どもー!
デスカイザーです!



ちょっとの断捨離で身を引き裂かれるような思いをして、半日ゴロゴロしてました。
今回はCDと同人誌でしたが、このあとラノベも手持ちの2割くらい手放そうと思っているので……精神的な余裕が足りないです。

中古で買ったきりの有名シリーズとかは自炊も視野に。
……個人所有目的の自炊って著作権的にセーフでしたっけ?
先日書影ツイートが想定外の反応になったことですし、近いうちに調べておきましょう……




では、今日のラノベ!

タタの魔法使い 2


タタの魔法使い 2

著者:
うーぱー

イラスト:
佐藤ショウジ

レーベル:
電撃文庫


【あらすじ】

 一つの高校が突如異世界に消失しあ衝撃の「ハメルンの笛吹事件」から三年後、新たな学校消失事件が発生する。
 私立折口大学附属高校の1100名を超える生徒たちは、タタの魔法使いの妹カカにより異世界に転移させられる。
 地下に出現し、巨大なダンジョンと化した校舎で始まる一ヶ月間の異世界生活。
「私達の夢は、ここで叶う」
「私は、みんなと協力しあいたい」
『将来の夢』の力でカリスマ生徒会長となった藤堂瑠奈率いる生徒会執行部と、二年三組の無敵のリーダー夜木秋の活躍により日本への帰還を目指す生徒たち。
 生存者数、推定77名。壮絶な異世界サバイバルが再び幕を開ける。





感想:★★★★☆




自分でも引くほど長くなったので、
最後に書いた「まとめ」をここに引用して概要とします。


1巻で感じた不満は概ね拭われ、良い所は伸ばされた印象。
ただし、また新たな不満が生まれてしまい……★5を付けるにはあと一歩という感じです。












まず、1巻の感想(デスカイザーのラノベ日誌『タタの魔法使い』)で私が挙げたプラス・マイナスポイントに沿いながら、2巻を見ていきたいと思います。


プラスポイント



・こんなの見たことない!
・青木(弟のほう)いじり(ただしマイナスでもある)
・豆知識の挿入(正常性バイアスなど)
・生徒の勇姿
・あとがき(青木)に出てきたネネって何者!?





【こんなの見たことない!】に関しては、2巻なので当然薄れる部分があります。
「唐突に現れた異世界の神の手により学校ごと異世界に飛ばされる」という概要は同じなので。

ですが!おばあちゃんと犬の巻き添え転移!!
これは大いに驚かされました!!

先生と生徒、守衛さんくらいが関の山であろう学校まるごと転生ものに一石を投じたのではないでしょうか?!
だってとある先生の血縁とはいえ、ただの近所の人!!
この点だけは何と言われようとも無限に推していきたいです。
おばあちゃんと犬、転移。




【青木いじり】は、青木が居ないですからね。
……と思って安心していたのに冒頭21pで出てきましたよね、青木いじり。
ちゃんとカウントしてないんですが、結局2回か3回出てきたんでしょうか?

ただ、今巻は1巻よりも物語性が増したと言いますか、「事件を記録した出版物」としての側面がやや弱くなっていたので、1巻で感じた「被害者感情を慮って……」という気持ちは湧きませんでした。
湧きませんでしたが、出版物は出版物なので冷静に考えると「どうよ?」ってなるかもしれません。



【豆知識の挿入】は……ありました……よね?
うん、あったと思います。
それなりに。
「2018年問題」とか。

豆知識とは若干系統が異なりますが、今回は「ネット上・第三者の“事件”への態度」について大きく取り扱っていました
政治だったり芸能だったり、昨今のSNS上での過剰な炎上騒ぎに疑問を呈していて、その点については深く考える良いきっかけになり得ると思います。
この作品のスタイルだからこそできる問いの投げかけ方なので、ここは今後も是非伸ばしてもらいたいです。



【生徒の勇姿】は、二年三組という集団にのみ目を向ければ非常に強く、学校全体に目を向けると非常に弱くなっていたように思います。
ただ、これは意図的に作られたメリハリだと思うので、高く評価したいです。
……言い方が何様だという話ですが他に言い回しがごめんなさい。

今巻の最大のポイントは、二年三組という集団における夜木秋と、高校全体という集団における藤堂瑠奈、2人のリーダーの対比です。
これは「全生存者推定77名、うち二年三組全員生存」という結果からも明らかです。
リーダーシップを発揮するような夢の叶え方をした両者が、どういった過程の違いからこうした結果の違いを生むことになってしまったのか。
その肝心な部分を未だ消化しきれていない部分がありますが、ザックリまとめるならば「自分のための夢」か「他者への尊敬に根ざした夢」かの違いでしょうか。

……あー、でもこれ「分かりやすい結果を伴った最善だったかもしれない過程」と「結果からは分かりにくいが最善だったかもしれない過程」に分けられるとも言えるのですごい難しい……
表に出るか否かで言えば相田くんもそうですし、そんな感じのテーマが隠されているのかもしれないですね。



【ネネって何者!?】に関して、1巻の感想で ①N ②ふわっふわん ③縫口&菊池 という予想をしていましたが、今のところ②ふわっふわん っぽいんですよね。
あとがき(青木)の今回も見守ってくれた発言を鑑みるに。
もっとも、姿かたちを変えて同行していたという線も残されているので断定はできませんが。






マイナスポイント



・青木いじり(ただしプラスでもある)
・展開示唆のオンパレード
・インタビューと地の文を混同して読んでしまう
・過剰な日本礼賛
・情緒不安定な文章構成
 (ex. “ここで、卒業文集に面白い夢を書いた子を紹介したい”)
・絶望させきらないラスト





【青木いじり】については上述の通り。


【展開示唆】については今回もありましたが(読書メモ参照)、量や入れるタイミングが素晴らしく、今回はびっくりするほどプラスに働いていたと思います。
油断してるところにスッって入ってくるんですよ。
スッって。


【インタビューと地の文の混同】は今回は起きませんでした。
少なくとも私は。
私がこの文体を読むのに慣れたのか、うーぱー先生がこの文体を使いこなすようになったのか。
真実は闇の中、というか他の人の感想をリサーチしていないので不明です。
個人的な感覚としては文章自体が読みやすくなっていたのだと思うんですが……



【過剰な日本礼賛】は無かったと言って良いと思います。
少なくともメモってないですし、そんなシーンがあったという記憶も無いです。




【情緒不安定な文章構成】も改善されていました。
「てにおは」がおかしい部分もありませんでしたし、あまりにも急な場面展開もありませんでした。




【絶望させきらないラスト】、これに関してはウ~~ン……どうでしょう。
何というか救いのあるラストで煮え切らない部分があるような、あのラストだから最後まで対比が生きていたと言えるような……
その「夢」が有りなのなら、もうちょっと全体的に救いのあるラストになるべきという思いもありますし……











既に長いですが、次に2巻個別での感想






相田と夜木の関係性がすっごい素晴らしかったです!!!


うまいシステムを考えたなぁ、と感心しきりです。本当に。
おばあちゃんと犬の転移が良いヒントにも隠れ蓑にもなっていて、あと学校名もね、意味がありましたね。
学校まるごと異世界転移という状況からどんなイレギュラーが起こるのか、それを考えてしっかり練っているのが伝わってきます。
……これ以上は致命的なネタバレになるから口閉じます!
…………すごい良かったよ!!!!!






はい、では引っかかった点について手短に。

すごい根本的なところでどうでもいいところでもあるんですが、校舎が地下に転移したのをダンジョン化と言い張るのに無理を感じます。
別の夢によってパニックホラー化したわけですが、それが無かったらただの地下建造物では……?
宝箱とか、モンスターの配置とか、なんか、こう……オウルさん!『魔王の始め方』のオウルさん!!貴方のせいでダンジョンへの拘りとかいう謎の視点が出来上がっちゃったじゃないですか!!!もう!!!!!

まぁでも、はい。
ダンジョンについてはそんな感じです。はい。





あとは転移前の人数に対しての生存者数の問題。
もっと言うと、最後の最後で校舎の崩落に巻き込まれて死亡した生徒の数の多さですね。


全校生徒が1150名、教師が68名(+おばあちゃんなど)。
生存者数が推定77名。

6.3%が生き残った、つまりは93.7%の関係者が亡くなったわけですね。

ではラストの校舎の崩落に巻き込まれたのは何名か?
カカの発言によれば1000名前後。

教師がスタート時に65名失踪あるいは消滅していて、最終日までの生徒死亡者数は明らかに二桁以内。
直前の戦闘による被害が全く不明ですが、少なくとも出口で大渋滞が起こるほどの生存者がいたのは明らかになっています。
集団パニックを描く側面やカカの非道さを見せつけるという理由があるので理解できなくもないんですが、少なく見積もっても500名前後が生き埋めになった展開はどうだったのだろうと思う気持ちが強いです。
あ、倫理的な問題ではないですよ?
1000名を超える登場人物に対して扱いの粗雑さが見えることについてどうだろう?ということです。


繰り返しますが理由は理解できなくもないんですけどね……











読書メモ





46p:2名
⇒スッと差し込んでくるのズルい。
山中の涙をスッと差し込んでくるの、ズルい……
ほんと、今回こういうスッと差し込んでくる事件の結末が良い方向に機能しまくっていて、素晴らしいと思います。



49p:ゴン……
⇒だからそういうとこだよ……
そういうスッと差し込んでくる、そういうとこだよ……



110p:ふわっふわん
⇒今巻も登場したことで、一気にネネ疑惑が深まったマスコットキャラ。
……さーて、このふわっふわんと一緒に出てきた「高橋さん」って見知らぬお姉さんは、本当に折口大学附属高校の生徒なのかなー?
記憶が正しければこのシーン以降出てきてないですし、ネームドキャラなのに卒アルに書いた夢の内容について触れてないですし、何より「○年の先輩・後輩」とかではなく「見知らぬお姉さん」という書き方がねぇ……
タタ、ネネによって救済されている説。

記憶にないだけで本編で高橋さんについて語られている可能性も大いにありますが!




155p:相田の涙
⇒だからそのスッって差し込(ry



198p:仮の姿
⇒ネネについての言及が。
「仮の姿が持つ能力」がふわっふわんの周囲の敵を察知する能力なのか、あるいはミスリードなのか……



206p:はぁ~~~~~~~~!?!?!
⇒何サラッととんでもない暴露しちゃってくれてんの~~~!!??

というところが相田と夜木の関係性が素晴らしいという話に繋がってくるところなんですが、ほんとココ凄かったです。
振り返ってみれば148pの藤堂生徒会長と夜木の初対面時のやり取りとか伏線になっていて、他の場面でもチラホラそういうのが散見されて、あー好き。







まとめ






1巻で感じた不満は概ね拭われ、良い所は伸ばされた印象。
ただし、また新たな不満が生まれてしまい……★5を付けるにはあと一歩という感じです。





最後の最後ですが、私は1つ謝罪をしなければなりません。
1巻の「まとめ」で、


間違っても折口大学附属高校を舞台に2巻とかやっちゃいけない


と書きましたが、全くいらぬ懸念でした。
マンネリ感はほぼ無かったですし、事件を通して切り取りっている社会性や民族性についてもハッキリと区別されていました。

本当に申し訳ございませんでした。







さて。
タタとカカによる転移が終わり、ネネは生徒サイドにいる訳ですが、3巻は一体どうなるのでしょう……?
新たな神?
あるいはタタの復活?(高橋さん?)



出……ますよね?






以上!




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