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今日のラノベ!


女王陛下の異世界戦略


女王陛下の異世界戦略

著者:
第616特別情報大隊

装画:
巖本英利

レーベル:
レジェンドノベルス


【あらすじ】

 とあるリアルタイム・ストラテジーゲームで、悪の属性である陣営「アラクネア」を好んで使用していた主人公の女子大生。ある日、自分がゲームの中にそっくりな異世界にいることに気付く。しかも体は14歳程度に若返っていた。加えて、ゲームとはやや異なる部分があるものの、ゲームのプレイ内容と同じようにアラクネアを率いる立場にいた。配下の蟲たちは主人公を女王と称え、「我らに勝利を」と冀求する。やがて主人公は熱に浮かされたように蹂躙虐殺を経て隣国に攻め入り、戦争を開始する。それこそ現実世界でゲームをプレイしていたように――。





感想:★★★★★





どういう視点で捉えるかによって面白さの属性が変わり、そのいずれにしても面白い作品。








レジェンドノベルス創刊ラインナップで食指にひっかっかった作品を読んでみました。
他の3作品も面白そうではあるんですが、好みとは少し離れそうだったので。


で、もう大正解。
「全部傑作ハズレなし」の大事な初手をクリアしたわけです。良かった。









悪の属性、それも蜘蛛とか昆虫とかそういう系の外見を持つスワームという種族の陣営・アラクネアの女王になった主人公が、ゲームでの戦略や知識を活かしつつ、自分のため/スワームのために勝利を求める物語。








震えるほどに圧倒されました








「アラクネアだから蹂躙する」
「アラクネアだから勝利を求める」




それ以上の理由はなく、意味もなく。
そこにあるものを蹂躙し、向かってきたものを討ち滅ぼす。


端的に言えばそれまでの話。
それがどうしてこうも圧倒され、目が離せなくなってしまうのか……!

分からない。
分からないけれど、読み進めてしまう。



戦力差は明らかで勝敗も目に見えていて、いや、だからこそ……?

スワームの、女王のもたらす絶対的な「勝利」を目に焼き付けるために、読んでいたのだろうか。



分からない。
分からないが、求めてしまう。

続きを、女王の与える新たな勝利を!!





第2巻!2019年2月刊行(予定)!!!







露骨な宣伝はともかくとして、読んでいる間のテンションは本当に上のような感じでした。



特に105p以降。
それなりに交流のあったエルフの村が襲われ、それなりに親しみを持っていたエルフの死を受けてからの蹂躙はただただ呆然と、圧倒されていました。
そのシーンまでは、ゲームなのか異世界なのか、全く同じ設定なのか細部が違うかなど、言わば世界観の骨組みや土壌を整えるチュートリアル的な側面が強かったように思います。
それでも普通に面白かったんですけどね?
ここを境に普通じゃない面白さに向かって行ったんですよね。

この読書体験は、本当に楽しかったです……!










冒頭で「どういう視点で捉えるか」と書いたことですし、せっかくなのでもう1つの視点を。







被害者視点。













超怖い。







等身大で二足歩行の蜘蛛とかバッタとかが、何百という規模で街を襲ってくるわけですよ。
標的の国に属していた、ただそれだけの理由で。

ほんと、この作品挿絵がなくて大正解だと思います。
イラストあったら、蹂躙の爽快感がグロさで多少なりとも薄れていたでしょう。



どうしても想像したい方、ある程度のイメージは持っておきたいという方。
そんな方々には本文43pでも言及がありましたあの虫の名前を検索するのが良いと思います。




ヒヨケムシ




私は検索して後悔してから読みすすめたクチです。







他にも「戦略ゲーム視点」「ゲームでの殺戮が現実の思考に与える影響を考える視点」などなど、読み解くための視点は幾つもあるのかなぁ、と。
そんなわけで、物語の目的が「勝利」と極限までシンプルであるが故に、解釈というかたちで読者が肉付けできるというのが魅力的であると思います。





もっとも、最大の魅力は何かと言われればやはり「圧倒される蹂躙描写」にあると即答いたしますが。











読書メモ





14p:誤植(重複)
⇒Twitterでこの件をボソッと呟いたら、レジェントノベルスさん公式からリプライいただいてすぐに謝罪をいただいた、ということがありまして。
これでレーベル好感度がググッと上がったんですよ。
チョロイン系ラノベブロガーとしてではなく、です。
大事な時期のマイナス印象なツイートにも耳を傾け、作品と読者に真摯に向き合う姿勢に感銘を受けました。
もちろんミスがあったという事実は消えませんし、割と冒頭だったというのが没入感という意味ではキツかったですが、作品へ向き合う編集部の姿を見ることができたという点ではプラスだったのかなと思います。




43p:ヒヨケムシ
⇒私は「調べなきゃ良かった」と心の底から思いましたが、折角本文で参考になるようにと挙げられているんですから、調べてみるのも一興だと思います。
責任はとらない。



62p:スワアアアアアアアアアアアアアム!!!!
⇒全にして個、個にして全。
共通意識を持つスワームは個体としての死の概念はありませんが、だからといって割り切れるものではないです。悲しいものは悲しい。
このシーンで主人公と完全に意識がシンクロした感じがあったので、その後の感情移入がとてもスムーズでした!
慈悲などいらない。蹂躙するのみ。



111p:きたきたきた!
⇒スケールの違う復讐を、平然とやってのけようとする女王様万歳!
アラクネア万歳!!



147p:規模
⇒改めて万単位の住人を蹂躙していると示されると、ゾッとしますね……
だが、それが良い。





まとめ






我らに勝利を!!







えぇ、本当に面白かったです!!!
1巻でそれなりの大国を守りきる話なら数あれど、それなりの大国を滅ぼすライトノベルなんてほとんど無かったのではないでしょうか!!?
(もちろん全く無いとは言わないですが)


圧倒的な強さを誇っていますが、TUEEE系ともまた違うんですよね。
殖やし方、戦略を知り尽くしているという点ではチートと言われてもしょうがないとは思いますが、少なくとも読んだ感覚ではそういった既存の概念とは一線を画していたのではと。

主人公は女王という個ですが、その個がアラクネアという全に含まれているために個として捉えにくいというのが要因でしょうか……



何はともあれ新感覚。
そして、爽快。




(多少のグロ耐性がある人には)是非読んでいただきたいです!!!!




以上!



今日のラノベ!

デッキひとつで異世界探訪 1

デッキひとつで異世界探訪 1

著者:
棚架ユウ

イラスト:
りりんら

レーベル:
BKブックス


【あらすじ】

 最新VRゲームに没頭するあまり、命を落としてしまった青年・柳木透。それを見かねた遊戯の神様によって、彼はゲームの力を付与され、異世界・クレナクレムで新たな人生を送ることになった。ところがその与えられたゲームの力というのが、昔に熱中していたTCGだった!武器はひとつのカードデッキ、お供はデッキの守護聖霊である犬耳少女ワフ。それだけを携えて、透はこのクレナクレムで自分の居場所を見つけるため、冒険の旅に出る!




感想:★★★★☆








VRゲームに連続ログイン100時間オーバーに伴う心筋梗塞により死亡した主人公・柳木透が、遊戯の神の手により転生!
かつて遊んでいたTCGを現実戦闘にチューンナップした疑似カードゲームの能力を武器に、異世界を生き延びていく……というお話。









TCGにまつわる能力をザッとあげてみると、






①1日=1ターン

②使ったカードの枚数分、その場で手札を補充(ドロー)

③魔力をコストとして支払いカードを使用できる

④ライフバリア(MAX20)がなくなると死亡

⑤ターンのはじめにコストとライフバリアは全回復

⑥コストは陣地や道具の効果、試練のクリアなどで獲得可能








などなど。


さて、お気づきの方はお気づきだと思いますが、カードゲームとして見るなら欠陥だらけのクソゲーです。
手札管理が多少疎かでも、デッキ構築とコスト管理さえまともであれば余裕で高コストを維持できるでしょう。
ライフは1でも残っていれば次ターンには全回復。
つまり、1ターンで全て削りきらなければ決して勝つことのできないゲーム。
私のような「仮想敵?知るか!自分のやりたいことをやれたら勝ちだ!!」ってタイプのネタデッカーにとっては最高のルールとも言える、逆説的に良くないルール。




しかし、これが異世界での能力として見ると程よいチートくらいに収まるんですよね。
まず一番大きいのが「対戦相手はこのルールが適用されない」という点。
同じルールで戦っていないのだから、手札が尽きないとか知ったこっちゃないですよね。
むしろコスト管理によって勝手に自縄自縛しているようなもの。
でもこのコスト管理も、成長して分母が増えていけば毎ターン使えるカードも増えていき、いずれはチート級の軍団を維持することも可能になっていくと。
しっかり異世界冒険物語を成り立たせるための成長要素が組み込まれているんですよ。





また、ライフバリアと空腹度・疲労度が完全に切り離されていそうなのもポイント。
非戦闘時にはデメリットに、戦闘時にはメリットになるため難易度的には相殺されたうえで物語的に課題を増やしていくという読者には嬉しいギミックだと思います。
「読者には」というか「私が」嬉しい。
困難は地味であればあるほど読むのが楽しいタイプなので。










……と、そこそこに楽しめる設定でありながら★4とはどういうことかと言いますと。
予定調和の魔の手から逃れきれていないのかな、というところです。

ゲームものの中でも、ことカードゲームに特筆して言えるのが「あのカードを引けたら」「あれが発動できれば」という“たられば”論を現実にしなければ逆転することが難しいという弱点。
今作ではデッキの全内容が明らかになっていない代わりに、どのカードを引いてもそれなりに戦えるんです。
逆に言えば、コストさえどうにかなればなんとかなってしまうんです。







今巻の山場では、そのコストの呪縛から逃れた素晴らしい展開があったので、その点に関してはとても面白かったです! そこは間違いなく!!


ただ、やっぱりその後の問題を解決する際にはコストの呪縛にふたたび飲まれてしまい、ややモヤっとする読後感だったかなぁ、という感じです。



あと一歩!
もう一歩抜け出した何かがあれば、コストの呪縛でさえ受け入れてしまえる面白さになりそうで。

そこへの期待を込めての★4とさせていただきました!!





2ヶ月連続刊行ということで気合十分の今作。
来月の評価は上がるか、下がるか。








以上!


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