今日のラノベ!




アルファポリスより
『ゲート -自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編』です。


【あらすじ】

帝国で起こった大政変を憂慮した日本政府は、帝都に空挺団を派遣し、大規模な特殊軍事作戦を決行する。上空を無数の落下傘が舞い、瞬く間に帝都を制圧する自衛隊。一方、冴えないオタク自衛官伊丹耀司と異世界美少女達も、皇城で孤立する皇女ピニャの救出に乗り出す!かつてないスケールの超エンタメファンタジー!驚天動地の第三章、開幕。


感想:★★★★★

今までで一番グッときた巻!

動乱。
それぞれの思惑のためにそれぞれが行動し、それが衝突することによる。
それゆえに人物像がより深く知れた気がします。
とくにゾルザルとシェリーの2人。

まずゾルザル。
2巻の段階では馬鹿か天才か判断しかねたけど、今回ではっきり分かりました。
彼は「野心に取り憑かれた天才」です!
馬鹿ではなかったっ!!
長い間皇帝とそのまわりを観察してきただけあって、観察眼と分析には優れてるんですよ。意外なことに。

なのに!

それを戦局に活かせない絶望的な戦術眼。
馬鹿じゃないの。才能がないの。
ようするに皇帝の器では無いよね…

「官僚は法案を現実に則すように変えてしまう」
というゾルザルの分析には震えました。
政策を整える、という当たり前に重要なことをマイナスに捉えるとこうなるのか、と。
立案は政治家。しかし中身は官僚に染まる。
独裁にとってこれほど邪魔なものは確かにないわ、と納得しました。



そしてシェリー!
菅原への好意が、国を救う!!…かもしれない。
そのくらいの重要人物になっております。

弱冠12歳ながら、帝国とニホンとの戦況を正確に見極め、それに対して自分がどういう行動をとったらいいのかを考えることができる頭脳をもつ子。
ゾルザルとは違って、こちらはマジな天才です。
読んでて「こいつ本当に12歳か!?」と思うシーンがたくさん出てきます。
テュカとかロウリィみたいな長寿キャラが豊富だっただけに、比較してみるとその才能がより凄まじいものに感じられました。

特にオプリーチニキという断罪官から逃げるシェリーを、菅原が命令無視をしてまで救ったあとのシーン。
「守る」「救う」という行為は表だけ見れば綺麗なことであるが、裏を見ればそれは誰かを傷つける行為であることをしっかりと理解し、それを大人に気づかせるまでやるという。

…それでな?(高まってきた)
このシーンはシェリーがつらい現実を受け入れ乗り越えるシーンなんです。
それまでのシェリーは、聡明な頭脳ながらも”子供”としての振る舞いを感じられるんです無邪気というかなんというか。
それがこのシーンでは、”子供”を捨てざるを得ない悲しいシーンであり、同時に殻を破る成長のシーンでもあってな?

「いつか買ってくださるというお志だけ頂ければ、シェリーは幸せです」
シェリーは薄く笑った。
(346p)

もうだめだよお兄さん泣いちゃう…。
12歳だよ?
12歳の少女が世の中の真理を受け容れて、さらには究極の愛を示すんだよ?
もう…!
…もう……!



というような帝国の動乱の裏で、一応主人公である伊丹たち一行は、2巻ラストで言っていたレレイの魔導師試験を受けるために魔導師の集う街へ。
レレイの義姉・アルフェとの派手な姉妹ゲンカを繰り広げたり、「炎龍を倒した人族」という肩書きが気に食わない派閥からの刺客に対処したり。
シャンディーの行動に肝を冷やされ、そこから場面転換しちゃってそこからどうなったのかが200ページくらいおあずけくらったのが辛かった…。
しかもその間に件のシェリーのシーンがあるんだからなおさらタチが悪い(褒め言葉)

でもほんと、物語が進めば進むほど伊丹以外の場所でのストーリーが深くなってきて、主人公という言葉がいらなくなってくる。
国や部下の命運をかけた行動だから、そこに預ける思いの重さがキャラの重要度の底上げに繋がってるんだと思います。
……おかげで、どんどんキャラが増えてくるしみんな重要だしで頭がパンクしそう…




ついに本格的に始まることになる、帝国VSニホンの戦い。
読めば読むほど、「よくこの時期(安保法案で世の中が湧いてる時期)にアニメやってるよな!」という思いが強くなる作品ですが、そこも含めて政治色を感じさせつつのファンタジーが面白いです。
本編は残り2巻(だっけ?)
どんな結末を迎えるんでしょうか?





ロ、ロロロロロロロロロゥリィ!!


以上!


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