今日のラノベ!


ゲーム実況による攻略と逆襲の<ruby>異世界神戦記<rt>アウタラグナ</rt></ruby>


ゲーム実況による
攻略と逆襲の異世界神戦記

著者:
かすがまる

装画:
海鼠

レーベル:
レジェンドノベルス


【あらすじ】

 ハイテンションかつ軽妙な語り口で人気を集めるゲーム実況者「いもでんぷん」は、圧倒的な難易度と理不尽極まりないシステムで「マゾゲー」としてマニアに愛されるゲーム『ドラゴンデーモンRPG・DX』の実況を始める。プレーヤーキャラの少女クロイに乗り移ったかのごとくゲームは進んでいくが、それが異世界における、熾烈な最終戦争への入り口であることにまだ誰も気が付いていなかった!



感想:★★★★★




魔法を扱える3つの種族。
すなわち、エルフ、ヴァンパイア、ヒト。
しかしヒトは比べるべくもなく他の2種族に劣り、ヴァンパイアとエルフの対立の余波で村が丸々消し飛ぶような力関係。



そんな「ヒトが何でもないように扱われる世界」に絶望し、変えるためなら全てを差し出すと願った少女・クロイが主人公……のあやつるメインキャラクター。

社畜にしてゲーム実況者である主人公・いもでんぷんの操るマゾゲーのメインキャラ。


いもでんぷんは『ドラデモ』のセオリー通りにクロイを育て、クロイは「神の声」に耳を傾け身体を預けて行動し、「ヒトは弱者である」という世界の常識を打ち破る!


クロイが、人類があげるのは「自分たちはここにいる!」という存在証明の鬨の声ッ!!!




というようなお話。







めっちゃ面白かったです!!!!









異世界に行くでも転生するでもなく、異世界のキャラをゲーム感覚で操作しながら人類を救済していくという、まさに神視点での異世界救世譚としても。






神に授かった使徒の力を用いて、刻まれた絶望への反抗を誓いに圧倒的な異種族に対して怯むことなくぶつかっていく戦記ものとしても。






クロイという神々しくも儚い少女を支えにしながら、確かな熱を持って叛旗を翻す人たちを描く群像劇としても。












視点がどんどん変わっていくので、読み始めは「これ誰だっけ……」ってパラパラと見返すことが多かったのは事実。
でもその見返す行為が不思議と苦痛ではなかったんですよね。
理由はよく考えてみても「面白そうな予感がしていた」くらいにしか分からないんですけども。



それぞれの文章がしっかりしていた、というのは1つ理由なのかもしれません。
遵法精神をどこかに置き忘れた偉大な魔法使いや、喋っていないとと死んでしまいそうなくらいよく舌の回る聖職者、とんでもない家柄の騎士などなど。
個性豊かなキャラが続々と登場してそのそれぞれの視点からクロイという存在、辺境の不安定さなどが綴られていくんですが、どの視点の文章もブレないんですよ。

別の人が書いたんじゃないかってくらい使い分けられていて、そのどれもが美しい。
普段読まないような堅い言い回しが出てきても読み解けて、日常会話かってくらい砕けた文章でもキチンと文字が声として再生できる。


物語に惚れ込んでいるのはもちろんなんですが、それと同じくらい文章の質に魅入られました。








この物語の1つのキーとなるのは、怒りの感情だったのかなと。

クロイが世界に対して抱いたソレから物語が動き出し、終盤でいもでんぷんが抱く怒りが最後の状況を打破する撃鉄となる。
痺れました……

神と使徒の感情の同調とか痺れすぎます……!












読書メモ




64p:シラの語り
⇒上で触れた文章の使い分けの部分ですね。
シラの幼女語りを見て、「あっ、今までもこれだけ違ったのか」みたいに気づかされたところがあります。



91p:DX
⇒現実世界でいもでんぷんの身に起こる不可解な出来事、ひいては何故クロイを操ることができているのかにも繋がる“真相”やいかに……



150p:ひとのかみ
⇒ネーミングセンス神がかってる……



151p:無期限の有給休暇
⇒ぼくもほしい



209:第26幕
⇒ここのやり取り、キャラ造形のうまさとか文章の精密さとか、割とこの作品を象徴しているようで好き……!



215p:ヤシャンソンパイン
⇒すごい名前だな



250p:パイイイイィィィィィン!!!!!







まとめ





ふと音楽聴いてて思ったんですが、読了した時の感覚が『GATE』と近かったんですよね。
ストーリー的には全く似ても似つかないですが。
うーん……


「主人公」とか「ヒロイン」とかそういう括りが存在しないところ


どのキャラも生きていて、その誰もが何かを考えていて、それぞれが思わぬところで交錯して。
人生としては当たり前だけど物語としては当たり前でないこと、それを物語にできてしまっている



このあたりが『GATE』と今作の共通点なのかもしれません。







すっばらしい1冊でした!!!!


まだまだこの物語の良さを語ることはできるはずですが、残念なことにそれを可能にするだけの語彙が私には足りない!悔しい!!


軽快で重厚で、淡白で濃密で。
幾つもの表情を見せてくれる『アウタラグナ』、是非ともこのニンゲンたちの生き様を最後まで見届けたいです!!!





以上!





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