今日のラノベ!



最強勇者はお払い箱 魔王になったらずっと俺の無双ターン

最強勇者はお払い箱
魔王になったらずっと俺の無双ターン

著者:
澄守彩

イラスト:
jimmy

レーベル:
Kラノベブックス


【あらすじ】

至高の恩恵を授かり、勇者となった男ガリウス。彼は魔王を倒し、人の世に平穏をもたらした最大の貢献者―のはずだった。しかし彼は手柄を王子に横取りされ、お払い箱となる。すっかり人間不信に陥ったガリウスは、ひょんなことからワーキャットを助け、敵対していたはずの“魔族”たちの楽園『最果ての森』を目指すことになった。“人”の業を背負う最強の勇者はしかし、心優しき“魔族”たちに受け入れられ―彼らのために、自身の居場所のために、次々に襲い来る敵を殱滅する!これは“人”ならざる者たちの、“人”に抗う物語。やがて“魔王”となる男の、悪しき人々を蹂躙する伝説が始まる―。




感想:★★★★★





1巻終わった段階でも、物語全体としてはまだまだ序章といったところでしょう。
まだ「魔王」にもなっていないので。
でも「無双ターン」という部分の片鱗はとくと見せていただけました!!
面白い。





人族の勇者・ガリウスが、かつて「魔族」として敵対していた亜人たちと共に暮らす様子を描いた物語。


亜人(=魔族)との戦いで見てきた数々の人の悪行を見てきたガリウスは亜人たちに「人族として」「勇者」としてどういった態度で接すれば良いのか戸惑います。
また、人族の価値観で太った醜い体型をしていることから、「ガリウス個人」としての自己評価も低いわけです。

しかし、亜人たちはそれらの人族として当たり前に考えていた価値観を全て覆し、彼らなりの社会性をもってガリウスを篤くもてなしました。
この価値観の違いというか、種族としても個人としてもコンプレックスを抱えた者をいとも容易く受け入れていく寛容さが衝撃的でした。
もちろんそのガリウスの評価というのは何もせずに与えられたものではなく、亜人の暮らす国にたどり着くまでの活躍や、そこで見せてきた精神性、魔王との一騎打ちの時のエピソード等をもとにくだされたものです。
ですが、ほんの2ヶ月ほど前まで自分たちの敵だった、しかもその中でも最強の戦力だった勇者を相手に、あのレベルでの公平性でもってジャッジするというのは……作中の人族ほど外道なつもりはありませんが自分には到底想像できません……


ベースが落ち着いた文章なので心にスッと入り込み、より真剣に考えさせられます……




文章性つながりで言えば、ガリウスの感情が昂るシーンの際立ちかたも凄いです!
特に心掴まれたのが127p前後の、リッピ(表紙の猫の子)がちょっとした油断から人族の冒険者に捕まってしまったことを、同じく捕まりかけながらも逃げてきたリリアネアから聞くシーン。


「捕まったのか?」
「わ、わからないの。自分が注意を引くから逃げろって、それっきり……」
ガリウスは「そうか」と彼女から離れると、地面に散らばった水筒を拾い始める。
「立てるか?みんなのところへ戻ろう」
「……ぇ?でもリッピは?助けに、行かないの?」
不安そうなリリアネアに、
「ああ、そうだ」
ガリウスは目を合わさずに告げた―。

本文127~128pより



冒険者への怒りとか、すぐにでも助けるため闇雲に探したいという焦りとか、単独行動に釘をささなかったことへの後悔とか、人族への失意とか、色々な感情が混ざったガリウスのセリフ。
とても重い……

普段からガリウスは淡々としていますが、それ故にふとした時に滲み出る感情のひとつひとつが際立ちますよね……
井戸に入ったら体格的に掘れないってことに気づいた時の一瞬の悲壮感とか、とても好きです!




そして亜人の価値観とガリウスの感情っていう2つの良い所がもっとも表れたのが、ラストエピソード。
ガリウスが殺した亜人の遺族と2人で話すシーン。
もー…………ねー……
どちらの心情も理解できるだけに……苦しかった……








真面目な話ばかりになってますね……
ヒロインの話もしましょう!




リリアネアが可愛いのなんの……!
あと聡明。

ほぼ初登場シーンでの、人族という理由でガリウスに敵意を持つと同時に、エルフ族の長の娘という立場でもって謝意を伝えるというところ。
種族で判断しているからには種族としてのこちらの立場も揺らがせてはいけないという、彼女なりの理屈が見えるようですごく好感でした!

そんでもってリッピとはすぐに打ち解けてハイタッチしてみたり、ガリウスのことも徐々に認めて惚れちゃったりする年相応の反応も見せてくれるのが良いですよね!!
あと服がえっちぃ……!





読書メモは、書き尽くしたので今回はなし。





まとめ




冒頭にも書きましたが、物語全体としてはまだまだ序章。
1巻では「種族」と「個人」、両方で抱えていた壁をガリウスが乗り越えて亜人の国に馴染んでいこうとするまでが描かれていました。
そして、亜人が素晴らしい社会を築いていることが示されれば示されるほど、人族の外道さがガリウスの記憶により際立っていきました。


ガリウスはどういった経緯で魔王になるのか。
魔王となった後に、積極的な人族征伐を行うのか?
行うのだとしたら、かつての人族との違いはどこにあるのか?


そのあたりを考えつつ、2巻を待ちたいと思います。



どうでもいいですが、太っていることが何よりの外見的特徴な主人公の名前が「ガリ薄」って変換されてしまうの、とても不憫でならないんですが!





以上!




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