今日のラノベ!

六人の赤ずきんは今夜食べられる


六人の赤ずきんは今夜食べられる

著者:
氷桃甘雪

イラスト:
シソ

レーベル:
ガガガ文庫


【あらすじ】

名声のために罪を犯した過去を恥じ、今は猟師として各地を旅する「私」。ある日、訪れた村で奇妙な警告を受ける。「森には秘薬を作れる『赤ずきん』が棲んでいる。赤い月の夜、彼女たちはオオカミの化け物に喰い殺されるが、決して救おうとしてはならない」。少女らと対面した「私」は、警告を無視して護り抜こうと決意する。だが、そのとき「私」は知らなかった。その化け物が、想像を遙かに超えた恐ろしい生き物だということを。そして、少女たちの中に裏切者がいることも―。第12回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。



感想:★★★☆☆




誰もが知るグリム童話「赤ずきん」をモチーフとした物語で、第12回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作品!
1年のうち1夜だけ現れる化物オオカミから、6人の赤ずきんを守りきれるか!?という物語です。


すっごく面白かったです!!
寝る前に少しだけ……と思っていたらいつの間にか読み切ってしまいました!
まさに帯にある通りのパニックホラー×ナゾトキ!


猟師さんと6人の赤ずきんには2つの敵が存在します。
化物級の体格と恐ろしいまでの知識を備えたオオカミと、赤ずきんの中に潜む“オオカミを生み出した魔女”。
どちらか片方に対処するだけでも十分面白い話になりそうなものが2つ同時に驚異として立ちはだかってくるわけですから、まさに息つく暇もないような絶望感!
どのくらい絶望するかというのを、オオカミの簡単なスペックを紹介することで味わっていただきたいと思います。



・石畳に響く爪の音を隠すため、近くの村からパン生地を強奪し足につける
⇒ファーストインプレッションがこれですからね

・銃と戦い慣れている
⇒弾の装填の隙を狙ってきます

・銃を弾く
⇒剛毛すぎて弾きます

・船に乗る
⇒船という存在を理解し、引っ張ってきて、乗り込んで、渡ってきます

・鋭敏な嗅覚、聴覚
⇒なんと言ってもオオカミですからね








いや、無理じゃろ







6人の赤ずきんが作るそれぞれ効果の違う6種類の秘薬があってなお、ようやくギリギリ凌げるかどうかといったところで……。
いや、本当に猟師さんはあそこまでよく頑張ったよ……。


ナゾトキは最後の最後まで当てることができず悔しいです……
というかナゾトキに頭を割くことができなかったんですよ。オオカミが驚異的すぎて。
一応ヒントらしきものが出る度に5秒くらいは考えてましたが、「まずは生き残らなきゃ……」と読む方に戻っちゃうんですよね(笑)
そのおかげで自分で推理しないまま解決パートを迎えるという、稀有で面白い経験ができたので良かったです!

守るべき存在でありながら疑い続ける、という苦しい状況にありながらも赤ずきんたちをまとめようと奮闘していた猟師さんの心意気に感動しました。
その奮闘を評価すればするほど、“魔女”の黒さが浮き彫りになってくるというものです。







(ここから少しネタバレ?)





エピローグ前までの感想なら文句なしの★5なんですが、問題はそのエピローグにありまして……。


「猟師さんが頑なに頭を隠してきたのは青髪だから」


猟師さんの頭髪問題は本編中から勿体ぶられていたんですが、このエピローグで青髪であることを猟師さんが自白し、そして『青ひげ侯』というツバキずきんの発言に括弧まで付けられて強調されたところで終わります。
そんなに勿体ぶって物語の一番最後に明かすからには、とても面白い意味が隠されているはずなんですが知っている限りでは全くヒットする情報がなく、蛇足感のみが残っています……。


この作品自体『赤ずきん』をモチーフにされており、他にも作中では『白雪姫』『灰かぶり』『オオカミと七匹の子ヤギ』が元になっているであろう文章があったので、恐らくこの「青ひげ」もグリム童話にヒントがあると思うんですが……。

調べてみると、グリム童話の初版にのみ収録されているお話に「青ひげ」というものがありました。あらすじは以下。

青髭で恐れられていた金持ちの男が、4兄妹の妹と結婚する。
青髭の妻となった妹は城のどんな部屋にも立ち入ることができたが、ある小部屋だけは絶対に入ってはいけないと念を押される。
ある日、青髭の外出中に妹は好奇心に負けて小部屋を覗くが、そこには失踪していた過去の青髭の妻たちの無惨な姿が。
覗いたことがバレた妹は青髭に殺されそうになるが、間一髪でかけつけた兄たちに助けられ、青髭は殺されその遺産は兄妹たちが分け合い幸せに暮らした。



この青ひげというのは、Fateでもお馴染みジル・ド・レがモチーフとする説が有名ですが、猟師さんは彼……なんでしょうか?
化物級のオオカミに付けられた「ジェヴォーダン」という名前は「ジェヴォーダンの獣」として実在(?)していて、その最初の犠牲者がジャンヌ・ブルという少女なんですよ。
そこと繋げつつのネーミングなんでしょうか?


仮にそうだとしたなら、猟師さんにグリム童話の青ひげのような未来が待っているということでしょうか?


もし違うのなら、青ひげをここまで引っ張った真意はどこに……?



すっっごく面白くてとても良い気分で寝れそうだったのに、最後の最後に特大のモヤッとボールを投げつけられた気分でした……。
マジでなんなの……

ここの意図が分かる方、コメントで教えてください……お願いします……






次回作に期待です!
いや、本当に!
エピローグまでは滅茶苦茶面白かったので!


以上!

(参考文献:Wikipedia「青ひげ
              Wikipedia「ジェヴォーダンの獣」)


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