今日のラノベ!


異世界居酒屋のぶ 三杯目

異世界居酒屋のぶ 三杯目

著者:
蝉川夏哉

イラスト:

レーベル:
宝島社


【あらすじ】

古都には雪が舞い、年の暮れが近づいている。居酒屋「のぶ」が異世界に繋がってもうすぐ一年。店の評判が人づてに広まり、ハンスやリオンティーヌといった新たな従業員を迎え入れた店内は、今日も美味い酒と料理を求める客で賑わっている。そんな折、帝国皇帝と東王国の王女摂政宮の間で、“お見合い”話が持ち上がり…。






感想:★★★★★





むふふ





このまま帝国と近隣諸国との微妙な軋轢も「のぶ」の魅力でどうにかしちゃえ!


と前巻の感想で書きましたが、まさか本当に東王国の王宮摂政宮まで虜にしてしまうとは……。
もっとも、国同士の微妙な空気はこれからも残っていきそうなので完全に氷解したわけではありませんが、全くの停滞ではなく後退したわけでもないので一歩前進と見て良いでしょう。
幼王ユーグとセレスの関係が戻る時こそ帝国と王国の間に橋がかかる時、という目星が付いたんですから大きな前進と見てもいいかもしれません。


それにしても、件のセレスとコンラートの偶然の出会い・一目惚れから翌日求婚するに至るまでの流れが好きすぎてつらいです……
「むふふ」って声が自然と出てくるものだと初めて知りました(笑)
そんな初対面の二人が居酒屋のカウンターで語りあって……あぁもう想像しただけですごい……良い……良いよー……セレスの笑顔が良いよー……

現役皇帝が居酒屋に居ることの異常性はもうこの際置いておきましょうね。
先帝が来てるんですもん。現帝だってくるさ。






コンラートの婚約騒動に加えてもう1つ軸になっていたのがハンス一家

料理人の道を志したハンスと、なんだかんだ自分を継いで硝子職人になってほしい父のローレンツ、その間に挟まりつつ見守るハンスの兄のフーゴ。
3人それぞれに職人気質な我が有り歩み寄れないというのは、ある意味男の性なのかもしれませんね……。
(男女差別とかじゃないですよ……?)


ぶっちゃけ生きる目標というか人生の行く末を盛大に見失ってる私からしたら3人とも凄いです。
ローレンツの考えは妻を2人亡くしている故に「息子だけは絶対に立派に育てる」という強迫観念に近い義務感に駆られてのものなのかなぁ、と思います。
もちろん1人の硝子職人として見た時、自分にもっとも近い仕事をするのがハンスであると確信を持っているというのもあるでしょうが。

その確信があったからこそハンスよりも自分に近づく才能が弱いフーゴを、認めつつもどこか認めきれずにいたんでしょう。


そこまで見越しての事なのかそうでないのか、やはりその考えを変えたのは「のぶ」の料理でありお酒であり。
ハンスが親と喧嘩しているという話題はありましたから、あそこで親子丼を出したのはやっぱり“粋な計らい”でしょう。
本当にもう……良いお店だよまったく。




他にも今巻は、ヒルダとマクシミリアンの幼夫婦が仲直りをしたり、ハンスとリオンティーヌの仲が怪しくなったり(邪推)、ゲーアノートの弟が来たり。
お客様が変われどおもてなしは変わらず「その時の最高を」。
やっぱり読んでいてもこの接客は気持ちいいですね……!


読書メモ



16p:お節介
⇒to ニコラウス & エレオノーラ
本人が満更でもなさそうなあたり、あぁんもう最高……



38p:仲良し
⇒しのぶちゃんと信之のオフショット、もっと増えてほしい……!



190p:それでいいのか聖職者
⇒でも食べたいんだからしょうがない。
だって、魚だもの。



208p:むふふ
⇒むふふ


まとめ


ここまで位の高い人の心を掴んでいるからには、そろそろ宮廷晩餐会に招集される日も近いのかもしれませんね……。
それを信之が、しのぶちゃんが受けるかどうかは別として。
しのぶちゃんなら信之のレベルアップのために受けそうな気がします。




ん、そうだ。今巻で登場したお酒をまとめておきます。
抜けがあるかもしれませんが一応メモってる限りで。



9p:黒牛(名手酒造店・和歌山県)
122p:賀茂鶴(賀茂鶴酒造・広島県)
    菊正宗(菊正宗酒造・兵庫県)
152p:竹鶴(竹鶴酒造・広島県)
    鍛高譚(しそ焼酎、オエノングループ)
191p:久保田千寿、萬寿(朝日酒造・新潟県)
    酔鯨(酔鯨酒造・高知県)
    獺祭(旭酒造・山口県)
229p:天狗舞(車多酒造・石川県)
259p:熊野路(天長島村酒造・和歌山県)





以上!



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