今日のラノベ!

読めば身につく44箇条!
『マンガで分かる心療内科』の原作の方で、現役の精神科医、二重に「先生」なゆうきゆう先生の作品です。
エセメンタルクリニックの被験者第一号として異世界に飛ばされた主人公・心太が、医師から授けられた心理学書で学んだ心理学知識を活用しながら、エルフの村に代々伝わる秘宝「エルフのブラ」を取り戻すべく大冒険する物語!
あらすじからしてツッコミどころしかないんですが、安心してください。
本編はもっとツッコミどころしかないです!
例えば登場キャラ。
秘宝「エルフのブラ」と取り戻しエルフの国の再建を志すエルフ。
禁忌魔法で蜜を集め花粉をバラまくフェアリー。
婚活に勤しむために川に遡上してきたマーメイド。
下着への憧れから下着を盗む魔法を会得した女盗賊。
キャラが濃い……!
ひたすらに濃い……!
なのに心理学に関しては真面目!
ひたすらに真面目……!
3章以降の章末に、その章で出てきた心理学用語・知識に関する解説が平均3~4ページほど掲載。
本文中では心太が「会話の中での使用例」を見せてくれているので、ユーモアに富んだ解説と合わせて割とすんなり頭に入ってきます。
……「今すぐひとつ思い出せ」と言われたら「国連ダンス」くらいしか出てきませんが。
軽快すぎるくらいの文章と、少し堅い心理学知識。
その2つがうまい具合に合わさってバランスがよく取れていたと思います。
読みやすくて面白かったです!!
ただ、「3.5章」など「○.5章」の形で挿入されていたヒロイン目線の小話がやや蛇足だったかなぁ、と思いました。
例えばこれ。
エルの独白シーンなのですが、その直前の心理学解説において「受容による親近効果」や「共感の大切さ」といった項目で述べられている効果を、エル自信が自覚するような書き方になっています。
心理学のテクニックを用いた側が意識するのは当然ですが、用いられた側が、しかも心理学というものの存在を直前まで知らなかった人がここまで綺麗に言い当てるかのように書かれていることに違和感がありました。
「昔から自分に同意してくれる人を信じやすい」という文脈になるにせよ、もう少し違った言い回しになっているはずです。
殺人事件のトリックを知っている人がうっかりその情報を零してしまうが如く、この文章は心理学を知っている人がうっかりそれを前提に書いてしまったかのような印象です。
……多分「心理学知識を使われた側がどう感じるか」と「ヒロイン目線で魔法のような話術を使う心太がどう見えるか」の二点を意図して入れられたのが「○.5章」の存在理由で、後者については良いシーンだということは付け加えておきます。
あと、裏表紙で「心理学ラノベの原典にして最高作」を謳ってますが、少なくとも「原典」に関して言えば『サ法使いの師匠ちゃん』という前例があるということをですね……。
もっとも、あちらが「心理学ラノベ」というよりは「心理学を利用した詐欺ラノベ」なのであまり強く言えないというところもありますが……テヘッ
80p:「止める権利はない」
⇒エルって、置かれている環境がどうしようもなくカオスなだけで、思考性だけで行ったらこの作品で一番まともな子なんですよね……。
それがよく現れていた一文だと思います。
90p:「以前修学旅行で行ったイギリスの田舎町に似たのどかな風景」
⇒はい、1番deskyzer!ラノベの王女様のモノマネします!
この主人公、文化資本高いわね!!
なにが普通よ!
高校か中学か、はたまた小学校なのかは知ったことじゃないけど、
修学旅行でイギリスの田舎町に行く学校に通う奴が普通なわけないじゃない!!
医者っていう文化資本最上位層であることをカミングアウトしての刊行とはいえ、このサラッと「修学旅行と言えば海外です」って出してくる感じが気に食わないわ!
……口調は真似ましたが本心です。
東南アジアくらいなら地元の私立高校でも聞いたことありますがイギリスて……
相当良い学校ですよね……普通て……
92p:カチャヌチャポリリントルルエンシャンソン
⇒その文字列はどこからおいでなすったんですか(笑)?
123p:解説
⇒穿った見方はやめなきゃなぁ……と思いつつ。
エルに精神科医の魂が宿ったかのように、たまに急に饒舌に語りだすのでそこだけ文章が浮いちゃってるような気がします。
流れ的にその文章に含まれてる意味は必要なのだけれど、その言い回しだと……というもどかしさ。
書店に並べるならば、ラノベコーナーというよりは「マンガでわかる」系の隣かなぁ、というのが総評です。
ある意味「さすが」ですね。
面白くて、同時に学べる作品です。
建国の行方も気になりますし、次巻の発売に期待しても……良いんでしょうか?
プロローグで「その後」を先に書いているので、多分出るとは思いますが……。
以上!
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著者: | イラスト: | レーベル: |
---|---|---|
【あらすじ】 女の子が大好きなのに女性恐怖症(兼コミュ障)でまともに会話もできない不遇な高校生男子・難波心太。ひょんなことから異世界へ飛ばされてしまった彼が目覚めたとき、持っていたのは一冊の心理学書だった。食事も寝る間も惜しんで隅から隅まで熟読した心太は、心理学知識一つでこの世界を生き抜くことを誓うが―?これは、能力やスキルを授かることなく、もちろんお金も地位も何もない少年が、その身と心理学だけでいつの間にか成り上がっていく物語。平凡で無力な少年が、たった一つの力で次々と少女たちを落としていき、やがて王となってしまうかもしれない、新規格の恋愛攻略ハーレムファンタジー、ここに開幕! |
感想:★★★☆☆
読めば身につく44箇条!
『マンガで分かる心療内科』の原作の方で、現役の精神科医、二重に「先生」なゆうきゆう先生の作品です。
エセメンタルクリニックの被験者第一号として異世界に飛ばされた主人公・心太が、医師から授けられた心理学書で学んだ心理学知識を活用しながら、エルフの村に代々伝わる秘宝「エルフのブラ」を取り戻すべく大冒険する物語!
あらすじからしてツッコミどころしかないんですが、安心してください。
本編はもっとツッコミどころしかないです!
例えば登場キャラ。
秘宝「エルフのブラ」と取り戻しエルフの国の再建を志すエルフ。
禁忌魔法で蜜を集め花粉をバラまくフェアリー。
婚活に勤しむために川に遡上してきたマーメイド。
下着への憧れから下着を盗む魔法を会得した女盗賊。
キャラが濃い……!
ひたすらに濃い……!
なのに心理学に関しては真面目!
ひたすらに真面目……!
3章以降の章末に、その章で出てきた心理学用語・知識に関する解説が平均3~4ページほど掲載。
本文中では心太が「会話の中での使用例」を見せてくれているので、ユーモアに富んだ解説と合わせて割とすんなり頭に入ってきます。
……「今すぐひとつ思い出せ」と言われたら「国連ダンス」くらいしか出てきませんが。
軽快すぎるくらいの文章と、少し堅い心理学知識。
その2つがうまい具合に合わさってバランスがよく取れていたと思います。
読みやすくて面白かったです!!
ただ、「3.5章」など「○.5章」の形で挿入されていたヒロイン目線の小話がやや蛇足だったかなぁ、と思いました。
例えばこれ。
本文88~89pより普通にあいづちを打ってくれて、そして『わかる』って共感してもらえるだけで、何だかついつい『いい人だ』とか『信じられる人だ』って思えてきちゃうんですよね……
エルの独白シーンなのですが、その直前の心理学解説において「受容による親近効果」や「共感の大切さ」といった項目で述べられている効果を、エル自信が自覚するような書き方になっています。
心理学のテクニックを用いた側が意識するのは当然ですが、用いられた側が、しかも心理学というものの存在を直前まで知らなかった人がここまで綺麗に言い当てるかのように書かれていることに違和感がありました。
「昔から自分に同意してくれる人を信じやすい」という文脈になるにせよ、もう少し違った言い回しになっているはずです。
殺人事件のトリックを知っている人がうっかりその情報を零してしまうが如く、この文章は心理学を知っている人がうっかりそれを前提に書いてしまったかのような印象です。
……多分「心理学知識を使われた側がどう感じるか」と「ヒロイン目線で魔法のような話術を使う心太がどう見えるか」の二点を意図して入れられたのが「○.5章」の存在理由で、後者については良いシーンだということは付け加えておきます。
あと、裏表紙で「心理学ラノベの原典にして最高作」を謳ってますが、少なくとも「原典」に関して言えば『サ法使いの師匠ちゃん』という前例があるということをですね……。
もっとも、あちらが「心理学ラノベ」というよりは「心理学を利用した詐欺ラノベ」なのであまり強く言えないというところもありますが……テヘッ
読書メモ
80p:「止める権利はない」
⇒エルって、置かれている環境がどうしようもなくカオスなだけで、思考性だけで行ったらこの作品で一番まともな子なんですよね……。
それがよく現れていた一文だと思います。
90p:「以前修学旅行で行ったイギリスの田舎町に似たのどかな風景」
⇒はい、1番deskyzer!ラノベの王女様のモノマネします!
この主人公、文化資本高いわね!!
まずは自己紹介からはじめよう。
僕の名前は難波心太。高校三年生だ。
見た目も中身もぜんぶ普通な僕には、他の人とは決定的に違うところが一つある。
なにが普通よ!
高校か中学か、はたまた小学校なのかは知ったことじゃないけど、
修学旅行でイギリスの田舎町に行く学校に通う奴が普通なわけないじゃない!!
医者っていう文化資本最上位層であることをカミングアウトしての刊行とはいえ、このサラッと「修学旅行と言えば海外です」って出してくる感じが気に食わないわ!
……口調は真似ましたが本心です。
東南アジアくらいなら地元の私立高校でも聞いたことありますがイギリスて……
相当良い学校ですよね……普通て……
92p:カチャヌチャポリリントルルエンシャンソン
⇒その文字列はどこからおいでなすったんですか(笑)?
123p:解説
⇒穿った見方はやめなきゃなぁ……と思いつつ。
エルに精神科医の魂が宿ったかのように、たまに急に饒舌に語りだすのでそこだけ文章が浮いちゃってるような気がします。
流れ的にその文章に含まれてる意味は必要なのだけれど、その言い回しだと……というもどかしさ。
まとめ
書店に並べるならば、ラノベコーナーというよりは「マンガでわかる」系の隣かなぁ、というのが総評です。
ある意味「さすが」ですね。
面白くて、同時に学べる作品です。
建国の行方も気になりますし、次巻の発売に期待しても……良いんでしょうか?
プロローグで「その後」を先に書いているので、多分出るとは思いますが……。
以上!
コメント
コメント一覧 (2)
ここに目をつけるあたりがすっごいあたしと似てる。よく観察してるじゃない。
怒られるどころかお褒めいただいた!?