感想テーマは 「思ったことを、そのままに!」
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今日のラノベ!




始まりの魔法使い 3


始まりの魔法使い 3
文字の時代

著者:
石之宮カント

イラスト:
ファルまろ

レーベル:
富士見ファンタジア文庫


【あらすじ】

竜歴637年。研究機関として大学を設立した“私”は、その一歩として、研究成果を後世に残すための紙作りに挑んだ。そして、世界で初めてとなる日記帳を物忘れの多い人魚のリンに贈った。「書いたこと自体を忘れないようにね」「うん。大丈夫…多分」それは有史の時代の始まり。紙と文字は、知恵と、そして―記憶を未来に伝えていくことになる。貨幣や交通が急速に整備されていく中、他の「始まりの魔法使い」を始祖とする村の存在を知った“私”は、転生したアイの可能性を感じて、リンと一緒に調査に赴くが―!?これは、すべての“始まり”を創った竜の魔法使いの物語。




感想:★★★★★




リンちゃん、色々と心臓に悪い……



今回はネタバレ多めです。多分。













無限の寿命を持つ竜の「先生」視点で、世界を進化させ成長を見守る物語第3弾。
今回もつらい読後が待っているというのは覚悟していましたが、毎回覚悟の問われ方が違うので中々ダメージくらいます。
今回も……今回は幾分かマシと捉えるべきか、より残酷と捉えるべきか悩みます。





1巻では寿命による明確な死別。
ただし、転生による再会を誓うアイが希望。

2巻も寿命による死別。
ただし、剣部に伝えられるユウキの記憶の再摘出が希望。



そして今巻(3巻)は未来と過去の記憶の消滅。
希望はリンが気まぐれで書き残していた日記のみ。



肉体的には今までと同じように確かにそこに存在するのに、それまでとは確実に違う何かとして存在するリンが果たしてリンなのか。
それは4巻以降の物語を見るまで分かりませんが、ティアやルフルたち級友がどう咀嚼するのか、先生がどう接していくのか。
読み終わった今から待ち遠しくてなりません。

リンの代償が過去のことだけならユウキの件と並列に捉えられたかもしれませんが、未来まで覚えられないがプラスされていますから……
今巻最大の発明「文字の魔法への効率的利用」こそがこれらの問題への重要な手がかりとなれば良いと、本当に心の底から思います。








重い話、中断!!!






2巻でのリンの「(先生の変身を見て)すごいすごい!あたし、それやりたい!」という言葉(65p)と、ブーケトスをキャッチしたくだりがひとまず大きな伏線となっている3巻。
表紙に出ていることから分かる通り、リン回です!


泳ぐ好奇心とでも言いましょうか。
閃く頭脳と猛烈な行動力を持ち、ニーナの次に先生と共に過ごした時間の長い存在で、先生のことが大好きな女の子。
先生が村の中で主導者的なポジションに居るとすれば、リンはそうですね……みんなの子供みたいな存在でしょうか……
いつも皆の中心にして明るくしてくれて、時に褒められ時に叱られ、でもリンのことを憎む人はいなくて。
そんな温かい彼女の話だからか、2巻までと比べて穏やかな雰囲気だったかなと思います。
(……全体的に穏やかだから、余計に水色の件が堪えるのですよねぇ…………)



穏やかさのもう1つの要因としては、文明の発展による生活の安定もあるでしょう。
狩猟から畜産へ、採集から栽培へ。
食べるもの、必要なものの獲得量を必要水準に極めて近い位置でコントロールしているが故に、必要以上に余ることもなく、不足し食に困るといったこともなく。
狩猟などに回していた時間を他の時間に充てることができるようになった結果、街道・水運の整備などが実現し交流が盛んとなり、新たな文化・知らない文明を「言葉」により手に入れ、「文字」により書き残し次代へ繋げていく、と。
魔法だけでなく生活に密接なアレコレに関しても、どんどん便利になっていきます。


あ、生活の安定で変わったことといえば、種の存続に固執しなくなったことも大きいですよね。
どちらかというと2巻範囲の話が多く含まれますが、ハーフエルフという特大級が今回放り込まれたことでより鮮明に浮かび上がった印象です。
竜と人、2種類の姿を持つ先生が村の中心ポストにいるのだから、当然先生の求心力が衰えない限りちょっと待ってまた話が難しい方向に行ってる……!?


ナンデ!?



僕はただ、口絵のドヤ顔リンちゃんの可愛さを伝えたいだけなのに……!!


(`・ ω ・ ´ ) V



読書メモ





17p:この世界そのものが魔法
⇒こちらの世界の法則と決定的にズレ始める、という宣言ですね。
何なら大地が球状ですらないかもしれないですから、地平に水平にブレスを打つなどという暴挙がまかり通っていたら危なかったかも……?
……いや、そもそも魔法(と精霊?)が存在するという時点でこちらの法則と何もかもがズレているわけですが。



61p:身体を
⇒今巻の終盤で転生アイ(言い方がパズドラみたいだな……)の手がかりを掴みましたが、それよりも早く復活ユウキの軽い示唆が入っていました。
身体を作り、記憶を入れる。
AI的な方向か、ホムンクルス的な方向か。
行く先によっては……



135p:早起きは三文の得
⇒先生がどこで口にしたのか探したい……
覚えてたら4巻読むまでに探してみましょうか。



321p:ああっ!
⇒アイは確かにここに……
彼女がドラゴンやエルフのように半永久的な寿命を持っていたのならまだ希望はありますが……
あるいは「繰り返し転生する魔法」を使えるのならば、また彼女の足跡が見つかるのでしょう。
楽しみでもあり、先生のどうしようもない焦りとやるせなさを察して胸が締め付けられるようでもあり。
直後にリンをめぐる事態が急変するためアイについての考察はここで終わっていますが、間違いなく大事なシーンでした。





まとめ





8歳の時に持った憧れが、淡い想いとなり、焦がれるようになり。
それでも尚変わることのなかった記憶が消え、
彼女は新たな一歩をどのように踏み出すのでしょう。
それを周りはどう受け止め、支えるのでしょう。
(群青が出ないそうですが)4巻楽しみです!


最後になりましたが、
石之宮カント先生、誕生日(7/21)おめでとうございました!!




以上!

~間にGとの格闘を挟みながらの4時間更新~

今日のラノベ!


引きこもり勇者VS学級委員長まおう

引きこもり勇者 VS 学級委員長まおう

著者:
春日山せいじ

イラスト:
武藤此史

レーベル:
ファミ通文庫


【あらすじ】

魔王の和平申し出により、勇者はいらない子になった――。そして引きこもりになってしまった彼の目の前に現れた少女は、学級委員長に就任した魔王!?毎日何かと訪ねてくる魔王は勇者の部屋にあるゲームに興味津々。一緒に遊んで打ち解けていく二人だったが、ある日魔王が再び学校へ来るよう言い出し、勇者はそれを断固拒否!やがて事態は勇者パーティと魔王軍を巻き込む一大事に!!引きこもりか登校か!?勇者と魔王のファンタジック・コメディ、開演!




感想:★★★☆☆



『→ぱすてるぴんく。』2巻の聖地巡礼で高尾山に登るという著者様にドン引かれそうな企画を実行に移す前に、高尾山が出てくるラノベが他にもあるなら読んでおきたいなぁと。
そんな感じでtwitterにてゆる募したらmizunotoriさんに今作を薦めていただき、こうして読むに至りました。





冒頭3p。

十月二日 月曜日 午後三時三十五分(日本標準時)
日本 東京都八王子市高尾山東部 和モダン三階建一軒家<二階・勇者の部屋>

本文3pより





これは聖地巡礼できない奴っすね(悟り)


最高のセルフ出オチと、「……それはそれで聖地巡礼ネタにできるのでは?」という芸人魂が燃えたとかなんとか。




導入はここまで。













第19回えんため大賞「特別賞」受賞作!
勇者は引きこもりゲーム三昧、魔王は学級委員長となり勇者にプリントを届けに。
そんなところから始まる魔王と勇者の青春物語。




「魔王と勇者らしくなく」二人で仲良くゲームをする展開があったかと思えば、「魔王と勇者らしく」プライドをかけた戦いに挑むシーンも。
全体的にそうした本来の関係性とのギャップを生かした話になっていて、面白かったです!



学校という文化には順応しつつも、ゲームや遊園地、コンビニでの買い物など、まだまだ文化的に馴染みきれていない魔王が、勇者のために/おかげで色々と経験を積み重ねていくという構図も、ある意味ギャップですよね。
本来敵対し、地球人と共生する未来が無いはずの魔王に対して勇者が地球の常識を教えているということですから。
それを紆余曲折の経過がありつつも素直に聞き入れてドップリと沼に浸かっていくまおうが可愛いですし、なんだかんだまおうの存在を悪く思えなくなっている勇者も可愛かったですね!!








ただ、前提の設定を把握してからの物語のサプライズ感は、やや物足りなかったかもしれません。
「ロシア軍の一部と魔王軍の一部が手を組んだ」という結構衝撃的な敵さんが、割と序盤でさっくり窘められてしまったので……
それと比べると、どれも想定の範囲内かなぁという。


あと、まおうの口調が引っかかりました。
基本的に「~なのだ」という可愛く偉そうな語尾なんですが、たまに……というか結構な頻度で「~やろうぜ」「~しろよ」みたいな語尾も出てくるわけです。
恐らく著者のイメージとしては「学生の雰囲気に染まった魔王」ということなんでしょうが、どうしても「~なのだ」語尾の子に「~やろうぜ」と喋らせることが私にはできなくて、それがちょくちょく読書が中断する原因になっていました。
個人的な想像力の限界の話なので、なんとも申し訳なくなってくる読めなさでした。





読書メモ




40、42p:イラスト
⇒2p連続でイラストを使っての勇者の暴走と母の怒り。
ギャップが良いですw



86p:エイミー
⇒テンプレ可愛い(褒め)
去り際の一言を楽しみに待っている=エイミーが報われることを1ミリも想像していない自分がいます……
ビジュアル的には一番好みなんですが……なんかごめんよ……



119p:聖地
⇒高尾山は……うん……という感じですが(おもに特定難易度的な意味で)、富士急に行く理由はできましたね!!
よしよし、次は富士急が出てくるラノベをゆる募するターンですね……



254p:オラに元気を
⇒分けてくれ!!






まとめ





あと一歩、もうひと押しあれば……
十分面白かったですが、そう言いたくなるもどかしさがあります。
いわば勇者が自分の限界をココまでだと定めていた段階が、今作なのかなぁと。

母の特訓を経て新たな技を得た勇者のごとく、あるいは初めての特訓により先代の技を習得することに成功したまおうのごとく。
更なる飛躍を経ての続刊、あるいは次作が出るのを楽しみにしたいです!




以上!



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