今日のラノベ!

常連から初来店まで、庶民から王侯貴族まで。
今巻も幅広いお客様で賑わう「居酒屋のぶ」の、心温まる様々なエピソードが詰め込まれていました!
今回のテーマは「淡い好意」といったところでしょうか
『女傭兵』では、リオンティーヌという東王国(オイリア)出身の女騎士が、かつて戦場で見えたとある騎士を探して古都に来るのですが……
運命のイタズラとはかくも面白く、残酷なもの。
つい、そう思ってしまうようなお話です。
ダシのように胸に沁みるんですよこれがまた……
『古都の秋刀魚』では、水運ギルド<鳥娘の舟歌>のギルドマスター・エレオノーラが「のぶ」で秋刀魚を食べていたら、近くで呑んでいたニコラウスが……?なお話。
大人な恋の始まりの予感……?な トゥンク 案件です。
混ぜご飯に喩えるなら、どっちが秋刀魚でどっちをコメにするか。それが問題だ。
『秋の味覚の天ぷら』では、吟遊詩人を目指す青年・アルヌが「のぶ」で天ぷらを食べたことで、自分の目指す場所を「料理と美酒」を歌うクローヴィンケルという詩人に定めます。
アルヌはこの巻の最重要人物と言っても過言ではないキャラなんですが、家業か吟遊詩人かの間で定まらず、ついにはアルヌの詩を読んだクローヴィンケル本人にまで指摘されてしまう始末。
(テーマにこじつけてるようかもしれませんが)『秋の味覚の天ぷら』時点でのアルヌにとって、家業とは尊敬する先代のように完璧にこなさなければならないものという強迫観念があったんだと思います。
だから、「好き」だけどそこに未熟な自分が入ることで踏み躙りたくない、というのを無意識に思い吟遊詩人の道に逃げていたのかなぁ、と。
その逃げは消極的ではあるけれど、なんだかんだ「古都を知る」という点においては家業に役立つものでもあったので決して無駄にはならないんじゃないかと思います。
頑張れアルヌ!
上の3篇以外にも恋愛、親愛、友愛、もちろん食やお酒も含めて、色んな形の好意が「のぶ」で生まれ、伝播していく様が描かれています。
それらの良さを引き立てているのは、暗に示す事柄(回収されないフラグ)の多さかもしれません。
回収されないフラグという語弊があるでしょうか……。
んー……。
回収された事に気づかないフラグ、というほうがいいですかね……。
『ナスのあげびだし』でのトマスとエトヴィンの会話なんかが良い例です。
最後の最後まで読んだ後にこのシーンを読むと「あぁ、そういう!」ってなるんですが、回収のタイミングではなかなか気づけないんです……!
他にも大なり小なり細かい仕掛けが散りばめられているんで、パラっと読み返すのが楽しいです。
そして、それらのフラグがまるでカレーに入れたチョコのように影に隠れて周りを引き立てているんですよ!(これが言いたかった)
3巻はもうちょっと注意深く読みたいと思ってはいますが、料理の美味しそうな空気に負けてちょろっとしたフラグが頭から抜け落ちるんですよね、きっと……。
それもまた魅力。かも?
18p:いつもの
⇒素人考えだと「いつもの」という注文はお店側にとって「いつものでスタッフが分かるほど通ってくれるお客様」という、絶好の好材料だと思っていました。
しかし、本当のプロは……やっぱり違いますね。
「いつもの」は体の良い停滞とも取れることを認識して、常に新しいものを提供できるよう考えているんですね……。素晴らしい……!
69p:ラインホルトは出来る子
⇒タコは食えるけど、ラインホルトは食えない奴
79p:レモン
⇒ベルトホルトさんの奥さんにして「のぶ」の給仕・ヘルミーナさんが、旦那さんの皿の絞った後のレモンをひょいパクするシーン。
レモン……
酸っぱいもの……
……いや、まさかね?
120p:ナスぅー
⇒ナスのあげびたしは、一人暮らしの時に常備菜としてよく作っていました。
作り置きなのでお酢を多めにしてましたが、やっぱり作りたてのあげびたしは良いですよ本当に……。
美味しそうに食べるトマスを見て、久々に食べたくなりましたー
137p:この一体感
⇒あの広さの居酒屋だから生まれるこの一体感。
「のぶ」がファミレスだったらこうはならない。
143p:おおおおぉぉぉぉぉ!!
⇒79pの自分が凄い
171p:アルヌの居た理由
⇒酔拳使いのアルヌが、毎日、昼間から「のぶ」に入り浸っていた理由。
なーるほどぉ?
彼が只者じゃないというのを察したシーンでもあり、113pのフラグを思い出すきっかけになったシーンでもあり。
189p:だし巻き玉子
⇒料理人の最初の一歩にして究極の一歩がだし巻き玉子
みたいな風潮ありますよね、すごいわかります。
だってあれめっちゃ奥が深いって、素人の私でも思いますもん。
味、形、火入れの時間、食感、触感、色合い、香り、etc……
198p:茶碗蒸し
⇒これもまたフラグ回収がアナウンスされないパターンでしたね……
「私はそのフラグ、認知しておるぞ!」って万能感やばいです
239p:チビ
⇒同上。難易度はこちらのほうが下。
**:イカ二貫
⇒イカと「のぶ」を掛けた結果のメモですね。
メモのクセがすごい
古都の片隅にある居酒屋に、近隣の王侯貴族が味を求めてやってくる。
考えるまでもなく途轍もないことです。
現代日本の味が古都には珍しく先進的ということもありますが、「つい足が向いてしまうお店」を作っているのは何より信之さんとしのぶちゃんあってのものです。
このまま帝国と近隣諸国との微妙な軋轢も「のぶ」の魅力でどうにかしちゃえ!
以上!
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著者: | イラスト: | レーベル: |
---|---|---|
【あらすじ】 ある日から店が異世界にある古都と繋がってしまった居酒屋「のぶ」。訪れるお客たちは寡黙な店主、ノブ・タイショーと給仕のシノブが振る舞う酒や料理が好きになり、たちまち古都では「のぶ」が受け入れられていった。そして迎えた秋。にわかに街の人々の間で不穏な“魔女”の噂が広まりはじめていた。さらに、魔女の噂を聞き付けた大司教まで古都に来訪して…。人と人の縁を結ぶ小さな居酒屋の物語。「小説家になろう」から生まれた異色グルメ小説第二弾! |
感想:★★★★★
常連から初来店まで、庶民から王侯貴族まで。
今巻も幅広いお客様で賑わう「居酒屋のぶ」の、心温まる様々なエピソードが詰め込まれていました!
今回のテーマは「淡い好意」といったところでしょうか
『女傭兵』では、リオンティーヌという東王国(オイリア)出身の女騎士が、かつて戦場で見えたとある騎士を探して古都に来るのですが……
運命のイタズラとはかくも面白く、残酷なもの。
つい、そう思ってしまうようなお話です。
ダシのように胸に沁みるんですよこれがまた……
『古都の秋刀魚』では、水運ギルド<鳥娘の舟歌>のギルドマスター・エレオノーラが「のぶ」で秋刀魚を食べていたら、近くで呑んでいたニコラウスが……?なお話。
大人な恋の始まりの予感……?な トゥンク 案件です。
混ぜご飯に喩えるなら、どっちが秋刀魚でどっちをコメにするか。それが問題だ。
『秋の味覚の天ぷら』では、吟遊詩人を目指す青年・アルヌが「のぶ」で天ぷらを食べたことで、自分の目指す場所を「料理と美酒」を歌うクローヴィンケルという詩人に定めます。
アルヌはこの巻の最重要人物と言っても過言ではないキャラなんですが、家業か吟遊詩人かの間で定まらず、ついにはアルヌの詩を読んだクローヴィンケル本人にまで指摘されてしまう始末。
(テーマにこじつけてるようかもしれませんが)『秋の味覚の天ぷら』時点でのアルヌにとって、家業とは尊敬する先代のように完璧にこなさなければならないものという強迫観念があったんだと思います。
だから、「好き」だけどそこに未熟な自分が入ることで踏み躙りたくない、というのを無意識に思い吟遊詩人の道に逃げていたのかなぁ、と。
その逃げは消極的ではあるけれど、なんだかんだ「古都を知る」という点においては家業に役立つものでもあったので決して無駄にはならないんじゃないかと思います。
頑張れアルヌ!
上の3篇以外にも恋愛、親愛、友愛、もちろん食やお酒も含めて、色んな形の好意が「のぶ」で生まれ、伝播していく様が描かれています。
それらの良さを引き立てているのは、暗に示す事柄(回収されないフラグ)の多さかもしれません。
回収されないフラグという語弊があるでしょうか……。
んー……。
回収された事に気づかないフラグ、というほうがいいですかね……。
『ナスのあげびだし』でのトマスとエトヴィンの会話なんかが良い例です。
最後の最後まで読んだ後にこのシーンを読むと「あぁ、そういう!」ってなるんですが、回収のタイミングではなかなか気づけないんです……!
他にも大なり小なり細かい仕掛けが散りばめられているんで、パラっと読み返すのが楽しいです。
そして、それらのフラグがまるでカレーに入れたチョコのように影に隠れて周りを引き立てているんですよ!(これが言いたかった)
3巻はもうちょっと注意深く読みたいと思ってはいますが、料理の美味しそうな空気に負けてちょろっとしたフラグが頭から抜け落ちるんですよね、きっと……。
それもまた魅力。かも?
読書メモ
18p:いつもの
⇒素人考えだと「いつもの」という注文はお店側にとって「いつものでスタッフが分かるほど通ってくれるお客様」という、絶好の好材料だと思っていました。
しかし、本当のプロは……やっぱり違いますね。
「いつもの」は体の良い停滞とも取れることを認識して、常に新しいものを提供できるよう考えているんですね……。素晴らしい……!
69p:ラインホルトは出来る子
⇒タコは食えるけど、ラインホルトは食えない奴
79p:レモン
⇒ベルトホルトさんの奥さんにして「のぶ」の給仕・ヘルミーナさんが、旦那さんの皿の絞った後のレモンをひょいパクするシーン。
レモン……
酸っぱいもの……
……いや、まさかね?
120p:ナスぅー
⇒ナスのあげびたしは、一人暮らしの時に常備菜としてよく作っていました。
作り置きなのでお酢を多めにしてましたが、やっぱり作りたてのあげびたしは良いですよ本当に……。
美味しそうに食べるトマスを見て、久々に食べたくなりましたー
137p:この一体感
⇒あの広さの居酒屋だから生まれるこの一体感。
「のぶ」がファミレスだったらこうはならない。
143p:おおおおぉぉぉぉぉ!!
⇒79pの自分が凄い
171p:アルヌの居た理由
⇒酔拳使いのアルヌが、毎日、昼間から「のぶ」に入り浸っていた理由。
なーるほどぉ?
彼が只者じゃないというのを察したシーンでもあり、113pのフラグを思い出すきっかけになったシーンでもあり。
189p:だし巻き玉子
⇒料理人の最初の一歩にして究極の一歩がだし巻き玉子
みたいな風潮ありますよね、すごいわかります。
だってあれめっちゃ奥が深いって、素人の私でも思いますもん。
味、形、火入れの時間、食感、触感、色合い、香り、etc……
198p:茶碗蒸し
⇒これもまたフラグ回収がアナウンスされないパターンでしたね……
「私はそのフラグ、認知しておるぞ!」って万能感やばいです
239p:チビ
⇒同上。難易度はこちらのほうが下。
**:イカ二貫
⇒イカと「のぶ」を掛けた結果のメモですね。
メモのクセがすごい
まとめ
古都の片隅にある居酒屋に、近隣の王侯貴族が味を求めてやってくる。
考えるまでもなく途轍もないことです。
現代日本の味が古都には珍しく先進的ということもありますが、「つい足が向いてしまうお店」を作っているのは何より信之さんとしのぶちゃんあってのものです。
このまま帝国と近隣諸国との微妙な軋轢も「のぶ」の魅力でどうにかしちゃえ!
以上!
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