今日のラノベ!

エルフの山田さん(自称)


エルフの山田さん(自称)
1DKから始める世界樹育成生活

著者:
長尾隆生

イラスト:
冬空実

レーベル:
BKブックス


【あらすじ】

 ある夏の日、ひとり暮らしの高校生・田中くんの部屋に不意の来訪者がやってきた。ビジネススーツに身を包み、隣の部屋に越してきたというその人は、自称エルフの山田さん。手土産に持ってきた盆栽(?)を「ミニ世界樹」だと言い張る彼をうさんくさく感じながらも、その木に「ミユ」と名付けて世話を始めた田中くんだったが……。小さな部屋から始まった田中くんのボタニカルライフは、自称エルフに続いてやってきた自称ドワーフや自称勇者を加えて、やがて世界を巻き込む大騒動へ!?



感想:★★★★★




隣に越してきた山田さんから引越しの挨拶にと貰ったミニ世界樹。
山田さんの会社の製品のモニターとして半ば強制的にミニ世界樹(ミニ・ユグドラシル)=ミユを育てることになった田中くんの、非日常的日常生活!






全体的にテンポよく進むお話だな、というのが第一印象でした。
あらすじに反してまだ世界を巻き込む騒動というほどのものは特に無く(異世界的には大事件連発ですが)、親バカの田中くんと、エルフの山田さん・ドワーフの高橋さんらがミユを愛でて、たまに異世界ネタを放り込んできて。

麦茶を吸収するくだりをはじめミユの成長に関わる発想が面白いのもあって、それだけでも十分面白かったです。







しかししかし!







この小説の真価はそこでは無いのではないかと、そう提唱してみたい……です。





山田さんら異世界勢は確かに謎の存在です。

では、そんな彼らに見出された田中くんは?




田中くんの他にも別の世界に居るというミニ世界樹のモニターはといえば、世界を救った勇者のスズキさんに、最後に出てきた女王のような誰か。

果たして地球だけただの一般人を選ぶのでしょうか?




また、田中くんがしばしば示唆するオカルト。
かつてオカルトが好きだった……というレベルではなく、妄執や偏執に近い域でオカルトに触れていたような気配があります。
そんな彼が「執拗なまでに」山田さんが異世界の存在であることを信じようとしない、その意味とは?




そう、この小説で1番謎の存在とは、田中くんに他ならないのです。




考え始めると、最初の一文

「何も変わらない毎日だった」


でさえ怪しく見えてきます……





以下そのあたり掘り下げているような気がする読書メモ






読書メモ




8p:ヴォイニッチ手稿
⇒なぁにそれぇ!
教えてWikipedia先生!

「ヴォイニッチ手稿とは、1912年にイタリアで発見された古文書。未解読の文字が記され、多数の奇妙な絵が描かれていることが特徴である」
ウィキペディア「ヴォイニッチ手稿」より

さて、これをメモした段階では「そんな冒頭に調べないと分からないようなのを入れて……」と思っていましたが、今思えばここから主人公のオカルト示唆があったわけですね……!
久々に読書メモが仕事した気がします!
(つまりメモ見返すまでは忘れていた)



14p:「俺はもうオカルトを信じない」
⇒読書メモ見返すまでは最初のオカルト示唆だと思っていた文章
意味深すぎる……



78p:遮音結界
⇒つまりやりたい放題……ゲフンゲフン



220p:『調査結果』
⇒調 査 結 果

何!?
え!!なんかあったっけ??えっ!!?

……って。
オカルト示唆にしてはちょっと物騒だし、大家さんも関わっているようだし……
田中 is 何者?



248p:おふくろの味
⇒そうだ……
冒頭すぐに山田さん登場、ミニ世界樹登場で全く気にしていませんでしたけど、主人公の田中さんの生活背景って1巻段階では明かされて……ないですよね……?
高校生の一人暮らし、する気配のないアルバイト。
そのうえで「おふくろの味は記憶も曖昧に」「あの日々を取り戻せるかも」ですよ?

ほっほぅ……??





まとめ



"見える謎"たる山田さんと、"見えない謎"たる田中くん。

この感覚は新しいです……!



いや、ぶっちゃけ中盤までは文章のあまりの読みやすさ、スラングの多様に「安っぽい」と表現するかで悩んでいたんですけれど、全然そんなこと無いですよね。失礼しました。
何重の意味をも持ったカモフラージュ、そういうことなら大歓迎です!






まだまだ育っていくであろうミユの成長記録と同時に、田中くんの今後と前日譚にも期待です!




以上!



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