今日のラノベ!

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天と地と姫と 1

上杉謙信 龍の誕生

織田信奈の野望 全国版

著者:

春日みかげ

イラスト:

深井涼介

レーベル:

富士見ファンタジア文庫


【あらすじ】

 軍神・毘沙門天から力を与えられた子―越後守護代・長尾為景の娘・虎千代はそう評され、生まれてきた。
 姉との離縁、父との死別。過酷な運命に見舞われながら、宇佐美定満・直江大和たち側近に支えられて育った虎千代は、神懸かりな魅力をもち、父が残した「業」を償うため、戦い―そして、出会う。不義を犯し、天下を狙う宿敵・武田晴信に。
 時代は「織田信奈の野望 全国版」より数年前。戦国最強の姫武将、越後の龍・上杉謙信と甲斐の虎・武田信玄の戦いはここから始まった!幼少期の信奈たち織田家を描いた書き下ろし短編「あの頃の信奈」も収録!




感想:★★★★★




(ややネタバレあり)

 


感想がどんどん鬱になっていくので、先に良い話しておこうと思います!

  




深井涼介先生の挿絵がすごく良い!!





虎千代の可愛さ、景虎の勇ましさ・凛々しさはもちろんですが、宇佐美定満の躍動感が素っ晴らしいの何の!!


61p、髭のおっさんの躍動感で感動する日が来るとは思いませんでした!!


131p、綾の決死の表情も臨場感あって最高です……!











……はい、以上ここまで良い話でした。










概要から。



『天と地と姫と』は、『織田信奈の野望』の外伝作品



上杉謙信は毘沙門天の化身として、武田信玄は"人"の国・甲斐国の主君として、本編ではそれぞれ完成された強敵として信奈の前に幾度となく立ちはだかってきました。


そんな戦国時代屈指の強者である2人を主人公に据え、本編に至るまでの彼女たちの足跡を辿る内容となっています。


第1巻である今巻では、後の上杉謙信・長尾虎千代の誕生から、景虎へと名を変え越後守護代へ就任するまでを描いています。






ふぅ…………




『信奈』シリーズは、織田信奈の抱く野望の行く末と同じくらい、母・兄弟など家族との絆や家族同士でのすれ違いも重要なポイントです。



序盤だと土田御前と信奈の確執、義父の道三と義娘の信奈の関係だったり。
全国版になってからだと島津四姉妹、九州相良家との出会いだったり。





色々な話を読んできましたが、








上杉謙信、ぶっちぎりで辛いですね……









本当につっらいの……








「おかちゃ」「おねちゃ」って舌っ足らずな口調で甘えて、母と姉からこれ以上無いくらいの愛情を注いでもらった虎千代がさ……





もう、さ……




1人の人間が背負って良い量の苦難じゃないですよ……



◎新雪よりも白い肌に赤い瞳で生まれた事

◎父・長尾為景から疎まれていた事

◎その父が側近である宇佐美定満、直江大和にしてきた事への罪悪感

◎姉代わりに育ててくれた綾との別れ

◎毘沙門天の化身として生きる選択と、父との死別

◎分家筋・長尾政景からの野望と欲望に満ちた執拗な求婚

◎兄・晴景からの告白

◎男どもから向けられる感情





大きなところだけでもこれだけあって、小さい事まで含めたらもっとたくさん……

アルビノの影響で視覚が弱く、他人の感情の読み取りや第六感が飛び抜けて優れている彼女だから、文章で描かれてないところでもきっと傷ついていたんじゃないかと思ってしまいます。


本編での上杉謙信が、ああまで毘沙門天の化身であろうとしたことに嫌でも納得します……





しかもこれらの悲劇、彼女自身は一切何も悪くないじゃないですか。
生まれつきの容姿で勝手に疎まれ、育ったら育ったで今度は勝手に惚れられて。


景虎が泣くシーン、もらい泣きしそうでしたよ……

耐えて耐えて、自分なりに選択して良い道を掴み取っての兄・晴景からの告白は、年頃の景虎には辛すぎますよ……








宇佐美、直江の件についてもそう。
戦国の定めと言えばそれまでですが、それにしてもどうですか。



外の世界から隔離されて育っている自分に、何故か唯一話しかけて外の世界を教えてくれた「おじさん」、その家族を父が皆殺しにしていたなんて知って、どうして正気でいられましょうか。



自分を唯一無二の主として認めてくれて、望まぬ婚姻を策で切り抜けてくれた者の母を、自分の父が、命を取らないことと引き換えに慰みものにしていたと知って、傷つかないことがあるでしょうか。



繰り返しますが、それらはきっと戦国の世の常。
誇りと命を天秤にかけて選ばれた選択であることではありますが、それにしてもその子孫が巡り巡って景虎の元へと辿り着く運命の皮肉さは如何とも言い難い……







まとめ




龍はここに生まれ、軍神の名のもとに越後がひとつにならんとしています。

そして2巻は対となる虎が甲斐で目覚めるお話。



…………あっちはあっちでつらいんですよ。
だって覚醒=父の追放ですもん。
(史実だからネタバレではない)




なんで、こう、そうなっちゃったかなぁ……って気持ちでいっぱいです……





私、『信奈』シリーズに関しては感受性レベルが振り切れてるので特殊な例になるんですが、寝付きが悪くなるくらい辛くて苦しい読後感でした。


景虎の状態がアレなので「面白かった」というのは少し憚られるんですが、こう、何て言えば良いんでしょうか。

これほど感情に訴えかけてくる作品と出会えている事に、改めて感謝です!

読書体験として最高でした!


……うん、これなら景虎へ配慮できてるはず。



以上!




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