今日は……簡潔にまとめます。
著者: 酒呑童子徒然 | イラスト: かいす | レーベル: オルギスノベル |
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【あらすじ】 祖父からちょっと訳ありな特殊浴場「かすぱぁらんど」を相続した広野健太。表向きの特殊浴場は赤字だったが、おばあちゃんが仕切っていた裏の営業はまずまずだったので、細々とでも食えるのならと引き継いだが、営業所日の落雷で「かすぱぁらんど」ごと異世界に飛ばされてしまう。そこで偶然、店の前で狼に襲われていた女の子を助けるのだが、その子はなんと女勇者に追われている訳あり魔族だった。メルビィと名乗るその貴族は、今はこの森の奥に潜伏していて落ち着く場所を探している、かつての部下と一緒にここで雇ってくれないかと提案するのだが…… |
感想:★★☆☆☆
面白かったところ!
◎健太の持ち込んだ異世界の空気・常識の元で共に過ごすなかで、魔族側も勇者側も徐々に考えが変わっていく(変わっていこうとする)というのが大きな軸。
それを感じられるポイントが要所要所に散りばめられているのが良かったです。
ハッキリ示されたこと以外にもちょっとしたサンドイッチラリアットからも汲み取れたりして、そいでそういうところってキャラがとても生き生きしているシーンなので胸にジ-ンときます。
◎キャラの造形はややピーキーで慣れるのに時間が必要だったものの、慣れてからはその味に魅せられました。
モンスター文庫の『物理さん〜』や、講談社ラノベ文庫の『がをられ』など、語尾に特徴のある作品は多々ありますが、それらよりもクセが強いです。ノブもびっくり。
◎イラストは表紙をご覧の通りのハイクオリティ!
私自身、エッチなラノベコーナーに平積みされたこの表紙を見て「これだっ!!」って手に取ったクチなのです。
(表紙買いもあらすじがダメなら買わないので、内容を予想せずに買ったわけではないという注釈を念の為)
特に49pのうつぶせ女勇者が好きですね……!
◎味の染みてる文章がいくつかありましたね。
メモってあるところだと188pの最終行
ホントに、美味しいんです、ガルパスの作った朝ご飯。
とか。
サッと読むにはこの一文は流れを止めるような、唐突な一文なんです。
が、深ーいところで直前の話と繋がっていると理解が出来た瞬間に旨みが広がるようになっています。
説明不足と紙一重ですが、ココは本当に上手いなって思いました。
良かったところはこんな感じです。
気になったところは「続き」で。
気になったところ
◎繰り返しすぎ問題
これが何よりもつらい。
健太と魔族たち、まぁ相当な頻度で事に及んでいます。
シーンの切れ目の半分以上が情事だったといっても過言では無いでしょう。
当然そんな頻度ですから1シーンあたりの描写は限られてきますし、「即ハメAVかな?」ってくらいのスピード感です。
そしてどのシーンでも、「(キス)→舐める→挿れる」が徹底されています。
そんな感じのシーンが30回くらい出てきたら、どんなに魅力的なヒロインだとしてもさすがに、さすがに飽きます。
最大の見せ
場であるハーレムシーンも大体同じ構図でしたし、こう、もう少し変化が欲しかったです……
シーンの流れだけだったら、まだ語彙や表現がが違えばどうにかなったかもしれませんが、それも同じと来ます。
絶望したのが240p。
「僕の(は)アレ」って言葉が5行で6回出てくるところ。
空笑いしか出てこなかったです……
あと「カリ首」って単語の登場回数もですね。
フララの口の大きさが丁度いいって話も3回くらいしてますし、その、あれだ、連続して読むことを想定していない文章構成だと思えばすんなり腑に落ちるかもしれません。
◎実用性が……無いとは言いませんが、かなり想像力が試されるのではないかと。
というのも前述の通り1シーンあたりがとても短く、全体的に同じ流れを同じ語彙で書かれているので、必然的にそれぞれのヒロインの最初のワンシーンくらいしか目新しさが無いです。
エッチなシーンに必要な事って、私は「ねちっこさ」と「意外性」だと思っています。
もちろんそれが完全な結論ではありませんが。
それが両方とも欠けていること、私にとっては致命的でした。
◎誤植に関してはメモってある限り2箇所だけですし……まぁしょうがない……のかなぁ……
・ガルパスは「狼人族」なのか「狼女族」なのか(53p、62p、132p)
⇒恐らく魔族が狼人族、亜人が狼女族……?
・63p、64p。数行分重複。
◎あと最後の最後で許せなかったのが、購入特典のリーフレット。
本編で「仕事するからには〜」とか、「温泉に肩書き持ち込むのは〜」とか、結構踏み込んで真面目なことを語っていた健太にとても好感だったのに。
リーフレットで、ヒロイン達と朝からヤりすぎて開店時間が遅れたというではないですか。
「は?」
としか。
一気に本編の良いシーンが胡散臭く見えてきて呆れたというか何というか……
そこのメリハリだけは忘れちゃいけなかったのに。
まとめ
キャラ付けもストーリーも個性的で光っていたと思います。
その魅力を出し切れていたかというと、まだまだと言わざるを得ないかもしれません。
でも、やっぱりですよ。
異世界に突然放り出された人族と、
身寄りなく勇者に追われる身だった魔族。
両者が出会い、共に手を取り合い現地民に受け入れられ喜ばれるという展開は胸が熱くなるものがありました。
その魅力は間違いありません。
酒呑童子徒然先生が進化したら…………楽しみでなりません!
以上!
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