今日のラノベ!

だからオカズは選べない

だからオカズは選べない

著者:
天秤☆矢口

イラスト:
葉山えいし

レーベル:
講談社ラノベ文庫


【あらすじ】

つくば家庭料理学園―。ちょっと食への執着が強いだけのごく普通の青年・真白悟飯が入学した学校は、何かがおかしい…。入学初日から、男子たちからは強烈な敵意を、女子たちからは猛烈な好意をぶつけられ大混乱。それもそのはず。ここは“料理の魂”をその身に宿した“主食男子”と“オカズ女子”が学ぶ、料理のための学園だったのだ。そうとは知らず入学してしまった真白が宿す料理の魂、それは…主食の殿様、白いご飯!!「食べ合わせ」が人間関係にも影響するこの学園で、真白に史上空前のモテ期到来!塩対応の赤鮭女子、元気印の豚の生姜焼き女子、真白は誰をオカズにする!?爆笑必至の学園お料理ラブコメ、めしあがれ!!



感想:★★★☆☆




麺条、、、♥




第6回講談社ラノベチャレンジカップ佳作受賞作!
画像で帯が外されていない理由は、買って確かめよう!





思春期の子供に料理の魂が宿るという設定、もっと言えば主食男子とオカズ女子という設定がよく活かされていて面白かったです!
白米をオカズが奪い合うという基本はもちろん、
味噌ラーメンとの熱い友情
大阪のお好み焼き、
名は料理を表す、などなど。



度々出てくる料理慣用句はほぼダジャレみたいなものですが、コメディ寄りの今作において箸休めとして良い役目を持っていたように思います。

料理ものだけに!

地の文からジャンルを示唆すると「くどく」なることがありますが、今作ではちょうど良い塩梅でした。
というのも、魂を宿しているとはいえそれ以外は普通の……普通かなぁ……普通の高校生。
校門で風紀チェックもあれば、普通に学食でごはんも食べます。
言ってしまえば普通の学生生活。

なので、こういうところで料理っぽさ出していかないと……逆に病院食みたいに味気なくなってしまっていたでしょう。
個人的には薄味好きですけど。




そして何といっても勢いだけで笑かせてくる悟飯の食レポwww
これはwwwひどいwww
家で読んでて良かったと心の底から思いました。
まぁ……それが見開き1ページも続くとさすがに真顔になりますが。
何事もやりすぎは良くない。






さて。
そんなこんなで設定は好きなんですが、イマイチ納得いかない所が2点あります。


1つは「生徒会主催の真白君争奪杯」
終盤で行われる、主人公をかけてオカズ女子が料理対決するイベントです。
学園もののラノベだとよくあるやつなので最初はスルーしてましたが、よくよく考えると違和感の塊です……。


文化祭の目玉イベントというわけでもないのに、丸一日のイベントを計画から実行まで10日前後。
先生たちが特別に許可したとかかな?と思ったけども、「先生たちがこんなことに口出すわけない」(194p)という証言。
生徒会に強力な権限が与えられているパターンだとしたら許容できましたが、それを成立させるのならば本文中に生徒会役員を出さなければなりませんでしたが登場せず。
仮に裏方に徹するポリシーを持つ生徒会メンバーだったとしても、少なくとも景品たる悟飯の前に一度も顔を出さないというのはいかがなものか。
また、悟飯が一人のおかずを選んだとしたら、選ばれなかったおかず達が白飯に合わないようになってしまうのでは?少なくともショックを受けてしまうのでは?
そのような可能性を孕むイベントをみすみす開催させている教師陣は何をしているの?

……とまぁ、私が弁当の蓋につく米を一粒残らず取って食べるほど細かい性格なのが災いしているんでしょうが、腑に落ちませんでした。




もう1つは、脱衣

いや、もう今のラノベ界において言うだけ無駄かもしれないですが。
なぜ脱ぐ?

表紙が全裸なのは分かりますよ?
食事的な意味での「オカズ」と、性的な意味での「オカズ」を掛けているんですよね?
うん、これは納得ですよ。


納得できなかったのは、163p前後で焼き鮭さんが夜の校舎を全裸で徘徊していたシーンですよ。
このシーン、1冊通して見ても滅茶苦茶浮いてます。
赤鮭さんが言い訳をしていましたが、その言い訳も特に正当性のない、まとめてしまえば「衝動的に」くらいのもので。

「今までしたことなんてない」という赤鮭さんの言葉が本当なのだとしたら、このストーリーの導入に語られていた「夜な夜な校舎の廊下を歩く黒髪の少女の幽霊」のくだりが無駄ですし。
常習なのだとしたら、それこそなんで脱ぐの?っていうところに戻りますし。
料理っぽさ有る理由を付けてそれっぽくするのがこの作品の一番の見せ所なのに……
皮?皮なのか?







おかわりは読書メモで。






読書メモ




53p:薑
⇒表紙右側のポニテっ子、豚肉の生姜焼きの魂を宿していて、名前を「薑猪子」といいます。
「はじかみ」って読んで、生姜の旧名のようです。
ひとつ賢くなりました。

ついでに補足すると、
かつて生姜は「生薑」と書かれていたそうです。
薑だけでもしょうがを指すのですが何故「生」が付くのかというと、乾燥させて使う漢方と区別するため。
もひとつ賢くなりました。



100p:ヒアリング
⇒ヤサイニンニクアブラカラメマシマシィィ

どうでもいいですが、横浜家系ラーメンも白飯と相性良いですよ!
……あ、でもどちらかというとチャーシュー丼のほうがオーソドックス?



126p:唐揚げ
⇒分かるぅ……居酒屋の唐揚げ美味しいよねぇ……



128p:悪意ある擬音
⇒上述の脱衣の話にもつながりますが。
水鉄砲の擬音がドピュドピュなのは酷い。

オーケーオーケー水鉄砲の意図は分かってる。
こちらもラノベ読みのプロだ、ラッキースケベは大好物だとも。
だが、しかし!
果たしてこの擬音は必要だったか?!
弟妹に水鉄砲をかけられ、うへぇ(´Д`;)な薑ちゃんで良いのでは?!

この件についてのご意見、お待ちしてます。



228p:麺条……!
⇒惚れた



234p:パンはパンでも……
⇒なるほど、産地偽装ではなくこういうパターンの偽装もあるわけですか。
でもここで凄いと思ったのが、118pで小麦沢先輩の腕にくっついていたのが子の魂がおはぎだったこと。
パンとおはぎの組み合わせだと「うーん……」ってなりますが、アレとおはぎならまだ分かる気が……します。
ほら、あんこ掛かってるやつあるし!
……その理論で言うなら小倉トーストもありだし、おはぎじゃなくてあんこの魂になっちゃってるし、それが許容されるなら生牡蠣事件が加熱じゃなんとかならなくなるからダメだ……。

料理の魂の設定、融通がききそうに見えて意外とガッチガチだ……





まとめ




つい、ですね、思ってしまったんですよ。
この作品、一歩間違えたら『放課後バトルフィールド』に続く作品になっていたなぁ、と。

ノリと勢いを味噌ラーメンでなんとか締めたおかげで踏みとどまっている感じです。
化学反応でも起きない限り、2巻は爆死するんじゃないかと。




いや、というか何で読んでる時あんなに面白かったのに、こんなに酷評になっているんでしょう……?
普通に声出して笑ってましたし、麺条と悟飯の友情は腐ってなくても胸熱です。
赤鮭さんも薑も、それぞれ魅力的でつい迷い箸してしまいそうなくらいで。

んー……つまり、あれか。
味付けが合わないってやつですか。




以上!




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