どもー。
デスカイザーです。



気がついたら並行して読み進めている作品が4つにまで増えていました。
なぜだ。




今日のラノベ!


タタの魔法使い

タタの魔法使い

著者:
うーぱー

イラスト:
佐藤ショウジ

レーベル:
電撃文庫


【あらすじ】

2015年7月22日12時20分。弘橋高校1年A組の教室に異世界の魔法使いを名乗る謎の女性、タタが突如出現した。後に童話になぞらえ「ハメルンの笛吹事件」と呼ばれるようになった公立高校消失事件の発端である。「私は、この学校にいる全ての人の願いを叶えることにしました」魔法使いの宣言により、中学校の卒業文集に書かれた全校生徒の「将来の夢」が全て実現。あらゆる願いが叶った世界―しかしそれは、やがて犠牲者200名超を出すことになるサバイバルの幕開けだった。第24回電撃小説大賞にて“大賞”を受賞した、迫真の異世界ドキュメント。




感想:★★★☆☆




こんなん見たことねぇ!
だからすっげぇ面白れぇんだ!
それは間違いねぇ!!
だけどなんか違ぇんだ!
何かが致命的に違ぇんだ!!






第24回電撃小説大賞【大賞】受賞作!
内容はと言うと架空の事件の真相本、ドキュメント本みたいな感じです。
ラノベでこういうスタイルの作品は読んだこと無いですよねー!
なのでその時点で面白いのは確定してるわけです。未知との遭遇ほど強い調味料は無いです。

が!!

手放しで「最高!」と言えるかと言うとそうではなく。
新スタイルというプラス要素を薄めるか、あるいは相殺してしまうようなマイナス要素があるのも今作の特徴。
一作目にしてドキュメントスタイルの限界を感じました。

と、言いますか。
正直、作品の全体像を掴めきれてません……。
様々な人が様々な想いで行動する群像劇の性格を持ちつつ、「神と人」の相互理解という神話的な性格もあり、異世界転移のなろう感もあり、夢の在り方に苦悩する青春活劇でもあり。
それぞれの要素を抽出して考えると納得できるけど、それを総合した感想がうまく出てきません。
和洋折衷4つの味が楽しめるクォーターピザはそれぞれで食べれば美味しいけれど、その4つを同時に口に入れてもそれぞれの味が混ざり合ってよく分からない味になるみたいな。


なので!
さっさと読書メモに移ります!
食材単位の感想なら任せてくれ!
1メモ1行でスマホ画面3スクロール分くらいあったから。今回のメモ。




読書メモ




プロローグ:犯人は青木洋
⇒どうしてそう思ってしまったのか



15p:お気に入りのゲーム
⇒タタの容姿がナオ君(小林尚人)のお気に入りのゲームに登場する北欧美少女にそっくりという一文。227pの「わたしの世界への旅になるとは」というタタの言葉を合わせて考えると……つまりどういうことだ?
鶏が先か、卵が先か。



24p:その叶え方でよく420人も残ったな!
⇒「学年成績トップ」という願いを叶えるためにその人よりも成績の良かった23人が消えた、という因果関係を突き止めていることがまず凄いけれどもそれは置いておいて。
よくその荒い叶え方で全校の92%も残りましたね!?
1Aの佐久間さんも「いじめがこの世から無くなれば良い」でいじめっ子を消しているわけだし。
23人という数字のインパクトに騙されそうだったけど、この叶え方なら開幕20%消滅とかでも不思議では無いですからね。
誰かが「世界最強」ってふざけて書いていたら話が終わっていた可能性すら……。



25p:鬼畜か
⇒事件のドキュメント本として、恐らく出版を前提としているであろう本に弟の赤裸々な恋バナを喜々として載っける作者、マジ鬼畜。
132pに至っては誘導尋問の末に最低のクズ野郎呼ばわりw

で、冒頭で言及したドキュメントスタイルの限界を最初に感じたのはこの場面です。
いや、だってドキュメントですよ?
犠牲者百名超の未曾有の不可思議事件の、真相に迫る本ですよ?
冷静に遺族の立場で読んだときに、こんな文章許されると思います?
物語が進み非業の死を遂げる生徒、最後まで希望を持ち死んだ生徒を見る度に、何かもやもやしたものを感じました。
ラノベとして面白くするにはドキュメントスタイルは不謹慎に過ぎ、ドキュメントスタイルを貫くとラノベとしてつまらなくなってしまう。
このどうしても相容れない部分が、私には限界として写りました。



30p:モンスターとか軍隊とか
⇒はい、限界その2。「展開示唆のオンパレード」
示唆ね?スロット打つ身としてはテンションの上がる言葉です。
でも読書ではあまり嬉しくない……かなぁ……。

まだこのシーンは良い方です。
「あ、異世界だしモンスターとか出てくるのか」くらいで済みますから。
  43p:小林死ぬの……?
  49p:あ、これモンスターパニックになる奴
  62p:松谷も死ぬの……?
  64p:遺体が意味を持つの……?
  99p:今井も死ぬの……?
  219p:ねーー!もう!!また!!?


大半がミスリードとはいえ……ねぇ?
マイルールとして、「読書メモは思ったままに書く。編集は後で」っていうのを決めています。
そんな読書メモの中で叫ぶって相当ストレス感じたってことですよ?

示唆するならいっそのこと示唆したキャラを殺してくれたほうがまだ良い!
中途半端に示唆しておいてメインキャラは殆ど殺さずオチの感動要因にまわし、他の生徒や先生はパニックの中どんどん死んでいって、「実はあの示唆は違う意味でしたー!」されると本当に投げたくなる。投げないけど。
伏線と示唆は違うのだと学びました。



32p:インタビューと他の文との違いが分かりづらい
⇒ストーリーを時系列で追いながら、インタビューで情報を補完していくというスタイルは面白かったです。
どうしても時系列時点では明かせないサブキャラの内情が補填できるわけですから、単純に物語に厚みが出てきます。
ただ、やるなら意味段落とかフォントで区切りをうまく付けてほしかったです……。
急に主観変わってると思ったらインタビューだった、みたいなことが頻発してめっちゃ混乱しました……。
あ、読解力の問題ですか……?ごめんなさい……



54p:打てる魔法は自覚してないのに3つ制限は把握?
⇒北の方角に強大な魔力を感じていたのと同様に、自分の魔力を直感して制限数を把握していたのでしょうか?
だとしたら打てる魔法も直感で把握させてあげればいいのに……



70p:避難訓練で国民意識……?
⇒少なくとも私の通っていた小中高での避難訓練では、国民意識を高めるという目標を掲げられたことも暗に示されたこともなかったので引っかかりました。
というかですね……ココをはじめとして何なんですかたまに来る日本礼賛は!?
213pの「ドイツや日本の若者は皆、愛する誰かを護るために志願して軍人や自衛隊になるのだ」には寒気すら感じました。
ごめんね!?
うちの身内の出来損ないを家から追い出すために自衛隊入隊させようとか考えててごめんね!?

「……洗脳かな?」って思ってしまうくらい強引かつ無理なくねじ込んでくるので怖かったです……



77p:どうでもいいwww
⇒女子から貰ったポケットティッシュのくだり必要だったかなぁ!
やっぱり作内著者、鬼畜だよ……



80p:正常性バイアス
⇒こういう感じの豆知識をちょくちょく挟んでくるスタイル、好きよ



83p:急だね!?
⇒急にストーリー無視して、



ここで、卒業文集に面白い夢を書いた子を紹介したい



ですからね、そんなん笑うしかないじゃない……w
時系列無視した王国側の内情も含めて、情緒不安定な文章構成には何か意味があったのだろうか。
たぶん、ない。
伝えたい情報を詰め込んだ結果どうしても前後の整合性が付かなかっただけだと思います、このあたりは。



116p:ピュアタンポポのパンツ描かないで!?
⇒ニチアサキャラの下着を描くとかどういう了見でしょうか?
エロ同人じゃないんだぞ!



135p:砕けていたというか文章が変
⇒国語の先生どうしたの!?
TIZってゲームのぶっ飛んだ文章を思い出しました。
……さすがにあそこまで酷くはないけども。




216p:…………敬礼!
⇒上杉の勇姿に、最後まで貫き続けた正義に!



274p:神谷さん中途半端だな……
⇒30pの所で言及したメインキャラのアレです。
すごく良い絶望を振りまいてくれそうだったのに、精神崩壊後の描写のみとはもったいない。
しかもその後普通に回復しちゃったし!
なんでさ!!!!



276p:姉だったのかよ!?
⇒最後までずーーーーっと、作内著者を青木洋の兄だと思ってました



277p:ネネ!?行動を共に!?
⇒最後の最後でぶちかまされました!
え!?誰!?誰がネネだったの!?!?
「おわりに」として書かれているこの1pがこの作品の評価を爆上げさせていると言っても過言ではありません。
……ここに至るまでメモが荒れているのを見ていただければ一目瞭然ですが。

さーて楽しい推理タイムです!!

候補①N
冒頭27pに出てきた子で、今作唯一のイニシャルっ子。
「異世界を旅したい」という願いを卒業文集に書いた子で、それが周囲にバレて吊るし上げられ、以降消息不明。
227pでタタが「わたしの世界への旅になるとは」という発言をしたのは先程も書きましたが、それがNの願いによるものだった場合Nが予めこの世界を知っていたという予想が成り立ちます。
そしてネネはカカと共に225pでタタに若輩者呼ばわりされている魔法使い=タタの世界の住人=当然世界を知っている、となります。
問題は卒業文集を書くほど前から洋たちの世界に潜んでいたのか?ということ、消息不明という情報と行動を共にしていたという情報が矛盾していることでしょうか。


候補②ふわっふわん
ピュアタンポポの近くに現れるなんか小動物っぽいやつ。プリティでキュアッキュアな番組でお馴染みのアレでしょう。
行動を共にしており、元の世界には居なかった存在は唯一コイツだけ。
密かに危機を知らせたり、誘導したりするにはうってつけのポジションというのもミソ。


候補③菊池未来&縫口美々
大穴。
突然のキマシを発動したことで印象に残っていた二人なんですが、条件をいくつか考えているうちに当てはまってしまいまして。
条件その1、タタが同性愛者だということ。
もしタタから若輩者呼ばわりされているカカとネネも同性愛者だとするならば、本作唯一百合っぽい二人に可能性があるのではないでしょうか。
条件その2、タタの世界では「同じ二文字の繰り返しの名前」が神聖視されていること。
菊池未来は「未」と「来」ですがカモフラージュと割り切れば「未」の繰り返しとも読めますし、「美々」はキラキラネームで「びゅーてぃ」と読むんですが、こちらもカモフラージュだとすれば見たまま「美」の繰り返し。
さらにはどちらも「み」と読む漢字で共通性が!
条件その3、イニシャル。
菊池はKでカカと、縫口はNでネネとイニシャルが同じ。

問題は候補①のNと同じく、いつからこっちの世界に居たの?っていうところ。
「母親がこちらの世界(洋たちのいる世界)の人」という記述は無いので、終盤で見せていた母親の手料理が異世界料理だという可能性は残っています。



推理はこんな感じですね!
はてさて、真実はいかに……




まとめ



面白かったには面白かったですが、もう少しまとまりが欲しかったというか全体的にクオリティアップの余地があったと思います。
良いですね!成長の余地があるということは、これよりも面白い作品に出会えるということですから!
それに、うーぱー先生の「奇をてらわないラノベ」がどういった作風になるのかは気になります!
(間違っても折口大学附属高校を舞台に2巻とかやっちゃいけない)
(消失日が13日の金曜日なのは意図があるのか無いのか)



そういえばタタの名前の由来は何なんでしょう……?
「夢」って文字の下にある「タ」かな?とかしょうもないこと考えていましたが絶対違うでしょうし。




可もあり、不可もあり。
それもまた特徴。
今後に期待!
以上!!





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