今日のラノベ!

異世界再建計画


異世界再建計画 1
転生勇者の後始末

著者:
南野雪花

イラスト:
Kotakan

レーベル:
レジェンドノベルス


【あらすじ】

 ごくありふれた人生をおくってきたエイジ。公務員として役所に勤務する日々を送り、30歳を迎えて結婚を控えたある日突然、異世界へ転移する。その世界は転生してきた勇者によって平和を取り戻していた後だった。ところが、勇者が転生してきたことによって、世界は別の形で新たな脅威にさらされつつあった。平凡な公務員だった男に与えられた新たな「仕事」。それは、勇者によって崩壊しつつある異世界の「再建」だった。




感想:★★★★★








これまた素晴らしい作品がレジェンドノベルスから出てまいりました……

私だってそろそろ「レーベル褒めちぎりすぎかな?」って思わなくはないんですし、今作途中まではそこまで褒めちぎるつもりは無かったんですけど(その辺りは後ほど)、読了してみると「これは傑作!」って躊躇いなく判を押せてしまうんですよ。
もう信頼しかない!







何はともあれまず装丁の美しさ!!



書き込みが本当に細かいので、5分10分普通に眺めていられます……
エイジとティアの相棒っぽい距離感、遠くに見える街と天使の梯子……
でっかいポスターとかあったら映えそうですよね……
これは絵画ですよ絵画……!
美術館とかに飾ってあるレベルの!
しかもそれがメインではなく小説がメインで1200円なんぼとか安すぎます……









ここから本編の話。



この1冊を端的に纏めるなら、





ラストで何かが待っている!
脚気に立ち向かう“転移”公務員!











……といったところでしょうか。


転生し異世界を救った勇者様とは異なり、主人公のエイジが直面するのは女神的高次存在からの依頼による転移。
しかも異世界で命を落とせば転移する前の時間に戻る、という条件付き。

つまりはエイジにとってはほぼノーリスク。
平凡に幸せな人生の軌道からちょっと外れ、人生の有給休暇を貰うような好条件。
(死んで転生、あるいは転生する為に死ねと言われるよりは……)



なので、なりふり構わず真剣に異世界での暮らしをしているわけではなく、いわゆる「異世界転生/転移のお約束」を批評するくらいにはゆとりある視点で異世界を満喫する様子が伺えます。
相棒たるティアマト=ティアとのウィットに富んだ会話も相まって、作品全体がリラックスしているようなイメージです。



ただ一方で、異世界が直面している問題自体は「白米文化の異常発展と主菜副菜の不足による栄養の偏りが引き起こす国民生活病としての脚気」という、極めて深刻なものなので文章の柔らかさとうまくバランスは取れていたと思います。

緩みすぎず、引き締まりすぎず
いや、だって現代史の授業で脚気についてまともにやり出したら……興味ない人は寝るでしょう?
少なくともこの1冊を読めば、江戸患いと呼ばれた頃から明治大正にピークを迎えるまでに何が起き、どう改善されたのかがよく分かるようになっています。
「読まされる」感覚とはまた違い……「気がついたら読んでいた」くらい自然に小難しい話を理解できていたので、その点がすごく良かったと思います!
やはりティアにインストールされた雑談に有用な無駄知識は、我々の読書埋没度を高めるためには必須だった……!!





ただ、ですよ。


それがレジェンドらしい傑作感を呼んでいるとまで言えるかというと、まだ物足りなさを感じてはいました。
オーケイ、確かに素晴らしい。
でもまだやれるだろう?
という「あと一歩」への期待。

読んでいる間は脚気以外の問題にも着手し、知識的な厚みを持たせることでその一歩を埋めてくるのかなぁ、と予想していました。
勇者様の持ち込んでしまった問題は脚気だけには留まらない(ex.森林破壊)というのは本文中でも幾度も触れられていたので。







違いましたねー!!




いや、多分今後その辺りも触れていくことにはなるんでしょうが、

この巻の「あと一歩」はそれどころじゃありませんでしたねー!!



ラストに明かされる仕掛けが……もう……っ!!





実際、踏み出されたのは欲しかった「あと一歩」なんですけど、その一歩で全てが変わりました。
何が変わったかは…………続きのネタバレパートで語ります!


未読の方は書店へGO!
あるいは下のリンクからポチってくれても構わないぞ!
Kindle版も配信中!
家から出たくない、でもすぐに読みたいという貴方はスマホひとつではい異世界!!


学習にもなって、面白い!

なので……よろしくお願いします!!!
ファンとして、切実に読んで欲しい。






以上!




















~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ここからネタバレ全開



読了者、及び自己責任で覗きたい方のみスクロールしてください







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良いですね?













これラブコメだ!!







あっさり毒殺されたエイジが、死んでから気付いた真実……



相棒として共に異世界を歩いていたティアこそが、最愛の恋人・アヤノであるということ。
あの世界を救った勇者は6年前に死んでいるアヤノの弟であり、真の修理人はアヤノであり、エイジはサポート役に過ぎないということ。


たったそれだけの情報開示なのに、全部!! 今まで読んできた景色全部が変わるんですよ!!!

泣くぞコラ!!!




いやだって、ティアにアヤノとしての記憶がどこまであるのか分からないですけど、少なくとも自分から言い出さなかったということは何かしら制限がかかっていたか、あるいは言い出せない状態にあったわけじゃないですか。






でも共に居た!







寝食を共にして、お風呂にも一緒に入って、きっとこれまで当たり前のように繰り返してきたであろうウィットに富んだ会話をして、愛する恋人の仕事を間近で支えて。


優しい弟が異世界にもたらした幸せを守るべく、奮闘する姉夫婦(予定)!


熱いやら、感動やら、切なさやらで感情と表情筋がオーバーヒートしての読了後ノンストップニヤニヤ……





で、それを踏まえて見ると表紙ですら見方が変わってきます……
「相棒として」の距離感に見えた2人が……あいや確かに恋人の距離感に見えてくる……
得意げに話すエイジと楽しげに聞くアヤノ……


あぁ……




「もう一周読みたい」とはまた少し違う、「読んだ感想が全て塗り替えられていく」とでも言いましょうか。
カチッて切り替わる感覚。
これがとても良かったです!!




そして次の巻への期待もまた膨れます!
ただ脚気から人々を救うだけでない物語になるわけです。
義弟の子孫たる現王族の保身があり、「一度便利な生活を知ってしまえば不便な頃には戻れない」という傲慢で当たり前な民衆の感情もあり、二度とタダで死ぬわけにはいかないという愛と矜恃があり。




ふぅ……

独りで語れる範囲では語り尽くしましたが、まだまだ感情の奔流は収まらないです。
このお話、本当に好き……





以上!

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