どもー。
デスカイザーです。


気がついたら1週間更新してなかったんですね…。
つまり1週間本を読みきってなかったということに…。
だから体調崩していた…?



今日のラノベ!

君の名は。Another Side Earhbound

君の名は。
Another Side:Earthbound

著者:
加納新太
原作:
新海誠

イラスト:
田中将賀

レーベル:
角川スニーカー文庫


【あらすじ】

東京に暮らす男子高校生・瀧は、夢を見ることをきっかけに田舎町の女子高生・三葉と入れ替わるようになる。慣れない女子の身体、未知の田舎暮らしに戸惑いつつ、徐々に馴染んでいく瀧。身体の持ち主である三葉のことをもっと知りたいと瀧が思い始めたころ、普段と違う三葉を疑問に思った周りの人たちも彼女のことを考え出して―。新海誠監督長編アニメーション『君の名は。』の世界を掘り下げる、スニーカー文庫だけの特別編。




感想:★★★★★

角川文庫、及び映画『君の名は。』の世界観を、瀧くんin三葉、勅使河原、四葉、俊樹(三葉の父)の4人の視点から補足する物語。

角川文庫版があくまでも三葉・瀧くんの一人称で描かれ、映画はそれを補うかたちで三人称がチラホラあるという形でしたが、それに対して今作はいわば「第三者の一人称」とでも呼びましょうか。
三葉に対して本当は何を思っていたのかが忠実に描かれているので、読んでいる時は「あのシーンではこういうことを思っていたのか!」という答え合わせと驚きが混ざったような感覚でした。

以下各章ごとに。


第1話「ブラジャーに関する一考察」

瀧くんin三葉視点。

「男子の目線、スカート注意!人生の基本でしょう!?」
…という名言が飛び出した、映画でも小説でもダイジェストとして描かれているところになると思います。
時間軸としては。

内容は三葉としての生活に四苦八苦しながら、「メモ帳越しにイメージした三葉像」と「三葉の人間関係からイメージする三葉像」とのギャップに疑問を感じた瀧くんが次第に三葉に興味を持っていく、っていう話。
カタワレ時に瀧くんが三葉の手に書いた「すきだ」の文字の、その芽がこの興味なんでしょうね…。

全4章の中で一番角川文庫版に近い雰囲気ですが、地の文の差か原作よりも瀧くんが生き生きと”男子してる”気がします。
ていうか瀧くんあなたいくら倫理的問題とか不勉強があったとしてもノーブラはだめだよノーブラは…。



第2話「スクラップ・アンド・ビルド」

勅使河原視点。

地場産業社長の長男坊としての苦悩と、クラスメイトで腐れ縁という立場から見た《狐憑き》三葉の奇行に対する解釈が見所か。
糸守の田舎っぷりを嘆く三葉とサヤちんに対してテッシーが言った「おまえらなあ!」に、存外に深い想いが込められていたんですね…。
その手始めが(これまたダイジェストで一瞬写っていた)カフェ作りだったというあたり、テッシーの二人に対するちょっとした優しさが垣間見えてて良いですねー!

瀧くんin三葉が一番最後に二人に言っていた
「そのうちいろいろ話す」
は、変電所爆破の直前にも三葉がテッシーに言っていた言葉(だったと思う)だけど、それが二人の入れ替わりの記憶が抜け落ちた結果どういう形で為されたのか、ちょっとばかり気になりますね。
三葉のうろたえぶりとか。


第3話「アースバウンド」

四葉視点。

妹から見た姉の奇行への困惑と、「あれはもしかしたら自分のせい?」と考えて色々やってみる四葉ちゃん大正義可愛い!
っていう小学生の日常?と、口噛み酒トリップ(同族の阿呆同士)ですね。
過去とのムスビが四葉の生活を大きく変えることは無かったようだけど、僅かに残った残滓が今後の四葉の”宮水らしさ”に影響与えていきそうです。

カタワレ時に瀧くんと三葉が初めて会った時の「私の胸、揉んだやろ!」という指摘の原点は、四葉の何気ない、姉のセルフ胸もみへの疑問でした(笑)
……その疑問をもった四葉も揉んでしまうわけですが。
…………つまり入れ替わって胸を揉むのは男女関係なく人類普遍の法則?

入れ替わり自体が人類普遍でもなんでもないけどな!


第4話「あなたが結んだもの」

宮水俊樹(あるいは溝口俊樹)視点。

原作で三葉が町長のネクタイを掴んだシーンの直後、三葉父が三葉母・宮水二葉との馴れ初めから今までを回想する話。
原作では完全にブラックボックスだった部分です。
まさに「この世のすべてはあるべきところにおさまるんやよ」(239p)という二葉の言葉がしっくりくる展開でした。
201pの二葉と269pの三葉の挿絵で「二葉が帰ってきた」ことを表現しているのが、そういう意味で見事としか言いようが無いです…。

二葉が死んだこと、それ自体も三葉と瀧くんのムスビを成らせるためには欠かせない要素だったことを考えると、二葉が延命処置を本能的に拒んでいた意味はそこにあるんでしょうね…。




全体の感想としては、この作品におけるムスビの重要性が再確認できたのが良かったです。

一番色濃く…というか直接出てきたのは第3話で一葉が四葉に説明しているところだけど、二葉と俊樹の不思議な繋がり、テッシー・三葉・サヤちんの腐れ縁、もちろん瀧くんと三葉の出会いも全て”ムスビ”。

そういえばムスビそれ自体を神格化するんだとしたら、「万物に神様が宿る」っていう日本古来の八百万の信仰とはある意味対照的な信仰になる……?
ムスビという神が生活のあらゆる場面に現れるという解釈のはずですし。
……あぁ、違いますね。
地の神と星の神を繋げる信仰がもとになっているんだから、やっぱり八百万の中の一つに分類されますね。



そういえば「瀧」って漢字は、水を表す「さんずい」と「龍」で表されてますけど、三葉の名前の由来がミヅハノメという水の神である(新海誠twitterより)ことと、「アメノカガセオ=天の蛇=流星=龍」という文中の転訛説、それに「(一葉、二葉という並び以外の直感で)この名前しかない」と言っていた俊樹と二葉の言も合わせて考えると……ムスビを感じますね~!!


名前の由来とか、設定の意味とか、まだまだ探せばいくらでも隠された意味がありそうですね!
それを探しながら映画を見るのも、また一興かと。





以上!


君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
加納 新太
KADOKAWA/角川書店 (2016-07-30)
売り上げランキング: 2

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