりに輝く彼女らの姿は明けの明星のようで。
面白かったです!!






「こんな青春してみたかった」と言うにはそれぞれの事情が重いんですが(汗)、不思議と共感している自分もいます。
『純真を歌え、トラヴィアータ』でも感じた、覚えがないのに経験したことがあると確信するあの感覚ですね。
なんでしょう……?んー、でもやっぱり少し違いますね……
『トラヴィアータ』は走っている途中に限界を感じて歩いたけど再び走り出す話で、『グラフィティ』は走り続けているんだけど目的地が(何なら次の一歩でさえも)分からない話、みたいな。






事情の重さに付随して、締めはやや強引というか「このあとどうするの!?」的な部分はあります。
優斗とか絶対ヤバいじゃないですか……
あと美紀の父も……
いや、マジで優斗は真っ先に高崎出るべきですって……!
1時間の境界線とか家業とか気にしている場合じゃないですって……!!





タイトルの「。」がエモいです。
5人にとって高校生活の終わりであり、美紀たち東京へ行く組にとってはこの輝かしい2日間が高崎での(ひとまずは)最後の思い出となり。
文が終わるということは、次の文の始まりがあるということであり。
なんか、そういうことですよ。うん。






読書メモ





8p:白い観音像
⇒そういえば市役所裏から烏川挟んでの山の上に観音像ありましたねー!
地元……というほど近くはないですが、大船観音も山の上の白い観音様なのでそういう文化なのかな?と思った記憶があります。



15p:脱字?
⇒6行目「ってか、東京行くと美紀すごいねー
一瞬方言かと思いましたが「か」抜けっぽいですね。



24p:満開の桜
⇒ほんと高崎市役所裏の桜、すごい綺麗だったんですよー!




102p:知らなかったこと
⇒卒業しそれぞれの道を歩もうとする今だからこそ知れたことなのか、それとも自分が知ろうとしなかったから知らなかったことなのか、あるいはその両方か。
しかし、形や大きさは違えど胸に抱えていた空虚さは同じ。

この空虚さがこの作品の1つの軸ですね。
例えば美紀は、高崎で一生を終える生活に漠然と感じる空虚さを変えることと、服飾に関わる仕事という夢が合わさり東京へ向かうことを決意。
直樹は、自分が何も持たない空虚な人間だと自覚しているからこそ、お調子者というピエロ役を演じてクラスに溶け込む。
他の3人もまたそれぞれの空虚さを抱えていて、いや、多分作中の他のキャラやもしかしたら私たちも日々こうした空虚さを持っていて、それを埋めるために趣味なり夢なりに逃げているのかもしれません。
……なんか無駄に思考が深い。



103p:水切り
⇒大雨の後とかでなければ、土手から川面ギリギリまで下りることができます。
そう、私も旅行中に川まで下りました!
そしてテンションのままに水切りして……人生初のぎっくり腰ですよ……



110p:表紙のシーン!
⇒こういう演出あると疾走感のある青春!って感じがします!!
フィーリングです。



まとめ




最後にもう1つ。







あとがきに名前が載ってます!!!
「デスカイザー様」って!!!







経緯!
3月末に友人2人と高崎に小旅行していたんですよ。
で、「高崎なうー!」みたいなツイートを呟いていたら、古宮先生から「高崎の写真たくさんください」とご連絡をいただきまして。
そもそもノープランの旅行だったので、駅の写真撮ったり、大通り沿いに歩いてみたり、市役所の裏の桜と川を眺めたり。
そんな道中の写真を送りまくっていたら……これですよ……!
Twitterってすごい……

もし高校卒業直後の自分に声を掛けられるなら、
「将来あとがきに名前載るから、今のうちにHN変えとけ」
って伝えたいです……
多分言われても当時の私なら変えないですけど……




貴重な経験、ありがとうございました!





そんな経緯があっての読書だったので、そりゃ面白いに決まってます。
面白いに決まってますが、この経緯が無かったとしても同じ言葉を発していたであろうことは想像に難くないですね!
感情を揺さぶられ、考えさせられ、ドキドキして!!
すごく良かったです!!!


……徹夜明けで読んでいたので、今度もう1回じっくり読み返してみようと思います。




以上!




今日のラノベ!


純真を歌え、トラヴィアータ


純真を歌え、トラヴィアータ

著者:
古宮九時

イラスト:
とろっち

レーベル:
メディアワークス文庫


【あらすじ】

『―私は、夢に届かない』トラウマにより歌声を失い、プロのソリストの道から脱落した19歳の椿。幼い頃から全てを捧げてきた夢を失い、残ったのは空虚感だけ。そんな中、椿はオペラの自主公演を行う“東都大オペラサークル”の指揮者・黒田と出会い…。才能を持たざる人間の、夢と現実。歌声を失った歌姫と、孤高の指揮者―希望を見失った二人が紡ぐ、“挫折”と“再生”の物語。書き下ろし。




感想:★★★★★



形は違えど、誰もが一度はぶつかったことがあるであろう「夢への壁」
主人公・椿もそんな大きく厚い壁にぶつかり、そこから逃げ出してしまった一人。

どこでぶつかったかは分からないけれど、確かに覚えのある諦観。
故に最初の数pで椿にひどく共感し、背後に忍び寄る「何かの気配」に怯えながら読み進め、一人と一人によるオペラで唇を噛み締めることになるでしょう。







ということで、純真を歌うトラヴィアータの物語。
ひとまず読み終わって思ったのは、夢は最初に思い描いていた通りに叶うものではないということでした。
苦悩に挫折に努力に克己、自分だけでなく周囲との確執や融和を経て、思わぬ形で結実するのが夢なんですよ、きっと。
それこそトラウマを抱えるような出来事を経たとしても、一度逃げたとしても。
むしろ挫折の中で自分と向き合って、その向き合って中で初めて自分の夢の本質に気づくものなのかもしれません。
「~になりたい」系の夢は、そこに隠れた「どういうことをしたい」という本質をぼやかしがちですから。

椿の本質がどこにあったのか、それを違えることなく言葉にできるのは本人だけなので語らずとさせていただきますが。
彼女の“純真”は、美しかったです。






“東都大オペラサークル”で指揮者を務める黒田
椿と同じく挫折を経験し、それをうまく自分の中で消化して「全てを掬う指揮」という今のスタイルを確立している彼は、まさに椿の先導者にして今巻の指揮者
音楽が好きだと即答するのに苦しい顔をしている椿を見て、かつての自分を重ねたのかどうなのか。
立ち入りすぎず、さりとて冷たくしすぎず。
「キミ、本当に大学二年生かい?」と言いたくなるほど人生に達観しているような雰囲気がありつつ、周囲から慕われ全幅の信頼を得ている姿にキュンキュンします。
ピリッとした空気を纏っていそうなのに、話してみると目を見張ったり呆れてみたり表情が意外なほど豊かなのがdeskyzer的にポイント高いです!

彼もまた当初思い描いていた形とは別の形で、されど本質の部分では何も変わることなく、今作内で夢を叶えたのかなぁと思います。
彼の指揮と演奏は、間違いなく二人の心を揺さぶった!






そういえばオペラは生で見たこと無いですね……記憶の限りでは。
物心つくかつかないかくらいからクラシックのコンサートに連れていってもらっていたので、もしかしたらそのうちの一つくらいはオペラだったのかもしれません。
……少なくとも、椿ほど心に残るものではなかったのでしょう。
クラシックですら会場の雰囲気ごと覚えているのは「威風堂々」と「ラデツキー行進曲」くらいなものですし……。

音楽の授業の一環で映像で見たオペラは幾つか覚えて……ますねタイトル以外。
あっ!魔王!……はリートか。
数年以内には会場に足を運んでみたいと思います!






以下読書メモにて!



読書メモ




6p:喉痛い
⇒『死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録』に続き、またもや古宮先生がプロローグでやってやがりくれました。
椿がトラウマを抱える、まさにそのシーン。
何かに背後から追われ、そこから逃げるかのようにステージ上で歌っている椿を想像して喉が痛くなりました……。
今作の最も素晴らしいシーンを挙げるとしたら、私は迷いなくこの「序曲」を挙げます。
椿の感じる恐怖、止まってくれない音楽、やってくる見せ場、“追いつかれた”瞬間の頭が真っ白になる感覚。
この鮮烈すぎる序曲が、後々の椿への共感の要因になっていることは間違いないでしょう……。
自分が経験したわけじゃないのに、昔こんなことがあったんじゃないかと錯覚するくらいハッキリと想像してしまえるのだもの……。



50p:トラヴィアータ
⇒本作タイトルの一語。
ヴェルディ作曲「椿姫」の原題で、イタリア語で「道を踏み外した女」という意味だそうです(本文より)。



139p:客席から
⇒夢から逃げたのだから、そこに関わるとしたら客席から。
それを達観しているかのように思い描く椿は、控えめに見ても何かから目をそらしているかのようで。



154p:たったひとつ
⇒清河の生き方が眩しいです!
多趣味にもマニアにもなりきれない私からしてみれば。



165p:あー、やっぱり?
⇒100pの黒田の発言からなんとなく察していましたが、この先輩方の反応を見るに間違いなさそうです。
黒田と椿は同じ公演を見て音楽を志し、一度挫折し、そして同じオペラサークルに所属することになったのですね。
もう付き合っちまえよ(ボソッ



171p:卵
⇒僕この表現絶対どこかのタイミングで考えたことあるんですよ!!
卵みたいに色んな要素を全部ひっくるめてまとめてるもの」ってやつ!

……サクッとブログ内検索してみたらヒットしたんですが全然違うニュアンスでした。
「卵焼きは何回もひっくり返すけど、結局卵だよね?」という、表裏と本質の話を『桜色のレプリカ』の感想の中でしていた時に使ってました。
最早卵を比喩に使っていたことしか合っていない……




200p:くるしい
⇒くるしい



216p:歌った!
⇒もうくるしくない!



252p:あー!そこか!そういうことか!
⇒165pで全部分かった風になってドヤってた自分が恥ずかしいんですが、ここでようやく黒田と椿の本当の出会いに気づくことができました……。
見知らぬ少年……





まとめ




『死を見る僕と~』に続いて、またもや翻弄されたのが悔しい……。



夢って本当に理不尽ですよ。
とても輝いて見えるのに、近づけば近づくほどその遠さに打ちひしがれる。
夢がある場所の熱さに、高さに、深さに立ちすくんでしまう。
そしてたどり着いた時に、それまで辿ってきた道が何より美しく、今までの出来事こそが輝く夢だったのだと知ることができる。


まぁ。
私自身は小学4年の段階で、

「サッカー選手?それを夢見る同年代少年の数と一年間に新しくプロになる人数で計算してみなよ。ザックリの計算でも何万分の一でしょ?無理無理、現実的じゃない」

と考えて地元のサッカーチームに入らなかった人なので、語る資格なんかひとつも持ち合わせていませんが。
ある意味最初から挫折しているとも言えるので、人一倍、椿の自分に自信のない態度が響きました。


ひとまず……何をするにしてもまずは椿のように体づくりから始めようかと思います!
(そこに影響を受けるのか僕……)




以上!





どもー。
デスカイザーです。


今年始まって3ヶ月、ようやく読書の波が来てます!
2月3月と豊作なので、波を逃さずどんどん読みたいです!!
少しは更新頻度上がる……かしら?



今日のラノベ!

理想の結婚式は甘くない


理想の結婚式は甘くない

著者:
美月りん

イラスト:
くじょう

レーベル:
メディアワークス文庫


【あらすじ】

結婚式。それは、一生に一度の晴れの舞台。二人がお互いの愛を確かめ、夢のような時間を過ごせるセレモニーだ。といっても、結婚式は多くの人が関わる一大イベント。新郎と新婦の愛情だけで、すんなりと終わるわけがない。そこでは、いろいろなドラマが繰り広げられるもの―。可愛くロマンティックな結婚式場“マリアフォレスト”で働く新人ウェディングプランナー、姫川愛子。プリンセスおたくの彼女のもとには、なぜかワケありな新郎新婦ばかりがやってくる…!





感想:★★★★★




プリンセスおたくの愛子が、「自分がプリンセスになる」のではなく「1日限りのプリンセスをプロデュースする」ウェディングプランナーという仕事で頑張るお話。


・結婚式という非日常の場
・主軸が童話
などなど、ふわふわした雰囲気になりそうなところを愛子の上司「氷の王子さま」こと進藤の超現実的な指摘がビシッッッと締めています。

感情論を全て抜いて利益勘定のみで動くという仮定の上でなら彼の指摘は何も間違ってなくて、でもその感情論こそがウェディングプランナーという仕事において何よりも重要なことというのも一理あり……。
故に愛子と進藤さんの話すシーンを読んでいると「何で分かってくれないの!」「こいつは何を言っているんだ……?」と両者の思惑とも理解できて相反する気持ちを同時に抱えることになります。
その気持ちがいくら考えても自分の中で整理できないので、「……とりあえず読も」と続きを読みたくなるんですよー!


……というか、美月りん先生の作品読む時の恒例となってきましたが、男性にキュンキュンする現象は今回も発生しましたね。
進藤さんのツンドラツンデレと、八王子さんの王子っぷりに。
明日羽ちゃんと一緒に「おうじしゃま……!」ってつぶやいたのは内緒





親子3人の絆を結ぶシンデレラウェディング、記憶という呪いに閉じ込められたラプンツェルを助け出す結婚式、そして王子の心を「射止める」人魚姫。
3つの結婚式はどれも素敵でした!
どのプリンセスも問題を抱えているんですが、それを童話になぞらえながらなんとか解決していく愛子の発想力が凄いですし、それを全力でサポートしてくれる同僚達も素敵。
そして何よりも、悩みに涙しそれでも立ち向かおうとする新婦たちが眩しくて美しかったです!

一番好きなのは人魚姫ウェディングですね!
正反対のように見える二人だけど、やると決めた時のノリの良さが意外にも共通しているのがお似合いでヒューヒューです(笑)



以下、珍しくあまり内容が無い読書メモ!




読書メモ




4p:わかめ
⇒わかめ……わかめ?
わかめかー。わかめ……わかめ?

※注釈
プリンセスに憧れ続けた女の子がなったもの。
それは―海に漂うワカメだったのです。

というプロローグを見てのメモ。
見ての通り、大混乱してます(笑)



33p:進藤……
⇒中止にすると上司に報告した演出を、愛子が再報告することなく行ったことを叱ったのなら分かる。
ただ、お客様の要望を叶えようと動こうとした事は褒めるべきで、愛子の態度からそれが行われていないことは明白で、となると進藤さんにもある程度の非が生まれてしまうわけで。
そこの機微を会得することこそ、進藤さんの最大の課題。
頑張れ進藤さん、そこのプリンセスおたくを見習うのです!


155p:進藤……
⇒現実・利益主義
最低限の労力で最大限の成果をあげることが仕事の全てだというのが、恐らく彼の信条。
それが必ずしも間違いでは無いというのを証明したのがここの「そのぶん売り上げも多くあげろ」の一言なのかなぁ、と。
言った本人に自覚があるかどうか分かりませんが、売り上げをあげるためならどんな手段でも認めるっていうことですからね。今まで散々価値観から否定していた愛子の手段でも。
あとはこれを本人が意識して武器とするか、無意識に振り回されるかでだいぶ変わりますが……
まだまだ武器になるまでは時間がかかりそうです(汗)



196p:わかめー!
⇒プロローグのわかめフラグ回収に全僕が大歓喜!




まとめ




趣味と仕事はなるべく切り離して考えたい、というのが新卒就活時の価値観だった自分にとって、愛子の考え方はとても眩しいものでした。
それをそのまま自分のものにしたいかと言われると、やはりまだ考えたいところは残りますが。
前職の経験上、趣味を仕事にしなくても仕事が趣味になっていくのが分かったので、愛子のような生き方も参考にしつつ今後の人生計画を立てていきたいですね。

春からフリーター説濃厚のdeskyzerがお送りしました。




以上!

どもー。
デスカイザーです。


日曜の朝食は魚にすると決めてから3週間。
今日はぶりの塩焼きが美味しかったです。
普段はギリギリまで寝てるので、パンを焼いてる間にササッとガパオライスの上に乗ってる目玉焼きを作ってオンザトーストするんですが……。
時間があるときくらいまともに栄養を摂ろうという試みです。
健全な精神は健全な肉体に宿る!かもしれない!



今日のラノベ!

死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録

死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録

著者:
古宮九時

イラスト:
浅見なつ

レーベル:
メディアワークス文庫


【あらすじ】

平凡な僕が唯一他の人と違うこと。それは人の死を予告する幻影を見る力があることだ。僕が幻影――【彼ら】について知っていることは3つ。
1、【彼ら】はやがて訪れる自らの死の瞬間を、何度も繰り返し続けている。
2、【彼ら】の姿が濃くなるほど、死の瞬間は近い。
3、【彼ら】は死の運命から絶対に逃れられない。
――これは全てを諦めていた『僕』が、死の未来を背負う『君』と出会い、運命に抗うため奔走する物語だ。




感想:★★★★★


んにゃー!引っかかったっ!!
綿密に推理を重ねて読み進めたうえで綺麗に引っかかったのでとても気分が良い!!



それでは、推理の過程も含んだ読書メモと共に感想をお送りいたします。


~memo~

72p:自分の行動を含む
⇒誰かの死の訪れが分かるのに、そこに介入することすら死の運命に含まれているとはなんと残酷な……。鈴さんは「僕」の言うことを理解してくれるというだけでなく、あの突拍子もない行動原理まで含めて「僕」と出会う最適な人材だったわけですね。


85p:会計金額
⇒「覚えておいてあとで払う」っていうから、終盤で死の運命覆したあたりの会話の伏線にでもなると思ったらならなかったパート1。


※p:最初から泣きそう(酒効果)
⇒覆したいのに覆せないというジレンマ。鈴さんという理解者の登場で1人の命を救えた安堵。過去に理解者だった「彼」がおそらく死んでいる。そして「僕」にとってそれはトラウマで記憶に蓋がされている。
疲れた身体に染み入るお酒の力もあっただろうけど、そんな「僕」の境遇が切なくて、プロローグから泣きそうで、100pにも達してないのについメモしてしまうくらい泣きそうでした。


96p:中央線w
⇒人身といえば中央線。84pで「僕」が駅ビルを見ただけで鈴さんが人身だと察するシーンも含めて、なんかもう本当にさすが中央線。
いや、何も笑い事ではないですねこれ……。失礼致しました。


100p:面白い人、でも……死んじゃうんだよな……
⇒プロローグをとても素直に受け取ったピュアなdeskyzerの姿が観測できます。
鈴さんは「僕」が言うようにできれば離れたところから見ていたいタイプ。でも慣れたら近づいて積極的に巻き込まれていくのも面白そう。


106p:不登校児が来ても多分バレないし気づかれない
⇒私の通っていた大学はクラス別の英語ですら講義にあまり来ない人が来ても何もなかったですし。高校までとは違って仲良しこよしでも無ければ誰が来て誰が来ないかなんて気にしない。さては「僕」は本当にほとんど大学に行ってないな…?


106p:鈴さんは主人公の何を知っているのだろう……
⇒「僕」が大学に行かないことに安堵した鈴さんのリアクションがとても謎でしたね……。何か「僕」が大学に行ったらまずいようなことが起きている?……陰口タイプのいじめって大学でもあるらしいからねぇ…。上で否定したばっかりだけど、皆実は気にしているのかもしれないですね、大学来ない子を。


114p:つまようじコーンの頻度、何かある……?
⇒やけにつまようじコーンが出てくるから、もしかしたらつまようじが終盤で鈴さんの命を救うことになるのかと思ったらならなかったパート2。


125p:僕わかる、おばあさん!
⇒純真かっ!しかも間違えてるし!その隣の中年の女性だよっ!!


148p:待ち合わせ前の徘徊、とても分かる!
⇒鈴さんと意気投合できそうだと初めて感じた瞬間。理由は鈴さんと同じものもあるし、ただ単に電車の遅延で遅刻したくないっていうのもあるし、家の最寄り路線が1時間に1本だというのもある。
でも、こういう徘徊が5年後くらいに役立つ時が来るので案外バカにできなかったりします。


155p:親子丼を知っているのは伏線かどうか
⇒大学のくだりから「僕」と鈴さんが過去に会っている説を有力視していたので、その時に好物を聞いていたとかそういう感じの伏線だと思ったらそんなことはなかったパート3。
むしろその隣の行のネギ丼こそが終盤の伏線だった。


173p:初めて会った気がしない、か。過去に救われた?「彼」と兄妹?
⇒あー、惜しい!実に惜しい!
初めて会った気がしないというセリフのおかげで、過去に会っている説は無くなりました。28pで親子丼説が覆されていますね……。


195p:凡て真なるもの
⇒「僕」が視ているのは未来の死の幻視でありながら、幻ではなく実である。
この物語は仕掛けがあるが、それは夢幻の類ではなく意味のある現実である。
……とか、そんな感じのメッセージなのかなぁ、と。


218p&188p:あー…、ここで連れ去られてるのか?
⇒そういうことっぽいですね、ちょい違いますが。


232p:伏線ばらし、イージーモード?
⇒部屋の様子とか、鈴さんのぬいぐるみとか、ここまででメモってなかった伏線をこの終盤で提示してくれるなんて、このミステリー簡単だなHAHAHA


245p:…………はぁ!?えー……。あー。はぁ!?
⇒何がイージーモードだっっ!!!!


~memo~




はい、ということで245pでバラされるまで全く見抜くことができませんでした!
プロローグで大学出てきたじゃん!って言い訳しようとプロローグ見返したら、5pの後ろから3行目にしっかり答えが書いてあったことに気がついて……。
その後の2行を踏まえて精神的な面での話だと思ったんですよ。
こんなの間違いなく狙って書いてあるじゃないですか…。

「このプロローグがすごい!」とかあったら間違いなく1位ですよ?




完全に想定外だったこともあって、「そういえばあのシーンでは…」という振り返りが脳内でうまく組み上がらないんですよね。
普段ならこういう「2周読みたくなる!」系の本は読後に振り返ることで大体補完できるんですが、この作品は(上の読書中memoの幾つかの項目を除けば)せいぜい1箇所か2箇所くらいしか心当たりが無いので、素直に「もう1回読もう」と思えています。
それこそプロローグの例もそうですが、とても巧妙に隠されているんですよ、きっと。

ということで、ちょっと2周目読んできます!ノシ


~~~~~~~~~


読んできました!
思っていた以上に色々手がかりありましたねー。
張り込みさせないとか、戸籍謄本とか、自然と手を繋いでいるとか。
すべてを羅列するにはあまりにも多かったのでこのくらいに留めますが、1周目でこれだけのヒントを並べられて気がつかないというのは、やはりそれだけ巧みに隠されていた事の証左でしょう。
あるいは読解力不足という可能性。



隠れていた手がかり以上の収穫もありました。

1つは245pで騙されるまでに、2回ほど「僕」が自分の姿を見る機会があったのに、気付かなかったこと。
それだけ深く、強固に記憶に蓋をしているということですよね……。
想像していた以上に「僕」の在り方が危ういものだったんですね……。

もう1つは決定的な認識は245pだけど、その前から兆候があったのではということ。
途中から不登校をやめて「学校」に通うと言っていたり、鈴さんと並んで映るショーウィンドウを見て「ちぐはぐ」と感じたり。11pで窓に映る自分の顔を見たときとは少し違う反応だったかな?と。
後半に行くにつれて手がかりが増えているように感じたのですが、それもまた認識の齟齬の表出なのかなぁ?と思ってみたり。





読んでいる間も、読んだ後も、二度読みしても楽しめました。
実はここまで決定的な「僕」にまつわる秘密の答えを意図的に書かずにいるので、答えが気になる方は是非読んでみてください。
答えを察した明晰な方も、ぜひ隠された手がかりを見つけ出すために読んでいただきたいです。




鈴さんと「僕」のキャンパスライフが、良きものでありますよう。




以上!


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今日のラノベ!


僕らが明日に踏み出す方法

僕らが明日に踏み出す方法

著者:
岬鷺宮

イラスト:
しやまとうや

レーベル:
メディアワークス文庫


【あらすじ】

「納得できるまで、今日をやりなおせたら」―そう思ったことは、ないですか?ピアノコンクールを一週間後に控えた少年・中瀬と、同じく一週間後に告白の返事を待たせている少女・山田。ふたりはある日、同じ一日をループしている自分に気づく。次の日へと進むための条件は「『最善の一日』と思える一日を過ごす」こと。目の前にいるキミの、本当の願いはどこ?わたし達が出逢った理由は―?廻る毎日に二人が見つける「明日に踏み出す方法」は―。




感想:★★★★★

ある理由のためにどうしてもピアノコンクールで一番を取りたい中瀬。
告白の返事を決めあぐねている山田。



二人は同じく「納得できるまで、今日をやりなおせたら」という願いを持ち、それが額面通り満足のいく一日を過ごさないと次の日に進めないという現象を引き起こします。
でも、幾度のループの果てにたどり着いた結末はというと、中瀬はコンクールで一位を取ることができず、山田は忍と交際しない選択をするというもの。



“理想の結末”を完遂するまで繰り返す『リゼロ』みたいなタイプのループものとは違い、繰り返す中で自らの真意に気づいて“理想の結末”が変わるタイプのループものでした。
何度も何度も繰り返す中での精神的な成長が心地よかったです。


で、それだけで終わらなかったのがこの作品のすごく良かったところ!
コンクールの日であり告白の返事をする日だったループの最終日が終わったのに
「あれ…?まだ40p近くある…?」ってなった時のワクワク感!
「まさか…あれがこうなってそういうこと!?」をさらに裏切る、それでいて納得の結末。

これがまぁ堪らないわけですよ!!


最終的に読む前にあらすじから想像していた結末とは何もかもが違うのに、「岬先生…こんにゃろめー♥!」ってついついじゃれつきながら崇め倒したくなるような気持ちのいい敗北感。
これだからラノベ読みはやめられない…!





……っていう感想を1ヶ月前には抱いていたということを最後に。
読み終わってから感想書くまでに間が空いているのでふわっとした感想になってしまったこと、ご容赦ください…。




以上!



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