今日のラノベ!

三角の距離は限りないゼロ 2


三角の距離は限りないゼロ 2

著者:
岬鷺宮

イラスト:
Hiten

レーベル:
電撃文庫


【あらすじ】

 一人の中にいる二人の少女「秋玻」と「春珂」。二重人格の彼女たちと触れ合ううち、僕は秋玻と恋人に、春珂と親友になった。
 そんな幸福にどこか浮かれていたある日、僕らは友人の須藤伊津佳から相談を受ける。告白をされたという相談――その相手は、同じく友人の広尾修司。それを知った僕らは、二人の仲を取り持つために奔走し始め……けれど、そのとき僕は、まだ気づいていなかった。その出来事が僕らの不確かな関係を、秋玻と春珂を大きく、変えることに。
 ――僕と彼女と彼女が紡ぐ、不思議な三角関係恋物語。
 




感想:★★★★★





私には、好きだと叫ぶことしかできない…………ので叫びますけど、






好き!!!!!!!






この作品が!!!

岬鷺宮先生が!!!






好き!!!!!!!








……というところからお送りいたしますは、『三角の距離は限りないゼロ』という名の聖書の第2巻の感想でござい。





今回も岬鷺宮先生の過去作とのリンクが幾つもありました。
そこを拾う感想を書き残したいのでネタバレ注意報を発令させていただきます。



ご注意の程、お願いいたします。












1巻で保留になっていた矢野くんの秋玻への告白、その返事をするところから始まり。
初々しい「恋人」としての関係を楽しむのも束の間、『読者と主人公と二人のこれから』から登場していた須藤と修司の関係がついに進展……するのか?というところが今巻の大きな流れ。



秋玻と矢野が付き合い始めたことに触発されたのも間違いなくあるでしょうけど、修司の須藤を想う気持ちが(高校生にして)熟成されたものであることは当然皆承知。
そのうえで、「恋愛って、恋って感情って何なんだろう」「好きになるって、付き合うって何だろう」っていうことを若者らしく迷い、戸惑いながら考えて、自分なりの答えを出していくんです。

岬鷺宮作品群の原点というか、こと現代・青春系に限るならこの試行錯誤は先生の全ての作品に当てはまると思うんですが、それでも何度読んでも廃れない良さがあります。
納得はしても締め付けられるような苦しさがあって、読者的な最善でなくても、彼ら彼女らにとっての最善はここだったんだなっていう安心もあって。




で、今作の最大の原点回帰は、主人公がその葛藤を見守りサポートする立場にあること。
リターン・オブ・ザ・『失恋探偵ももせ』なんですよ!

過程における立場の差こそあれ、他人の恋を間近に見ながら自分の恋路を見つめていくこの感じ。
あぁ懐かしい……
そして苦しい……



そう。

なので210pで百瀬先生が出てきた時、なんか妙に納得したんですよね。
間違いなくこの本は『三角の距離は限りないゼロ』の2巻であって、須藤と修司を傍で支えていた矢野と秋玻/春珂との関係に決定的な変化を生むお話です。
ですが、それと同時に『失恋探偵ももせ』の4巻として受け取ることもできるのかなって。

「好きな人」に好きになってもらえる幸せ、「好きな人を好きな人」を好きになってしまった葛藤・そこからの踏み出し方、「好きだけど“好き”ではない人」に好きだと言ってもらえた時の葛藤。


登場人物や世界観よりも核心の部分で『ももせ』で、その象徴としての「ももせ」だった。
私はそう捉えようかな、と思います。







そうだ。

今巻もイラストを使った仕掛けが素晴らしかったです!!
特に扉絵と挿絵を使った春珂の「ひと言」がですね……本当にもう……憎いまでに好き……
扉絵の反対側では決定的なワードを「言って」て、片側では「言って」ないとかもう……なんなの……





Hiten先生も大好き……!






そういえば表紙の子って「どっち」なんでしょう。

1巻ではスマホが付いてて(音楽を聴ける状態で)近くにレコードもあったので秋玻、2巻ではスマホが付いてなくて地球儀がある(周りの世界への憧れがある)から春珂、だと予想していますが……


ん?
3巻の表紙はどうなるんでしょう……?










えー、手元に本があると楽しめるであろう読書メモのコーナーです。
珍しく後半にいけばいくほどメモの密度があがります。





読書メモ




10p:10日待って
⇒ついに『僕らが明日に踏み出す方法』とのリンク来ましたね!!!
ずっと変わらず友達で居続けるものだと思っていた男子に告白された女子の図、そして返事まで「10日待ってほしい」という図(見返してみると『ぼくあす』256pにしか書いてないみたい?プロローグでは「あと六日」というだけなので)。

『ぼくあす』の山田も、今作の須藤も、自分の気持ちが友情なのか恋愛なのかで悩む面と、今までの関係を壊さないようにするにはどうしたら良いのかで悩む面が半々で、ほんと良い子たちですよねー……
ループしなくてよかった



60p
⇒好きなセンテンス!


「その一つ一つが大切で愛おしいストーリーで、それを思うと、この世が隠し持っている物語の総ページ数に、そこに含まれる感情の膨大な洪水に、飲み込まれそうな気がした」


来年使う手帳の最初のページに書いておこうと思います。
なんだろう……
ここでは矢野は身の回りの恋模様に思いを馳せているのだけど、恋愛に限らず、普通に生きているだけでは感じ取りきれない感情や物語があるのだということを思い出させてくれる、そんな素敵な言葉だと思います。



74p:細野と時子
⇒『読者と主人公と二人のこれから』の2人が本格参戦!
障害をひとつ乗り越えて恋人としてうまくやっていってる先輩として、修司と須藤をよく知る友人として。
そして、「トキコと時子」「秋玻と春珂」、二面性を持つもの同士として。
良いアクセントで、良い絡みでした!!



165p:頭に針金みたいなの
⇒これでゾクゾクしてる秋玻を無限に眺めたい……





173p:終電(池袋)
⇒どうにかこうにか頑張れないかと検索してみましたが、やっぱり0:37発の山手線渋谷新宿方面行きに乗らないと、近くまで行くのも厳しそうでした……
……ほら、秋玻なら時刻表トリックとか使いかねないから調べとかないとな、って。



188p:だよねー!
⇒知ってたー(涙目)
あああああああああああああ!!!!!!(涙目)




209p
⇒秋玻がね、恋っていう感情の具現者として生々しく存在していてね。

綺麗で尊いものなんかじゃないと宣言する様がかっこよくて、艶かしくて。
好き。



210p:千代田せんせー
⇒おいでなさいました、千代田先生。
このシーンと、270pからのシーン。
2箇所でしか登場していないのに、この存在感。
さすが失恋探偵……



220p
⇒『ぼくかの』のエピローグで打診されていた『十五歳』のアナザーサイドが既に書籍化されている世界……!
柊ところ先生の筆、めっちゃ早い……!



240p:光と闇
⇒「細野がデレた!!」っていう光
「春珂の望む事ってつまりアレ……だよね?」っていう闇

同時に味わえる1ページでした。
お得!!(やけくそ)



243p:ショウ・マスト・ゴー・オン
⇒Show must go on.

「ショーを続けなければならない」、転じて「絶対に後に引けない正念場」という意味ですね。
個人的にはアイマスのOPで知った言葉。
細野サイドの『十五歳』を読み、踏み出すと決めた矢野の決意の章。
良かった……



269p:傷つくこともできない
⇒今巻『三角の距離は限りないゼロ 2』はプロトタイプがカクヨム上にて公開されていて、その更新情報は岬鷺宮先生のTwitterの通知をONにしている私の目にも留まってはいました。
書籍になってから読むと決めていたのでカクヨム版は読んではいませんでしたが。
ただ、その章タイトルは目に入っていて。
この「傷つくこともできない」ってタイトルを目にした時の「(あっ、やばいやつだ)」ってなったのをよく覚えています。
もちろん展開は全く分からず漠然としたものでしたが、読んでみたらやっぱりヤバかったですよね。

千代田先生は把握していそうでしたけど、つまり須藤の本当の気持ちって……そういうことですよね?
だから「傷つくこともできない」っていうことですよね?



つらい



275p:婚 姻 届
⇒この千代田、人妻である


とか冗談挟まないとやってられねぇよ!!(アルコール2本目)って感じなんですけど、心の底から祝福する気持ちが大半を占めていることだけは主張しておきたいです。
本当に、本当におめでとうございます。
九十九と百瀬、二人のこの先の人生に幸多からんことを。

…………野々村百瀬かー(ニヤニヤ






まとめ





秋玻と矢野と春珂。

いよいよ三角の距離が限りないゼロに近づきはじめてきたわけですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は気が気じゃありません。
私にはどうしようもないですがどうしましょう……





みんなで幸せになる結末が訪れないことは分かっていますが、それでも尚願います。
どうか、みんなが後悔しない結末が訪れますように……




以上!







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