今日のラノベ!




_SX336_BO1,204,203,200_



コボルドキング 1

騎士団長、辺境で妖精犬の王になる

著者:

syousa.

イラスト:

sime

レーベル:

レジェンドノベルス


【あらすじ】

 数々の武功で敵からも味方からも一目置かれていた騎士団長・ガイウス。戦場では勇名を馳せた彼だが政が苦手で、母の弔いをきっかけに爵位を返上し帰郷する。事実上のリタイヤである。故郷は森に侵食されていたが、ガイウスはそこで犬のような容貌の「コボルド」と出会う。彼らは森の眷属であり森中にコロニーを形成していた。初めこそガイウスをよそ者扱いしていたコボルドたちだが、彼の勇猛果敢さに触れ徐々に信頼をよせていく。 




感想:★★★★★




文字が…………滲む……









巌のような痩躯に凶暴な顔付き、左頬に走る刺青のような魔術痕という100人中100人に怖がられる風貌ながらも、実は少年達の憧れである「弱気を助け強気を挫く」を体現した性格の、可愛いものを愛でるのも好きな優しい男。

それが主人公、元騎士団長のガイウス。




そんな彼がコボルドと出会い絆を深めていく…………だけの話ではありませんでした。








人間がどんな醜い生き物なのか



ガイウスほどの武功と人徳を持つ者が爵位を返上するまでに至ったことを踏まえれば想像に難くないでしょうが、それでも尚、震えるほどの怒りと情けなさを感じずにはいられません。

コボルドの側から、人間という垣根を超えたところから見たこの物語の経緯は、あまりにも身勝手で理不尽で苦しいです。
なまじ意思が働いている分、天変地異よりタチが悪い。
嫉妬の果ての憎悪、欲に任せた暴虐。
何様なのか。









その一方、個々の輝きの尊さに打ちひしがれます




ガイウスがあんなにも他人の為に喜び、怒り、力を振るうことができること。

コボルド最強の女戦士でガイウスと最も仲良くなるフォグが、種族の為、子の為に命懸けで人間に挑む姿。

ガイウスのかつての部下が彼の人柄に惹かれ、ガイウスと同様に地位も仕事も捨てて辺境に来るという事実の文面以上の重さ。




「誰かの為に」という行動原理

それは上に立つ者、誰かを導く者が最低限持つべきものでしょう。

ガイウスの周りにはそれを当たり前のように、そして身を擲ってでもそれを成し遂げられてしまう者達が自然と集うんです。
これこそまさに「コボルドキング」として、王としてこれから難局に立ち向かうことになるであろうガイウスの、何よりの戦力であり、励みであり……。


   






完全に不意打ちを喰らいました





「もふもふコボルドと、強面おっさんのギャップ萌え辺境スローライフ」




まさか。

とんでもない。




じゃあどうなのかって……?



全部読み切る頃には、視界が滲んでるか、胸を掻きむしってるか、うずくまってるか



そんな物語です。





「面白い」とか「楽しい」ではなく、

「絶巧」「秀逸」「壮麗」とかで表現されるべき作品。







取り急ぎ。



以上!



スポンサードリンク