今日のラノベ!

ジェノサイド・オンライン


ジェノサイド・オンライン

著者:
たけのこ

イラスト:
久坂んむり

レーベル:
BKブックス


【あらすじ】

 その可憐な少女“殺人鬼”につき要注意――
 名家に生まれながら、父に疎まれ、子供のころから無自覚に悪意を孕み続けてきた一条玲奈。唯一の防波堤となってくれていた最愛の母の死をきっかけに、やがて自分の異常性が暴れ出すことを予見した彼女は、VRMMOゲームの世界で悪役に徹することで抑えつけていた自身を解放していく。己の意がままに繰り広げる虐殺あそびは、すべて心の安寧のため。無垢な心のジェノサイダー・レーナが、仮想の楽園に恐慌をもたらし、地獄絵図へと塗り変える!




感想:★★★★★







                          
私たち読者が意識しなければいけないことはただひとつ 
                          
                          
                          
それは「玲奈自身を見てあげること」         
                          










(読書途中ツイート)







ついに現れてしまいました。
私の求めていたレベルで一切容赦の無い殺戮VRMMOものが……!!








開幕14pでチュートリアルNPCの首を刎ねるという展開の速さ……!







プレイヤースキルの差でもって周囲の誰も彼もを置き去りにし、始まりの街の広場を血の海にする行動力!







NPCの子供を盾にし、目くらましに投げ、思わず抱きとめたところを子供ごと刺し貫く容赦の無さ









終始こんな感じなので受け付けない人には絶対受け付けられないと思うんですが、現実と虚構の区別が付いていて(ここ重要)上述の展開に少しでもビビッと来る何かを感じ取ったのなら絶対ハマります。
間違いないです。


私はハマった。







「ちぎっては投げ」をここまでキレイに実行されると、もう爽快感しか無いですよね!!
無双シリーズをプレイしている時の無双感が近いかもしれません。
あちらと違うのは……近接戦では局地的に見ればしっかり 1 VS 1 しているところとかですかね……
ひと振りで5人バッサリとかはまだやってないので(まだって何だ)。
死体に爆弾詰め込んで投擲とかはやってますけど。



大量虐殺はしているけれど(※している)、こう……無駄な殺しはしていないような(無駄な #とは)印象もあります。
殺す、バラすことが目的であるからこそ一応どういう手順でどんな死に方をしたのかはある程度見届けているような。
自己満足が第一であるという点にレーナ=玲奈自身の人格の異常性を感じて薄ら寒さも感じますが、ほら、ゲームの中ですからね。まだ大丈夫。



やられている側もタダでやられているワケではなく、捨て台詞のひとつを残してみたりだとか、スレで実況してみたりだとか。
レーナの殺戮劇を非公式イベント的な位置づけでゲームとして楽しんでいるのがよくわかります。
(某攻略組の方々には心からの哀悼の意を示します……笑)


レーナも他のプレイヤーも、レベルを上げてスキルを取得して……と言ったゲームものではお約束の育成もしっかりやっていますし。
いやまぁ……レーナの場合は大量虐殺⇒大量経験値⇒大幅強化の流れが強すぎるんですけども。
50ページくらいの気楽な「さてステータス確認してみましょう」からのステータス2ページ半は笑いましたw
そりゃ強いわけだw






さて。


レーナの存在・所業の数々はゲームの中だから――「カルマ・ストーリー・オンライン」の中だからギリギリ成り立っているわけです。
要人の殺害によって企画イベントが潰されている運営さんがブチギレない限りは成り立ち続けるわけです。




故にこそ、時折挿入される幕間=玲奈が過去にやってしまった事が映えていてとても好きです……

“他人に対して”やって良いこと悪いことの区別があまりにも付かなすぎる玲奈が、アリの巣穴に水を入れてその反応を楽しむ子供故の酷な遊びと出会ったら……

あのエピソード読んでから純真無垢に殺戮劇を楽しむことができなくなりましたが、この作品はそれで良いのだと思います。


人にあるまじき所業を繰り返し、人に近づく令嬢の物語だとするならば。
あるいはただの人にはなれない天使の物語ならば。












ただ、しっかり考えてみると玲奈に欠けているリミッター的な何かを明確に言語化するのって難しいような気もします。


「他人にやってはいけないと考える能力」であるならばいじめ問題との区別が付かなくなります。
いじめる人たちが誰も彼もレーナのような思考をしているわけではなく、レーナもいじめているわけではないので。

「自分がやられて嫌なこと」は理解しているようです。

なので「自分がやられて嫌なことを他人にしない」の前後を繋げて考えることが出来ていないようなんですが、それはつまり……?となると難しいんです。





今作では玲奈=何かがおかしい(もっと端的に言えば異常な)存在として描かれていますが、そう判断し私たちが当たり前のようにそう感じていることなんて、意外と脆い牙城の上なのかなぁとしみじみ思いました。
現実では許されなくてもゲームでは許されてしまうように。
「なんで?」を突き詰めると命の価値ですら呆気なく引っ繰り返り得るのだなぁと。
そう思うところであります。


(そう思っちゃったかー)










は~~~~……
好きです!







好きだけど、良い子は(良い子じゃなくても)真似しちゃいけません。
そこは大事。


続刊希望!






以上!



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