今日のラノベ!



君死にたもう流星群

君死にたもう流星群

著者:
松山剛

イラスト:
珈琲貴族

レーベル:
MF文庫J


【あらすじ】

二〇二二年十二月十一日。それは僕が決して忘れられぬ日。その日、軌道上の全ての人工衛星が落下し、大気圏で光の粒となり消えていった。『世界一美しいテロ』と呼ばれたこの現象にはたった一人、犠牲者がいて…!引きこもりの少女・天野河星乃を救うため、高校生の平野大地は運命に抗う。「まさか読み終わる頃に自分が泣いているなんて考えもしませんでした」「切なさ、絶望、一縷の望みと試行錯誤の日々、さわりだけ読むはずが先が気になってもう止まりませんでした」「この作品を読んで僕も夢を諦めたくなくなりました」発売前から多くの人を感動に巻き込んだ『宇宙』と『夢』がテーマの感動巨編スタート!




感想:★★★★★




この作品を読んで、夢を諦めたくないと思える人間でありたかった……






スペースベイビーという特異な生い立ち、両親は日本を代表する宇宙飛行士、天才的な頭脳、秀でた容姿。
そして、人間不信の元引きこもりにして、宇宙飛行士で、「世界一美しいテロ」の唯一の犠牲者。
それがヒロインの天野河星乃。

星乃の発明したスペースライターで過去へと飛んだ主人公・大地が、運命を変えようと足掻くなかで自分の生き方や「夢」の在り方について考えていくお話。




私は、率直に言えばだいぶモヤモヤしながら読みました。
大地の掲げる「コスパ至上主義」とも言うべき考え方が幼稚すぎて見ていられないんですもん……



本当にコスパ良く勉強するのなら、適度に手を抜くわけがありません。
テストや入試の際にする勉強時間が増えるだけですもん。
ただの先延ばし、あるいはその先その学習内容を一切使わずに生きることに賭けているだけです。
あれは楽をするための理由のためにコスパという文字列を使っているだけです。

適度に手を抜く勉強をしてコスパが良くなる条件があるとすれば、それは「学校ではやらない範囲の学習を将来のためにしなければならない」場合などごく限られた条件のみのはずなんです。
つまり、大地がもっとも苦手とする「叶えたい夢をもつ」ことが必要になります。




なので、恐らくそれらを全て理解したうえで「大地くんには夢が足りない」と助言している星乃が狂おしく好きです!!
頭で理論は組みあがっているのに説明が言葉足らずなせいで大地にその真意が伝わっていないのがいかにも天才っぽいです。

しかしその星乃は既に……
過去に飛び、つまずきながらも星乃を取り戻し二度と離さないために大地がこれからどんなアクションを起こしていくのか、星乃の真意が伝わるのか。
非常に続きが楽しみです!







話は変わりますが。
「夢は99%叶わない」という大地のセリフや一連の流れを見て「夢をあきらめずに頑張ろう」と思える人が、やっぱり多数派になるんでしょうか?

私は「中途半端だなコイツ」って思ってしまったんです。
あれだけ夢をもつことのバカらしさを語っておきながら、夢の叶う可能性を1%も見積もっているとか信じられないです。

一パーセントよりも低いかも

本文209pより


かもじゃないです。絶対低いです。
一パーセントよりも低い確率から、努力で掴み取るのが夢なんです。
努力を捨てた人間が夢を叶えられる確率なんて、0パーセントに決まってるじゃないですか。




なので、恐らくそれら全てを理解したうえで「A(才能)×C(努力)=P(夢の実現可能性)」という方程式を提示した星乃が狂おしく好きです!!!
何なんだこの子は!!もう!!!!好き!!!





とはいえ。
結局私も考え方の根本は大地と同じなんですよね。

夢の持ち方が分からないです。
「夢」という大それたタイトルを付けてまで、そして努力を重ねてまで何かを成し遂げたいと思ったことが……記憶の限りで無いんですよね……(「目標」くらいならありますが)。
なので、大地の考える方向はすごくよく分かります。
上述したもやもやは、突き詰めれば同族嫌悪なのかもしれません。

だからこそ、星乃や伊万里のような夢を持って頑張ろうとしている人たちって凄いと思います。
だからこそ、大地が夢を持ってくれることを期待せずにはいられません。





以下、読書メモにて候。



読書メモ





タイトル:君死にたもう流星群
⇒与謝野晶子「君死にたまふなかれ」をモチーフにしたタイトルですね。
「流星群」を「ながれぼし」って読みたくなるのは私だけですか?
「きみしにたもうながれぼし」って。



90p:君の夢は。
⇒前前前世から星乃を探しそうだなぁ、とか思いながら必死に時間軸を割り出そうと考えてました。
後で思いっきり「2017年」って書かれていたんですがね!



125p:分からぬ。
⇒過去に飛ぶため大地が使った、星乃発明の「スペースライター」の原理が一応説明されていますが……理解が追いつきませんでした!
超光速で網膜データ飛ばして時間を超えるというくらいの理解で……良いですか?良いですね!



156p:こいつ……
⇒このシーンを皮切りに未来知識をマシンガンの如く放っていく大地に、最初「こいつバカか?」と思っていましたが、スペースライターの副作用的に記憶の定着に問題あるのが原因だからしょうがないみたいですね。
……そういう理解でよろしいのでしょうか?(原理が分かってないからフワッとする)



250p:ヤマ当て
⇒大地、既に幾度もスペースライトしていた説。
過去の記憶が無かったのは……ほら、副作用的なサムシングですよ。




まとめ




読む前にチェックしていた事前企画やTwitterでの感想は大絶賛の嵐でした。
私の感想は、正直そういった感想とは温度差があると思います。

ただ、面白くないというわけではありません。
むしろ、とても面白いです!
それぞれの登場キャラが抱える悩みや夢がどうなっていくのかというミクロな視点と、星乃の運命を変えることができるのかというマクロな視点。
2つの視点から運命が絡み合った状態で、大地が未来をどう変えていくのかとても楽しみです!



……星乃の死の運命を変えるだけだったら、手っ取り早い方法があるにはあるんですけどね。
7巻くらいまで引っ張ってならその方法でのエンディングも見てみたいですね……
相当に闇が深い。





以上!



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