今日のラノベ!

シンデレラは探さない。




シンデレラは探さない。

著者:
天道源

イラスト:
佐伯ソラ

レーベル:
講談社ラノベ文庫


【あらすじ】

 先月できたばかりの、五十階建てのタワーマンション。高校生の俺こと荒木陣は、買い物帰りに、妹の舞と一緒にそれを見上げる。
 おとぎ話に憧れる舞は、そのマンションを、お城みたいと表現した。お城ならお姫様がいるはず。お姫様に会いたい……そうつぶやく舞。でも俺は知っている。お姫様なんて、俺たちには関係のない存在だ。そう思っていた俺だが、世の中は俺が願うほど、単純ではなかった。お城の住人の一人である真堂礼と、俺はふとしたきっかけで出会う。そして俺は知った。俺の前にいる礼は、お姫様ではなく、学園のアイドルでもなく。ただの、可愛い女の子なんだと――。webで人気の青春ストーリー、書下ろしエピソードも加えて待望の書籍化!



感想:★★★★★





人を想う日常とは、おとぎ話のように不思議で色鮮やかなものである
しかしそれはおとぎ話ではなく、たしかな日常でもある







今考えた名言です。

みなさんこんにちは!

第23回スニーカー大賞特別賞受賞作『顔が可愛ければそれで勝ちっ!!』(受賞時タイトル『ググれんあい。』)の斎藤ニコ先生が新作を出されたということで馳せ参じました、デスカイザーです!





今作『シンデレラは探さない。』は、web名義の天道源というPNでカクヨムにて連載されていた同名作品の書籍化になります。(web版リンクはこちら

例によって例の如くwebで作品はほぼ読まない私なので改稿については分かりませんが、書き下ろし部は多いです!
80p!!
それも後日譚というか、映画で言うとEDテーマが流れながら描かれるその後の日常みたいなパートが80pですよ!

綺麗にまとまった物語でありながら、半永久的な「その後」を想像する余地を貰えたのがとてもうれしかったです!!
家族って……いいね……









逆順で感想書いちゃってごめんなさい。
本編の感想書きます。





主人公・荒木陣くんが、熱で寝込んでる妹・舞ちゃんの看病のために学校を休んでいた時のこと。
学校から至急のプリントが配られ、それを家が近かった“シンデレラ” 礼ちゃんが届けに来たところから物語は動き始めます。


第一印象は無表情で気難しい子

でもその翌日に些細な理由を付けて再び荒木家を訪れたあたりから、要するに割とすぐにその印象は崩れていきます。
あえて「変わっていく」とは言わないです。
「崩れていく」です(笑)



まるで好きな人を前にしたかのような可愛い反応をちょこちょこ見せるレイちゃん。
かわいい。
とてもかわいい……!







でもそんな好きになるようなシーン無かったし、チョロインってわけでも無いだろうし……

いや待てよ、そういえば陣くんはやけに忘れっぽいだとかの描写が多い……

どことなく不穏な空気も漂っているし……





そうか、これは陣くんの記憶が飛んでるパターンなんだな(名推理)








と、無駄に覚悟を決めて読んでいましたが、結論から申し上げれば違ったので恥ずかしい……









そんな勘違いをぶっ放したちょっと前のシーンの感想にはなりますが。
「あ、斎藤ニコ先生の面白さが健在だ!」となったのが、63p。
レイちゃんからの謝罪のお礼をするため、陣くんがレイちゃんに話しかけるシーン。



「皆、ごめんなさい。わたし、陣くんと出かけてくるわ」
『よろこんでー!』
なんだよその掛け声……。
本文63pより




このワードセンス、やっぱりすごくないですか??



まず、パッと読んで面白い!

次にじっくり考えてみると、「いってらっしゃい!」ではない所からレイちゃんが陣くんについていくことをレイちゃん以上に喜んでる状況が見えてきます。

それが野次馬的なものなのか友情的なものなのかは分かりませんが、無表情という印象がまだ残っていたレイちゃんのキャラも、ここで更に緩んできます。
少なくともイジられることを許容できる距離感、もしかしたら恋バナもしているのでは?というところまで考えると最早最初の印象はどこへやら。

また、レイちゃんが舞ちゃんのお見舞いに来るという所から始まり荒木家での今後のシーンを想像していたところに、「学校パートも面白いキャラがいそうだぞ??」というイメージを置いていくというおまけもあります。

そして最後に、ツッコミまで込みでやっぱり端的で面白い!









作者買いして良かった!!!










シンデレラ




タイトルにも入っているこの物語のキーワード。
舞踏会の後、ガラスの靴を頼りに王子様がヒロインを迎えに来るというところから、タイトルの「シンデレラは探さない」という状況も見えてきます。

名前の語感だったりその美貌だったりで、シンデレラと称されるレイちゃんの存在はまさしくキーワードそのままではあるんですが……仕込みはそれだけじゃありませんでした!
これのおかげで面白さが一段階上がってるんじゃないかなぁ、と思うくらいには巧妙。
是非読んで「そういうことね!」と唸ってほしい……!



落とされたガラスの靴とは、王子様とは……そゆことなんですよ~~!
んふふ~~~~









まとめ





「シンデレラ」以外にも、この物語の根幹を形成する仕込みとしてラノベの常道的なことも1つありまして。
しっかり読書メモには残していたんですが、ばっちり天道先生があとがきで解説されていたので私からの説明は自粛いたします(笑)
気になる人は……本編を読んだうえであとがきをチェックだ!!!





ということで『シンデレラは探さない。』の感想でした!



掛け合いでのワードセンス、キーワードの出し方、会話で逸るテンポを地の文で落ち着けるタクト捌き、ストーリーのアップダウン……


どれを取っても好きです!!

そしてレイちゃんの可愛さが上乗せされてさらに好き!!




絶対2巻も読みたいです……!



以上!




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