今日のラノベ!

デッキひとつで異世界探訪 1

デッキひとつで異世界探訪 1

著者:
棚架ユウ

イラスト:
りりんら

レーベル:
BKブックス


【あらすじ】

 最新VRゲームに没頭するあまり、命を落としてしまった青年・柳木透。それを見かねた遊戯の神様によって、彼はゲームの力を付与され、異世界・クレナクレムで新たな人生を送ることになった。ところがその与えられたゲームの力というのが、昔に熱中していたTCGだった!武器はひとつのカードデッキ、お供はデッキの守護聖霊である犬耳少女ワフ。それだけを携えて、透はこのクレナクレムで自分の居場所を見つけるため、冒険の旅に出る!




感想:★★★★☆








VRゲームに連続ログイン100時間オーバーに伴う心筋梗塞により死亡した主人公・柳木透が、遊戯の神の手により転生!
かつて遊んでいたTCGを現実戦闘にチューンナップした疑似カードゲームの能力を武器に、異世界を生き延びていく……というお話。









TCGにまつわる能力をザッとあげてみると、






①1日=1ターン

②使ったカードの枚数分、その場で手札を補充(ドロー)

③魔力をコストとして支払いカードを使用できる

④ライフバリア(MAX20)がなくなると死亡

⑤ターンのはじめにコストとライフバリアは全回復

⑥コストは陣地や道具の効果、試練のクリアなどで獲得可能








などなど。


さて、お気づきの方はお気づきだと思いますが、カードゲームとして見るなら欠陥だらけのクソゲーです。
手札管理が多少疎かでも、デッキ構築とコスト管理さえまともであれば余裕で高コストを維持できるでしょう。
ライフは1でも残っていれば次ターンには全回復。
つまり、1ターンで全て削りきらなければ決して勝つことのできないゲーム。
私のような「仮想敵?知るか!自分のやりたいことをやれたら勝ちだ!!」ってタイプのネタデッカーにとっては最高のルールとも言える、逆説的に良くないルール。




しかし、これが異世界での能力として見ると程よいチートくらいに収まるんですよね。
まず一番大きいのが「対戦相手はこのルールが適用されない」という点。
同じルールで戦っていないのだから、手札が尽きないとか知ったこっちゃないですよね。
むしろコスト管理によって勝手に自縄自縛しているようなもの。
でもこのコスト管理も、成長して分母が増えていけば毎ターン使えるカードも増えていき、いずれはチート級の軍団を維持することも可能になっていくと。
しっかり異世界冒険物語を成り立たせるための成長要素が組み込まれているんですよ。





また、ライフバリアと空腹度・疲労度が完全に切り離されていそうなのもポイント。
非戦闘時にはデメリットに、戦闘時にはメリットになるため難易度的には相殺されたうえで物語的に課題を増やしていくという読者には嬉しいギミックだと思います。
「読者には」というか「私が」嬉しい。
困難は地味であればあるほど読むのが楽しいタイプなので。










……と、そこそこに楽しめる設定でありながら★4とはどういうことかと言いますと。
予定調和の魔の手から逃れきれていないのかな、というところです。

ゲームものの中でも、ことカードゲームに特筆して言えるのが「あのカードを引けたら」「あれが発動できれば」という“たられば”論を現実にしなければ逆転することが難しいという弱点。
今作ではデッキの全内容が明らかになっていない代わりに、どのカードを引いてもそれなりに戦えるんです。
逆に言えば、コストさえどうにかなればなんとかなってしまうんです。







今巻の山場では、そのコストの呪縛から逃れた素晴らしい展開があったので、その点に関してはとても面白かったです! そこは間違いなく!!


ただ、やっぱりその後の問題を解決する際にはコストの呪縛にふたたび飲まれてしまい、ややモヤっとする読後感だったかなぁ、という感じです。



あと一歩!
もう一歩抜け出した何かがあれば、コストの呪縛でさえ受け入れてしまえる面白さになりそうで。

そこへの期待を込めての★4とさせていただきました!!





2ヶ月連続刊行ということで気合十分の今作。
来月の評価は上がるか、下がるか。








以上!



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