今日のラノベ!


ぱすてるぴんく

ぱすてるぴんく

著者:
悠寐ナギ

イラスト:
和鯖

レーベル:
講談社ラノベ文庫


【あらすじ】

他人との関わりを避け、ぼっちとして暗い高校生活を送る軒嶺緋色には彼女がいる。ネット恋愛の恋人・楢山スモモだ。決して会うことは叶わないはずだった二人。けれども迎えた新年度、緋色が自宅のドアを開けると、そこには“ネット彼女”のスモモがいて――!? 「わたし、引っ越して来ちゃったんです」「……なんですとっ!?」ネットの彼女がリアルの彼女になったそのとき、物語は動き出す。夢にまで見た恋人とのパステルピンクな学園生活が、ぼっちの殻をぶち壊す! けれどもそこに潜むのは、緋色の“元カノ”の影……?どれだけ痛くたって、これが僕らの恋愛だ! ネット恋愛→学園ラブコメな炎上系青春ストーリー、いよいよ開幕!



感想:★★★★★

にゃんにゃんにゃーん (。☌ ᴗ ☌。)




読んでいる間、ずっとドキドキしていたように思います。
それは可愛い彼女への恋であり、初恋の甘酸っぱさであり、実らない初恋に宿るトゲであり、「娯楽」で人を貶める事への忌避感であり、トゥンク……であり。
学園ラブコメラノベの王道中の王道なストーリー構成でありながら、SNSやブログなど現代的で先進的な内容を主軸に据えたこの物語。

1人のラノベブロガーとして声高に叫ばせていただきます。













こんなラブコメを読みたかった!!
ありがとう!!!!!
















では、感想をば。



ネットで出会い、なんやかんやを経て恋人になり1周年を迎えた春。
東京に住む緋色は高校2年に、そして高校入学を迎えたスモモは愛媛からはるばる緋色のご近所さんに!?

そんな所から始まる純度85%のラブコメが前半部!


プロローグではSkypeのビデオ通話で交際1周年をお祝いしているんですが、もうこの時点からラブラブで甘々でドキドキしてました……。
スモモが引っ越してきたことを緋色にカミングアウトするシーンもですね、最初の一文字から緊張で噛んじゃうスモモが可愛いのなんのって感じなんですが、

サプライズで引っ越してきちゃう行動力がありつつそこで緊張しちゃうかー、とか。

13pで満面の笑みのイラストを見せて、その後すぐの37pで緊張で顔が固くなってるイラスト持ってくるかー、とか。


単純に可愛いスモモを、さらにギャップで良く見せようとするとか犯罪級に可愛くなるじゃないですか?
まったくもう。
タ○ーズコーヒーでニヤニヤしてしまった責任をとってください!
最高です!まったくもう!!




その後順調にイチャイチャする二人でしたが、緋色と渚の淡くも苦い初恋の話を挟んだ後の後半部は純度85%のラブコメを純度100%に近づけるための苦悩のお話

ここからは読んでいてとても苦しかったですね……。
読みづらいとかではなく、緋色への同情と緋色への怒りという2つの感情によるものです。




高校という多感な時期において、ネット恋愛という“異質”なものは格好の娯楽の的になり得たでしょう。
娯楽…………うん、娯楽。
人の恋路を笑うことで、当人がどれだけ傷つくのか「何も考えず」、否「考えようとすることもなく」。
ここまでスモモと緋色の恋路をほんの一瞬ながらも見てきた身として、とてもイライラしました。
なんてやつらだ、と。




そしてそんな緋色への同情と同時に湧き上がるのは、「緋色お前何してるんだっ!!」という怒り。
自分たちのことを目の前でバカにされていたのに、事ここに至っても尚スモモの前で啖呵を切ることができなかった緋色への、怒りです。
過去の話を直前で読んでいるために彼なりの葛藤があったことは分かっていましたが、それでもやっぱり言いたかったです。


「そこは誇れ!」と。
「お前の大好きな女の子を誇れ!」と。







そんな情けない姿を晒す緋色くんもいましたが、その後はそれまでに張られた伏線をみごとに回収してのハッピーエンド!


伏線というのも「約束」などの露骨なものだけでなく、こちら(読者)の感情面をも組み入れた伏線も含んでいます。
例えば上述の「誇れ!」についてとかですね。
全世界的に誇るというのは予想外でしたが……うん、世界一大事な人を全世界に向けて誇って何が悪いっていうんでしょう!
それでこそスモモの覚悟に対して緋色が真っ先にやらなければならなかったことなのですから!

その気概を見せてくれた緋色に、スモモ目線でキュンキュンします……



「娯楽」についても、少なくとも準ヒロインの檸檬ちゃんについては、自分の行動を省みることの出来る根の良い子だと分かったところで良い締め方だったと思います。
ただしクラスのイケメンず、てめぇらはダメだ。

渚はイケメンすぎるので、IF世界線でも何でも良いので彼女が幸せになる瞬間を是非読みたいです……。





以下、一部変態の混じる読書メモ

読書メモ

18p:船橋!
⇒親戚の家が船橋近辺で小さい頃からよく行っていたので、とても感慨深いものがあります……。
緋色たちの通う学校最寄りの西船橋駅は千葉県内でも屈指の、というかJR私鉄合わせると船橋駅を抑えて県内トップの利用客数を誇る駅なのです。
(ソース:乗降客数ランキング(日):千葉県(出店戦略情報局)
上京してきたスモモが目を回すのも無理ありません……。



49p:「→ぱすてるぴんく」との出会い
⇒スモモのブログ「→ぱすてるぴんく」に緋色がやってきた最初の理由。
それがもし渚のおすすめとかだったら、今頃とてもドロドロした話になっていただろうなぁ(ワクワク)という妄想メモ。
余談ですが、あらすじが余りにも甘すぎて逆に後半に行くにつれて血に塗れ鬱まっしぐらな展開になるんじゃないかと戦々恐々としていた人がいるみたいです。



116p:ブログ
⇒章の間にブログ「→ぱすてるぴんく」のスクショ風イラストが入るんですが、最早ハンドルネームでもイニシャルでもなくハッキリと「緋色くん」と書いて全世界に発信しているスモモのメンタルが凄いです……。
さすが引っ越してくるだけのことはある……。
というか本名晒されてるけど良いのかスカーレット……。



134p:俺
⇒やぁん……
過去の出来事を引きずらないために、意図的なのか無意識なのか一人称が変わるやつぅ……
しかもさりげなく変えつつ強調してしっかり教えてくれるやつぅ……
すきぃ……



144p:物干し竿
⇒クラスメイトの女の子の家のベランダの物干し竿見て「またここを通ろう」と決意する緋色くんと一緒にお酒を呑みたい……
分かるよその気持ち……

住宅街でベランダを注視する人がいたら、空き巣犯か変態の2択です。警戒しましょう。



185p「お前は僕のオンリーワン(要約)」
⇒うわぁ……こんなセリフ言ってみたい……
このセリフにドン引く風を装いつつ顔が真っ赤になる彼女がほしい……
あるいはスモモみたく真に受けて嬉しみを爆発させてくれる彼女に誰かなってくれませんか……?



209p:死体蹴り
⇒俺がお前らを死体にしてやるからちょっと待ってろ二次元への入口はどこだ

それはともかく、ここに至るまで「嘘のような本当のラブコメ」が成り立っていたのに、急に現実に引き戻された感がありました。
正確にはこの20p程前あたりからですが。
冷水を浴びせられたよう、ってこんな感じなんですね。
呆然としてしまいました。



249p:やだ……この子良い子すぎる……
⇒最後の読書メモは渚!
渚について語らせてくれ!!

うまく行かなかった初恋を「黒歴史」とせず、無かったことにしようとせずに向き合い、自身の青春として刻み込む彼女の高潔さがとても光っていました。
そして、それを元カレである緋色にも求める豪胆な部分が最高にイケメンです!
さらにさらに、新たな彼女とのトラブルで苦しむ元カレを連れ回し、自分との初デートを行動でなぞり意識させ怒り叫び窘め想いの丈をぶつけ合おうとする渚さん……かっこいいよぅ……。

語弊のないように「スモモが今作最高のヒロイン」であることを前置きしますが、今作最高のヒロインは渚です!
ツッコミはコメントにて受け付けます


まとめ


自分が求めていたラブコメはこういう形だったのか!と納得する読後感でした。
いや、読後感なんて生ぬるいですね。
読み始めからずっと納得し続けていました。

……あぁ、もう取り繕うの面倒くさい!








めっちゃドキドキしました!
めっちゃキュンキュンしました!!
スモモが可愛い!
緋色くんも可愛い!!
よし!!
にゃん!!
この作品に出会えて良かった!!







最高のラブコメをありがとうございました!
7月発売の第2巻も楽しみにしております!!




以上!




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