今日のラノベ!


Unnamed Memory Ⅰ


Unnamed Memory Ⅰ
青き月の魔女と呪われし王

著者:
古宮九時

イラスト:
chibi

レーベル:
電撃の新文芸


【あらすじ】

「俺の望みはお前を妻にして、子を産んでもらうことだ」
「受け付けられません!」
 永い時を生き、絶大な力で災厄を呼ぶ異端――魔女。強国ファルサスの王太子・オスカーは、幼い頃に受けた『子孫を残せない呪い』を解呪するため、世界最強と名高い魔女・ティナーシャのもとを訪れる。“魔女の塔”の試練を乗り越えて契約者となったオスカーだが、彼が望んだのはティナーシャを妻として迎えることで……。




感想:★★★★★










ちょっと国の未来がかかっちゃってるラブコメ








幼い頃、父王共々《沈黙の魔女》に子孫を残せない呪いをかけられてしまったオスカー。
親類縁者の失踪などもあり、残された若人はオスカーのみ。
そんな彼が王家を存続させる、即ち子孫を残すために取り得る選択肢は3つ。




① 《青き月の魔女》ティナーシャに呪いを解いてもらう
② 《沈黙の魔女》の魔力への耐性を持つ人間を見つけ娶る
③    ティナーシャを妻に迎え入れる



ティナーシャ的には①か②を。
オスカー的には圧倒的に③を。

それぞれのアプローチで呪いへの対抗策を練っていく一方、70年ぶりにファルサス王城へとやってきたティナーシャを歓迎するかのように厄介事は次々とやってくる。







70年前に一体何が起こったのか?
それを知る彼らは何者で、何を企みティナーシャへ近づくのか?



そして、オスカーはティナーシャを妻にすることができるのか?!













???「ならないよ!」









そんな感じのお話。











オスカーに抱えられるティナーシャ嬢とか、撫でられて猫のように目を細めるティナーシャ嬢とか、子供の抱っこのように脇を抱えられるティナーシャ嬢とか、



あの、ちょっと世界観に対して出力間違えてませんか?



って感じのバグった可愛さが魅力的でした。
そのくせ時折、ちゃんと魔女してる笑みも浮かべちゃうんだから有能万能全知全能。



同時に、対になるオスカーもまた強い。

血筋、武力、頭のキレを全て兼ね備えたうえに、隙さえあらば城を抜け出す少年の好奇心も無くすことなく持ち続け、好きな女性へのアプローチがダイレクト。
ティナーシャに対してさえ、いつの間にか当たり前のようにボディタッチを増やしていくその手管と純真さにキュンとします……








メインストーリーは王家存続をかけて解呪と、70年前に端を発すであろうティナーシャを狙う魔法士の動きです。

でも、それら全部ひっくるめて壮大なラブコメの極上のスパイスになっているとも言えるでしょう。
というか、私はそう読みました。



「電撃の新文芸」創刊ラインナップの中でも重そうに見える厚みと装丁になっていますが、読んでみると意外とスルッと読めるんじゃないかと思います。
全体的にティナーシャの発する古宮節が(「帰れよ!」とか「意外と勤勉だ!」みたいな勢いあるツッコミ)マイルドにしているのもありますし、オスカーとティナーシャが居れば大抵の状況をどうにかできるという安心感も理由だと思います。





ひとまずネタバレ無しはここまで。





















ここからネタバレがあるかもしれません







読み始めた時には全く綺麗さっぱり忘れていたんですが、「王剣アカーシア」「強国ファルサス」などの単語のあまりの既視感で思い出しました。

この『Unnamed Memory』は、電撃文庫から2巻まで刊行されている『Babel』と世界観を同じくする物語です。



(古宮先生のツイートをお借りいたします)





こういう時に都合が良いのか悪いのか、「彼らについての歴史の記述」があったような記憶はあってもその内容を覚えていないんですよね……

ぐぬぬ……

読み返して世界観補強したい気持ちと、『Unnamed Memory』がバカ売れして『Babel』3巻が奇跡の復活刊行を遂げた時に読み直したい気持ちとが入り混じります……

(なぜWEBで読まないのかは自分でもよく分からない)






そういう訳なので、私の今回の「面白い」には「懐かしい」とか「ウレロ」とかそういう純粋な作品の評価以外のものが多分に含まれています。

が、それを抜きに考えたとしても、やっぱりティナーシャの可愛さは確たるものだと思います!!(結局この話を延々としたいだけ)



魔女っぽい服装で、たおやかに艶やかに魅せながらもオスカーの押しの強さに素でツッこむことになるギャップもやばいですし。

訓練着で剣を振る姿は普段とは一転して溌剌としていて、武官と対等以上にやり合えてしまうだけの実力があるのも合わせて、どこかオスカーに似た天真爛漫さが見え隠れします。すごい。

本気で戦っている時の、普段の態度からするとちょっと意外なくらい苦戦しがちなところもやばいですし(敵さんの強さとかもやばい)、そういう戦闘の後のオスカーとのやり取りがとにかく尊い。


語彙が結界に弾かれるレベル。











さて、まぁラブコメなわけですが、果たして本当に二人がくっつくのかと言えばそうでもなさそうなのが1巻が終わったところでの現状。


既に殺されちゃってますが、121pでヴァルトが呟いた「魔女と正面から対峙して殺せるのは、アカーシアの剣士くらいだよ」って言葉とか、《閉ざされた森の魔女》ルクレツィアがオスカーを警戒しオスカーを育成していたティナーシャに警告していることとか。



どうにもやはり、アカーシアの剣士と魔女は戦う運命にありそうなんですよねぇ……



『Babel』では王剣アカーシア以外にもう1振り同じレベルの剣があったような気がしますし、それがこっちの物語と繋がっているのだとすれば……?
水晶球を割って詠唱を省略するように、アカーシアに折られることを前提に作られた剣とか、あったら面白そうです。



戦闘シーンも想像しやすくて楽しいんですよね……!
うん。







ダラダラ書きつづけるのもアレなので、このくらいにしておきましょう。



今回は最後まで読めると信じて。
(創刊ラインナップだもんよ)






以上!!


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