どもー。
ここ数日の「おら、風邪引けよ」とばかりの気温差に順調に苛まれているデスカイザーであります…。


最高気温が10℃違うのをコロコロやられたらたまったもんじゃないわい…。



今日のラノベ!

バビロンⅡ -死-

バビロンⅡ -死-

著者:
野﨑まど

イラスト:
ざいん

レーベル:
講談社タイガ


【あらすじ】

64人の同時飛び降り自殺―が、超都市構想“新域”の長・齋開化による、自死の権利を認める「自殺法」宣言直後に発生!暴走する齋の行方を追い、東京地検特捜部検事・正崎善を筆頭に、法務省・検察庁・警視庁をまたいだ、機密捜査班が組織される。人々に拡散し始める死への誘惑。鍵を握る“最悪の女”曲世愛がもたらす、さらなる絶望。自殺は罪か、それとも赦しなのか―。




感想:★★★★★

もう~…!
……もう~~……!!!!



「瀬黒事務官だけはやめてくれ」と願いながら読んでたけど、野﨑まど先生が見逃してくれるわけがありませんでした。
1巻の文緒と奥田で察してはいたけど、僅かに希望が残っているかのように描かれていたからその蜘蛛の糸に縋ってしまいました。
結果1巻と同じかそれ以上の絶望感に苛まれおりますよー。


読み返せば読み返すほど、これだけの目に合っている正崎がかわいそうになってくるし、それだけのことを為している曲瀬愛の原動力がわからなくなってきます。
曲瀬のスタート地点と呼ぶべきところは今巻で明かされたけれども、それと今現在進んでいる自体とが微妙に繋がらないんですよね…。


病的なまでに無意識に人を魅了して離さない曲瀬の体質に限定するなら、この物語の今後への懸念は2つ。

・勘と称して曲瀬を追っていた正崎は、叔父と同じくすでに曲瀬の体質に囚われているのではないか。
・一瞬とはいえTVに映った曲瀬を見た全世界の視聴者は、大丈夫なのか。








1巻では漠然としていた「正義とは何か」について正崎の考えは、おぼろげながらも言葉にされていました。

「正しいとは何かを考え続けること」

これだけ短い言葉だけど、100%理解して実行するのは無理だな、と読んでて直感しました。
ある一面から見れば正しいことも違う一面から見たら間違っている……なんてことはいくらでもありますし、結局は斎開化が執行した自殺法も、政治、宗教、道徳のどの側面から見ても議論の余地があるものでした。
議論の余地があるということは、それを考え続けるか、どちらかを切り捨てなければならず、いずれにせよそこで定められた正義には疑問が残り…。

………さて、混乱してきましたよ?









………」と「―――」の魅せ方が素敵でした。
事前に点線がつながり実線となる描写を挟んでおいての、ラストの解体をその線で表すというその発想が憎い。
欲を言うならビニールテープで塞がれていたとしても漏れていたであろう瀬黒の呻きとか涙とかがあったら最高でした。

最高の絶望を求めている私は何なんでしょう、と今真剣に悩んでおります…。




とりあえず3巻では、今回のライブストリーム映像を解析するという形で曲瀬と接触する三戸荷さん、「自殺とか、イヤだね」と意味深なつぶやきを残した正崎奥さん、自殺法に対してどちらともいえないと言っていた正崎の友で記者の半田あたりが……自殺するんじゃないかと思うと気が重いですねー…。





そういえば、斎立件の件ですが。
自殺法施行のその場に64人の自殺願望者が集まっていること自体が、自殺幇助罪の証拠にならないんですかね?
やっぱりそんな漠然としたものじゃダメですか?





以上!

バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)
野崎 まど
講談社
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